宿題は溜まりっぱなしだが、最新号を。
中井りか
表紙と巻頭16ページ21カット、うち見開き1か所、撮影はHIROKAZU。
和装と洋装、水着2パターン。
和装は屋外。 「衣装協力= 撫松庵」とあったので、ちょっと調べてみたら提供したものが紹介されていた。
「レディスゆかた/ストライプブロッサム」と言う、ダズル迷彩のような白と黄の斜めのストライプに桜があしらわれたもの。
飛ばし気味に撮ってあるので、着こなしの細かい部分が見えないのは惜しい。 レースの半襟、柄足袋、リボンの髪飾りetc...、細部も見たかったが使える物が少なかったのか2カットのみ。
ページを繰ると一転して屋内で洋装。 緋毛氈のような絨毯の敷かれた洋館の窓辺。 赤い古風なパフスリーブのワンピースに、これまた古風な赤いエナメルのメリージェーン。 白のアンクレットソックスが映える。
顔の横に来る髪を、鬢の辺りに少しだけ残して後頭部で編み込んで纏めてすっきりと。
ワンピースの生地は薄手のもので、透過光で少しだけ透ける。
16ページ目の最後のカットなどはこの「透け加減」が絶妙。 唸らされる。
水着部分は撮られ慣れてきたこともあってか、表情も柔らかく諧調も豊か。 それ以上にポーズや仕草に幅が出ている。
何かを掴む、握る、絡める。 指先の意味ありげな動きに引き込まれる。
眼福。
小熊倫美×長谷川玲奈
10ページ14カット、撮影は小池伸一郎。
襟にグレーの線が二本入った白のセーラー服に薄水色のスカーフ、白のロークルーソックスにペニーローファー。
髪の長さは同じくらいだが小熊は前髪を作って二つ縛り、長谷川は前髪を作らないストレートのロングボブ。
ページを繰ると場面変わって音楽室。 似通った意匠でありつつ一寸違う白のキャミソールワンピース。 足元はヒールの無い白のパンプス。
仲の良さ+α的な暗喩。 受け身に回った小熊の見せる感情の揺らぎを捉えたカットが良い。
更にソフトボールのユニフォーム。 経験者だけあって、道具を持たせてもサマになっている。
太田夢莉
10ページ10カット、撮影は塩原洋。
オレンジのビキニ。 顔のアップから徐々に引いていく三枚から。
ボタンを留めずに来た紺のブレザー、第一ボタンを外したワイシャツに紺のネクタイを緩く締め、グレーのスカートは膝上20cmくらいに穿いた、鼻っ柱の強そうな女子高生的な風体。
ここから色々脱ぎ捨てて白ビキニになって行く。
今の太田夢莉の「食えない感じ」を活写。
最後のカットの、自棄糞に高いハイヒールも「らしさ」を出していた。
渡辺みり愛
10ページ12カット、うち見開き1か所、撮影はサトウノブタカ。
ケーキやお菓子、縫いぐるみ、さまざまな「カワイイ」に囲まれ「カワイイ」を具現化したような衣装に身を包んだ12カット。
引き結びすぎると作為が感じられてくるのは瑕だが、口の開き方閉じ方で表情に諧調をつけられている。
梅澤美波
10ページ9カット、見開き1か所、撮影は西村康。
立っても座っても寝転んでも、見せ方を知っていて隙らしい隙が無い。
既に出来上がってしまっていて面白味は薄いが、間違いなく上質ではあるし、撮り方によってアウトプットも変わってくると思う。
その点では楽しみ。
高本彩花
10ページ9カット、見開き1か所、撮影は西條彰仁。
満開の白木蓮の下、オーソドックスな紺のセーラー服、紺のハイソックス、ペニーローファー。
屋内で白のキャミソールとショートパンツ。 ベージュのソファーに寝そべらせたり、白い壁の前に立たせたり、暗がりを背負わせたり。
最後は緩く巻いた髪を下の方で二つ縛り、レースのブラウスにウサギの耳のようなサスペンダーの付いた水色のフレアスカート。
これでくるりと回ると裾の拡がりが綺麗なのだけれど、翻させるには丈が短すぎるか。
ネモフィラであろうか、顔の前に青い花を一輪。 歯並びなど粗もあるのだけれど、上手く切り取ってそれを感じさせない。
上國料萌衣
8ページ9カット、撮影は唐木貴央。
薄い黄色のキャミソールとショートパンツ。 襟と袖口が紺で白いラインが3本入った白のセーラー服、スカーフは緑で紺のスカート、紺のソックスに焦げ茶のペニーローファー。 黒いレースのワンピース。
打ち合わせ擦り合わせはしているのだと思うが、似たような衣装でも被らないのに改めて驚く。
上國料萌衣は非の打ち所の無い美形なのだけれど、正面より心持ち斜めから撮った方がより映える。
微調整しつつ様々な角度から切り取った最適解が6ページ目の横顔。
カメラの前で構えず衒わず、素で向き合えているからこそ撮り得たカット。
山岸理子
1st写真集からの8ページ9カット、撮影は唐木貴央。
眩しいと凶相になるのは分かっている筈なのに、敢えてそうなる絵を撮りたがるのは事務所の方針だろうか。
光を背負わせたり柔らかく廻る時間に撮ったり、工夫はされているので破綻はしていないが、その工夫が何かを糊塗する為のものでは無ければ、より良い写真が撮れたのではないかと思われてならない。
北原里英
10ページ13カット、撮影は山口勝己。
何時か見たような組み合わせだと思って調べてみたら2010年にヤングジャンプの巻頭をやっていた。
相変わらずの物撮り錬金術で遣り過ぎが鼻に付く部分が無くはないが、捉えにくい美点を写真として固定する技には唸らされる。
5ページ目からの4カットは貶しようのない出来。 こと北原に限っては、ここまで上手く撮れるのは山口勝己が一番かもしれない。
思えば5期で最初にグラビアの仕事が来たのは北原で、掲載誌はアップトゥボーイであったと記憶している。
あのガチガチの笑顔から考えると、紆余曲折は有りつつも、よく此処までの高みに達したものだと思う。