珍しく複数の選択肢があり、一日中講談漬け・・・と言う事も出来うる日ではあったが、手元不如意につき一番聴きたい会のみ。
開場前から並んで待つ客は多くなかったが、開演迄にはほぼ満席。
「仙台の豪傑 熊田甚五兵衛」田辺いちか
講談の口調に気を付けているのが見て取れた。
大分こなれて来ており、厭味が無いのは良い。
「大岡政談 小間物屋騒動 万両婚」宝井琴調
鈴本に上がった時の話から落語と講談の協会としての組織の大きさの違い、出来ることと出来ないことの話から「三方一両損」の絵本を出すに至った経緯など。 そこから張り扇を一と叩きして大岡政談へ。 落としどころのあるマクラ。
こうした込み入った話になると、講談の特色でもある地の文の多さが整理する機能として働く。
「小夜衣草紙 蛤の吸物」神田春陽
亡くなった陽司先生の思い出から「化けて出てきてくれないかなぁ」と言う話になり怪談めいた話へ。
大阪が舞台なので登場人物は上方言葉なのだけれど、地の文はそうでは無く、進んでいくうちに曖昧に。
このぞろっぺえなのが怪談で在りつつドタバタ喜劇でもある話には合っていて、ゾッとしたり笑ったり。
<仲入り>
「太平記 楠泣男」神田春陽
軍記ものでありつつ、胡散臭い舌先三寸で身を立てようとする男の悪戦苦闘。
琴調先生と被らない方向に振ったのだと思われるが、面白いものか聴けた。
「国定忠治 忠治山形屋」宝井琴調
私もポスターを見て気にはなっていた六月の新派特別公演「深川の鈴」と「国定忠治」の二本立てを三越劇場に観に行った話から。
悟道軒円玉の書生をしていた頃の川口松太郎の自伝的な演目である「深川の鈴」と前進座から移った市川月乃助が主役を張る「国定忠治」。
(悟道軒円玉は講釈師ではあるが読むより書く方が主の人。 国立国会図書館のオンラインサービスで結構な量の著作が読める。)
良く出来た芝居ながら艶っぽすぎる「深川の鈴」とやくざの話、どちらも三越友の会の奥様方には響いていないようであった、興行と言うのは難しいですね・・・と張り扇一と叩きして「国定忠治」。
代官叩き斬って赤城山に篭って降りて、それからの話。
勧善懲悪だが切った張ったは無く、腕っぷしより機智で山形屋をやり込める忠治。
最後の最後で切る啖呵に溜飲を下げる。
神保町講談会の主催興行は、この会に限らずみっちり聴けて外れが少ない。
心地よい余韻に浸りつつ帰宅。
長崎発のアイドル MilkShake(ミルクセーキ) の定期裏公演の東京出張版。
曲もオケもしっかりしてて、きっちり歌えて、刈り込みすぎず盛り込みすぎず適度な振り付けと頃合いの独自解釈。
緩すぎずきつすぎず良い塩梅の運営。 江戸期以来の国際港湾都市の文化的懐の深さなのか、東京出張公演と言っても変に肩肘張ることもなく、楽しく見ていられるのは良い。
会場の東京アイドル劇場はカラオケボックスのビルの二階に仮住まいしており、音響も証明もソコソコながら安価にさまざなアイドルが見られる(撮れる)興行を打っている。
見たいメンバーが学業多忙につき活動を制限しており、次は何時見られる(撮れる)か判らないので今回は見る聴くより撮るに重きを置いて観覧。
撮ったものはこちらに。
MilkShake@東京アイドル劇場(16.06.26)(その1)
MilkShake@東京アイドル劇場(16.06.26)(その2)