仕事帰りに箱崎へ。 Love to Eros展を観覧。
読んで字の如くな写真展なので18歳以下入場お断りになっている。
場内は初日から結構な入り。 オープニングパーティー的な盛り上がりではありつつ、客筋が良いのか乱痴気騒ぎにはなっていない。
概ね「明るいエロ」。
客も出品作も生命力に満ち溢れていて、そう言う物が苦手な私は場違い感に苛まれたりもするのだけれど、そんな中でも静かな、一寸引いたような写真もある。 直接的ではないエロが私の嗜好には合っているのは改めてわかった。
暗喩と仄めかし。 語らずして語る。 敢えて描き出さない。 そう言った写真。
人集りが出来過ぎて滞留してしまったりした際にはスタッフがやんわりと流したり、こうしたグループ展ではよくある「仲間内だけで盛り上がる事に疑問を感じない閉じたコミュニティ」の厭な感じがないのは良い。
良否ではなく好悪に属する部分での私との相性はあれど見るに堪えない低劣な作品はなく、こうした「明るいエロス」を好む向きにはお勧め出来る。
宴のあとのテーブルにネミロフのハニーペッパーがあったので、ちょいと引っ掛けつつ気になったところを見直す。
酔いが回ってくると、喧噪も気にならなくなり、写真に没入できる。
気になったものを幾つか。
一鬼のこ×七菜乃
細いが適度に皮下脂肪はあり、皮膚か薄くてしなやかなのが縛ることによって視覚的に理解できる。
撮り手によってガラリ印象が異なるのだけれど、芯は七菜乃で在り続ける。
北田智史
敢えて描き出さない、核心に迫らない3枚。
いずみ
ブラウスの釦と釦の間から覗く小宇宙。
有末剛
縛った写真より解いた写真。 肌に残る縄目の生々しさ。
ムーニーカネトシ
炬燵の中で絡み合う脚。 赤く照らし出されるソックスの埃と毛玉。
常盤響
悪い大人の明るい悪ふざけ。
jely
大人のようにも子供のようにも見えて、自信ありげにも不安そうにも見える。 そして様々に変化するそれぞれの姿は、確からしくも不確からしくも思える。
振り回されたい。
錦織智は展示作品より写真集の方が甘く切なく、より私好みであった。
全部揃えたい。
作品はすべて均一価格で販売。
A3 12000
A2 20000
出品作がそのまま収録されている訳ではないが、写真集も販売。
こちらは部数限定の売り切れ仕舞いとのこと。
半年前なら見に行こうと思わなかったであろうと思われる類の写真展であり、私向きかと言うとそうでもないのだけれど、それでも見ておいて良かったと思えた。
オーチャードホールの横合い、雑居ビルの5階にあるアツコ・バルーにて開催されている、女体愛好家の七菜乃が特殊モデルの七菜乃を撮った(割った話が「セルフポートレート」)写真展へ。
一寸遅いかなと思うくらいの時間に着いたが、開場は2時からとの事で少々早く、松涛を一回りしてから再訪。
受付で木戸銭を払い、靴を脱いで上がる。 木の床。
最初から或る程度の集客が見込めないと難しいとは思うが、この「五百円ワンドリンク付き」と言う敷居は頃合いであるように思われた。
ロハでないと来ない客層と言うのは中々タチの悪いものであって、木戸銭がドリンク代として担保されていれば心理的抵抗も少ない。
一と通り見終えてから喉を潤したが、ジントニックはビーフィーターをウィルキンソンのトニックウォーターで割ったもので、なかなか良心的。
作品はチェキで撮影したもので、丁度良い大きさのアクリル板に貼り、目の高さくらいの位置にズラリと並べて飾ってある。
何枚か組み合わせたコラージュ物も含め、通し番号で100以上。
全ての作品は購入可能。 但しチェキなので全て一点モノの売り切れ仕舞い。
一枚だと21000円だが、沢山買うと安くなるシステムとなっており、売れたものは通し番号の横に Sold out と書き込まれる。
見ている間にも何点か Sold out となっていた。
10秒のセルフタイマーを使って撮影しており、光を強く当ててコントラストを上げたり、柔らかく廻して下げたり、精緻にピントが合っているものもあれば、意図してアウトフォーカスにしたものもある。
逆光もあり順光もあり、しかし色乗りは飽くまで淡く、86×54mmの覗き穴の向こうに広がる異世界。
撮り方のみならず作品として仕上げる際の技法も様々。
シネカリ的に乳剤を削ったり、乳剤面のみを剥がしてアクリル板に挟んだり、インスタントカメラならではの不完全な現像を利用した表現もある。
写るようにも写らないようにも、硬くも柔らかくも出来て、撮った写真をその場で見て試行錯誤できるインスタントカメラの特性・チェキと言うカメラの可能性を引き出している。
何も着ていないことが、布を身につけていないということが、nudeということが
曝け出している(裸)ということでは全くなく、只、内臓があって骨があって脂肪があって
皮ふで覆っているだけのことであって、その自然の人間の持っている女体を
私はとても美しいと思っています。
柏木由紀
表紙と巻頭グラビア8ページ22カット、見開き1箇所。 撮影はTANAKA。
廓噺を演る咄家は見ておいた方がいい。
文違いのお杉が、品川心中のお染が、藁人形のお熊が、鰍沢の月の戸がそこに居る。
脂っ気の無い髪、燻み弛んだ肌、疲れた作り笑顔。 カメラマン、メイク、スタイリスト、レタッチャーetc...が寄って集って糊塗しようとして糊塗しきれていない、柏木由紀一世一代の「落魄の美」。
基本的にカメラを前にした柏木は商売用の自分しか出さないのだけれど、繕い切れない綻び、住み替えを重ねた人生の疲れのようなものが、(恐らく本人の意図しない形で)滲み出ている。
柏木由紀のグラビアとしては、これまでで一番「柏木由紀」が出ているように思う。
山下エミリー
巻末グラビア5ページ8カット、撮影は小池伸一郎。
寄ったのと引いたのと、服を着たのと水着と、選ったカットを1ページで使つて売りになる部分をしっかり見せた上で、表情の変化を4カットで1ページに纏めてある。
カメラの前で見せる表情はまだ硬いが、無意識に表れる感情の移ろいを掬い取ったカットは味わい深く、化ける可能性は大いに感じられる。
文字情報は多いのだけれど、邪魔にならない配置。 写真とともに紙面を構成するものとして生きている。
文字か入るのであれば、ここまで突き詰めたグラビアが私は見たい。
用賀からバスに揺られて砧公園の世田谷美術館へ。
生誕百年を迎えた濱谷浩の、最初期から1960年代くらいまでの前半生の作品を纏めて見せる写真展を観覧。
「モダン東京-1930年代・モダン都市東京の諸相」「雪国―新潟・豪雪地帯の人々とその暮らし」「裏日本―日本海側の風土、漁農村における生」「戦後昭和―終戦後の日本から、安保闘争をめぐる〈怒りと悲しみの記録〉まで」「学藝諸家―昭和を生きた文化人たちのポートレイト」と、展示スペースを5つに分けて展示。
展示は1930年代の東京を撮ったものから始まる。 年表によると桑原甲子雄からライカC型を譲り受けたのが1935年とのことで、鏡越しのセルフポートレートに写っているのがそれだと思われる。
桑原と比べると引いたり寄ったりしているカットが多い。
或る程度の人間関係を築かないと入れない、劇場の中や楽屋で撮ったカットが良い。
木村伊兵衛や桑原甲子雄のような掏摸でも、土門拳のようなかっぱらいでもなく、とりあへずは相手の了解を得た上で取る寸借詐欺のような写真。
替わって現在の新潟県上越市にある桑取谷の小正月の風俗を10年に渡って撮り続けた写真群から。
集落に完全に溶け込んではいないが、異物でもない。
コロイドとして漂いながら撮ったような客観的視点。 醒めた熱気のようなもの。
展示の境目は曖昧だが、日本海側で撮った連作へ。
撮影地でどちらに属するか判断しながら見る。
ペンタックスの一眼レフ(恐らくS2)に135mm/f3.5を付けた物とライカM3を併用して撮っていたようで、その取り合わせも面白い。
標準で寄って撮るにはレンジファインダーのライカ、精緻なピント合わせが必要な望遠は一眼レフと言う合理的選択。 ニコンではなくペンタックスと言うのも、なんとなく「らしく」思われる。
終戦の日のセルフポートレートと太陽を撮ったものから始まる「戦後昭和」。
戦後の風俗から60年安保へ。
60年安保と言う物についての見解は、同時代人として現場に在った濱谷と異なるのだけれど、権力に立ち向かい圧伏せしめられた者の怒りと悲しみは良く描き出されていると思う。
放水、衝突、女学生の死の3枚は胸に迫る。
写真でじっくり見せた後、濱谷の書いた文章が資料とともに。
今、私は昭和史の外にたって、これからの昭和史を見つめている、再び時代の渦にまきこまれないだけの自覚の強さが私には備わっている。
(「新潟日報夕刊「私の昭和史」、1965.2.19)
「学藝諸家」を最後に持って来て昂った感情を落ち着かせる趣向。
宴席での写真三態(荷風、安吾、谷崎)。
荷風が晩年の歯抜け写真と言うこともあるが、如何にももてそうな谷崎が小面憎い。
学藝諸家を撮った際の揮毫帖と併せて終戦の日の日記を展示。
戰爭ハ終リ
日本ハ敗レタリ
語ナシ
コノ日マコトニ晴天
雲悠々、寫眞機ヲトリテ
コノ太陽トコノ雲トヲ
ワケモワカラズ寫シテイタ
(後略)
展示の仕方には不満もあるが、纏まった量を見られるのは有り難い。
東京で撮った物には伊達と酔狂、日本海側や国会前で撮った物には意地と反骨と瘦我慢が詰まった、実に江戸前な写真だった。
展示作品が入れ替わったので足を運んでみた。
展示スペースと出展数との兼ね合いだとは思うが、ゲスト作家の作品を端に寄せ過ぎてしまっていたのは気になった。
このあたりはまぁ、仕方が無い事ではある。
飯田夏生実
粒子粗めだがしっとりした重めのプリント。
粒子が集まって絵が出来ており、三次元的な奥行きが感じられる。
ベレー帽の後ろ姿、夜のビニール傘の写真が良い。
良し悪しより好悪の部分で惹かれるので書き難いのだけれど、雨だったり曇りだったり、夕方だったり夜だったり、光が柔らかく廻る状況を選って撮っているので色合いに統一感がある。
橋本有夫
神田をテーマにした連作。
素直で丁寧なプリント。 黒が締まってしっかり出ている。
それにしても良い黒だと思ったら、印画紙はイルフォードが品切れでベルゲールを使った由。
かつては我々貧乏人には手の出し辛い高級印画紙だったベルゲールが、今や値上げ続きのイルフォードより安いとの事。
間が良過ぎる構図が多かったが、一寸外したものは面白かった。
ササガワヨウイチ
新宿で撮った連作。
4号くらいで硬く焼いて白く飛ばしたり黒く潰したりしたプリント。
最終的にどんな色合いにプリントするかを考えたネガを作っていないようで、丁度良い頃合いに出る部分がコントロールし切れていないのが気になった。
ネガがどうでもプリントでどうにかなると思っているのかもしれないけれど、ネガに記録されていない情報はどうやってもプリント出来ない。
先ずは良い(自分にとって)ネガを作るところから。
ネガが良ければ、もう少しプリントの折り合いも付け易かったであろうし、試し焼きで追い込む過程も短くて済む。
(ネガを見て類推できるなら別だが。)
ハイライトの飛んだザラついたネガにしたかったのであればそうなっていないのは失敗作であり、逆に意図しない形で白飛びしてしまったのであれば、それもまた失敗作である。
「こうしたい」と言う意思は通底しているように思えたが、そこに至る過程での技術を軽視しているのが気になった。
不思議なもので良いプリントを見ても「あぁ、良いなあ。」で済むところが、そうでないものを見てしまうと何故か気になってしまう。
五月蝿く思えた先達もこう言う思いだったのであろうか。
社会人向けの写真講座のグループ展をここのところ幾つか纏めて見ているのだけれど、講師に定見がきちんと有り、且つそれを押し付けずに考えさせているところの写真展では、面白いものに出会えている。
私は教わるより自分で試行錯誤するのが性に合っているので、こうした講座には興味が向かないが、私ほど臍や旋毛が曲がっていない向きには、写真人生の幅を拡げる良い機会になるのではないかと思う。
鉄砲洲の日本写真学院のギャラリーで開かれている写真展。 Facebookでお誘いがあったので足を運んでみた。
専門学校的なものかと思っていたのだけれど、平日の夜に開講している社会人向けの講座の終了展とのこと。
広くは無い会場に受講生の写真をより多く展示する為、前期・後期に分けて展示を入れ替えるようで、今回見られたのは半分だけ。
決まったフィルムで撮ったモノクロのネガを大四つにプリントしたものを額装。 題材も東京で撮ったストリートスナップと言う事もあって、統一感のある展示。
受講者にカメラ買わせるところから始めて銀塩で撮らせており、暗室作業も未だ数ヶ月と言う事で、必ずしもファインプリントと言う訳には行かないにしても、人前に出せるレベルには既に達している。
良くも悪くもケレン味の無いプリントで、飛ぶところは飛び、潰れるところは潰れているのだけれど、露光の過不足や現像処理の手抜きによる変色などは見られず、丁寧に焼かれている。
教える人の作風や好みも影響してか硬めのプリントが多かったが、東京のストリートスナップとしてはこれで良いのかもしれない。
受講生の作品の他、ゲスト作家として中藤毅彦、元田敬三、セイリー育緒が1点ずつ。
中藤の出展した作品は、95年の初個展に出したものをプリントし直した物。
受講生の素直なプリントの中にあって目を惹く「秘術を尽くした」プリント。 構図も焼きも厳しい。
中藤毅彦と元田敬三で講評などを交えつつトークショー。
写真に対する考えは異なっているものの、「どちらも正解ではない」と言うことが互いの了解としてあるので喧嘩にはならない。
そう、写真に正解など無いのである。
カメラが便利すぎると「撮ろうとして撮ったもの」と「撮れてしまったもの」が混じりがちで、「撮れてしまったもの」は見栄えは良いのでつい焼いてしまい、取捨選択する際に悩むと言う話や、24×36の所謂「ライカ判」の細長いフォーマットだと、縦で撮ったものと横で撮ったものとで印象が異なる話など、トークショーの中身は実に面白かった。
言葉で圧伏せしめようとするところが無く、写真に対する考えは語るがそれ以上に写真そのものでそれを表現しようとしている先達からは学ぶところが多い。
一点だけ出されていた後半の出展者の作品が私好みであったので、入れ替わった頃合いにまた足を運ぼうと思う。
池袋サンシャインシティの新星堂も、以前は駅に近いスペイン階段を上がってすぐの所にあったのあったのだけれど、商業スペース奥の奥に移転。
迷いつつも開演15分前くらいに現地着。 この時点でつばなれしていないどころかこの先つばなれする気配すらなく、予約済み者の優先入場が始まっても人が増えずに厭な汗が出たが、優先入場が終わった頃合いで客が入り始めて、なんだかんだで50人から入っていた。
店内にも近隣店舗にも時間潰しを出来るところが無く、開演する頃合いを見計らって現場に来た向きが多かったようだ。
ライブは「僕を信じて」「選ばれたから」「きっとぐっとサマーデイズ」「PIP Move On!」の4曲。
曲出しが遅かったり、エコーが強すぎたりしたくらいで、スタッフの仕事には特に問題なく。
危惧されていた「奇声を発しないと死んじゃう系の客」は、口に手で蓋をしてミュートを掛けた上で何やら叫ぶと言う、彼等なりに無い知恵絞って考えた妥協案を提示。
横合いに屯して、時折人波を掻き分けて最前列まで行って戻ってくるってのを繰り返し、拍手の一つもしないしそもそも歌なんざ聴いちゃいないと言う感じで、お行儀自体は地味に悪かった。
「選ばれたから」は長大なソロパートがあるのだけれど、現状で石川について書かれた歌詞しか存在しないので石川以外歌うことが出来ない。
歌詞の書き方についてのメソッドは既に濱野が提示しており、メンバーが下書きをして添削をさせれば良い。 それくらいはやるだろう。
喉を痛めたこともあったか、無理に張るような歌い方をしなくなったのは良い。 聴きやすくなった。
「PIP Move On!」は矢張り私の耳にはまるで引っ掛からず、何等の感興も催さないが、盛り上がる曲に育てようとする意欲は感じ取れた。
空井のMCは例によって旧社会党系の情宣っぽいが、喋り方には気をつけていると見えて、だいぶ柔らかくはなってきている。
小室は一字一句間違えないようにする余り棒読みになっていたが、慣れればこなれて来るだろう。
歌にも振り付けにも喋りにも柔らかさの出ていた瑞野。
トンネルの向こうに見えた光明。
お馴染みのグループ展も6回目を迎え、今回も箱崎のクリエイションギャラリー日本橋箱崎にて開催。
門嶋淳矢
顔の無いヌード5点。
ここ最近のグループ展では色を強めに出す作品が多かったが、一転して落ち着いた色合い。
彩度は抑えているがカラーで、背景や仮面、腰掛は冷黒。 身体は温黒に近く表現。
身体の一部が隠れるようなポーズを付けて構図を工夫することによって、全体を撮りつつ欠損のあるように撮れている。
離れて見るとフォルムに目が行き、近付くと精緻な質感描写に驚かされる。
野澤亘伸
「足舐むる女」と題してタペストリー的なものを7点。
抱え込んでむしゃぶりついたり、ひょいと持ち上げて咥えたり、舐め方も様々に七態。
踏み込んで迫れるから出せる生々しさ。 明るくも湿り気のある写真。
吉田浩之
先日まで開かれていた個展と同様、掛け軸に仕立てたものを5本。
ヌードと言うテーマに沿わせてか、あぶな絵的なものを選っていた。
背景は無く、真っ白な紙に盛装の女性を配しているのだけれど、全体的に明るくカラリと描かれた中で陰になる部分があり、そこだけ湿り気を帯びた肌が覗き、目が吸い寄せられる。
小池伸一郎
2:4:4くらいの割で夜空、夜景、地面。 その地面の暗がりの中に写るか写らないか朧ろげに浮かび上がる裸婦一対。
スタジオなのかロケなのか、はたまた合成なのか判然としないが、表情が読み取れるか読み取れないかギリギリの暗さ。
3枚でそれぞれ微妙に照明を当てる角度が違っていたのだけれど、あれは意図したものだったのだろうか。
上野勇
畳の上に寝転んだり絡みついたり炬燵に入ったりするさまを、真上からと横から。
ざらついた紙に濃緑の縁を付け、畳に見立てたようなプリントをイーゼルに立て掛けて展示。
寄って細部を見ようとすると、横からの照明が邪魔になる。
一寸引いて見ると、丁度上から見下ろす格好になる事に気付いた。 屋根裏の散歩者の視点。
ゾクリとする背徳感。
松田忠雄
パネル5枚、それぞれにテーマがあり写真が3~6枚。
プリントが美しい。 肌であったり空であったり、白と灰色、黒と灰色の間の諧調が豊かで、且つ眠過ぎることも無い。
周辺を心持ち焼き込んだようなものも、それが解るか解らないかのところで抑えてある。 程が良い。
各パネルに一枚は好みの写真があり、被写界深度浅めのものに心惹かれる。
ピントの置きどころや深度がピタリと決まり、それでいて決まり過ぎていないから息苦しさが無い。
released from nude の左下。
attached a rubber の真ん中。
remove the eyeglass の下。
transfer of the lace は右。 芯のあるブレボケ。
flutters something の左端。 水玉のワンピースがボケと光線の加減で鹿の子絞りのように見えるのが面白い。
三輪憲亮
湊莉久を撮ったものを大小取り混ぜてズラリ。
髪のあしらいやメイクで描き分けて二態。 表情の切り取り方は悪くない。
ただ余白が多く、今一つ寄り切れていない事から来る隔靴掻痒感は有る。
矢鱈と点数が多く、散漫で冗長。 プリントはコッテリ色を盛った塗り絵。
これが良いと感じる向きもあるのだろう。
湊莉久の客相手であったようだが、自分の展示スペースの前で延々と自作を語る独演会。
自作を語りたくなるのも分からないではないが、先ずは写真で語るべきだと私は考える。
写真より撮り手が饒舌と言うのはぞっとしない。
革労協ばりの内ゲバと分派であっという間に小所帯になってしまったPIP:Platonics Idol Platformではあるが、CDリリースを来月に控えての九月攻勢。
とりあへずは定期公演もリリースイベント仕様。
「今回はPIP第一弾シングルCD「僕を信じて」リリースイベント(予約特典会)も兼ねた定期公演を開催!シングル収録のC/W新曲も初披露予定!PIPよ、何があっても、前へ進め!動き続けろ!その先に、何があったとしても!」との長い副題。
前半は例によってバラエティ番組の体での公開収録。
流石に五人にまで減ると、より解り易い形でのキャラクター形成が必要になるようで、これ迄の経緯は踏まえつつ誇張も入った引き回しをする司会の石橋哲也(カオポイント)。
事ここに到っては受容して回していくしかないのはメンバーも理解しており、それぞれが腹を括ってそれぞれの役割を果たし、番組を成立させていた。
後半はライブ。
影アナを事前に撮ったビデオにする新機軸。
聞き取り辛くは有るが、そもそも注意事項など客の殆どが馬耳東風。 これで良いのかも知れない。
先日のレーベル祭で見た客席を光モノが埋めるさまに触発されてか、そう言った物を持って来いとの要請があったので客の何割かは律儀に持参していたが、それを「どう使わせるか」までは考えられておらず、これ幸いと乱暴狼藉に至る向きもそこかしこに。
ライトセーバーみたいなのを振り回して空いた客席を八艘飛び。 最前列までしゃしゃり出てステージ上の特定メンバーを威嚇する下衆下民も増えた。
「新しい客を増やしたい」とメンバーは口にするが、これが許容される現場にどう言う手合いが集まるのか、考えたほうが良い。 「暴れられる現場なので来た」と嘯くのも仄聞。
彼らを「太い客」として遇したいのであれば、まぁ仕方が無い。
古い狂歌に「傾城の恋は誠の恋ならで 金もってこいが本のこいなり」とある。
光る棒を持つと手が塞がるので、拍手・手拍子の音量は下がり、ガヤの音量は上がる。
これも当然の帰結なのであるが、スタッフにもメンバーにも「場をどんな空気にするか」についての定見が無いから、その時々の客筋によって、こんな事にもなる。
デビューシングルのc/w曲が無駄に動きの激しい曲なので、レッスンに参加できる機会の多い連中は必然的に動ける身体になりつつあるが、呼吸器・循環器が追いついておらず、当該曲を演った後は Kraftwerk の Tour de France のような状態になってしまい、暫く間繋ぎをしないと次に行けないのが難。
これまでのオリジナル曲の中では最も感興を催さないものがCD収録曲になる不可解。
レッスンにあまり参加できていない瑞野は、やはり動きに重さがある。 これで無理をして怪我をしなければ良いのだが。
石川は映画出演などもあってか、かなり絞れて来ており、落ちにくい部分もきっちり落としつつ肌荒れや窶れなどが出ていないのに感心した。
歌の方は横に置くとして、振り付けの咀嚼と演繹、舞台の上の人としての意識の持ち方については申し分の無い小室。
表情が死ぬ事が、瞬間的にすら無いのは褒めて良い。
常に不安定に安定していた「僕を信じて」の福田の歌い出しが、その部分だけ被せオケになっていた。 興醒めと言うか、レーベル側のセンスの無さに幻滅。
息を整える為の間繋ぎ以外ダレ場も無く、歌で押していく構成ではあったが、見せる為の工夫が無い。
借り物の曲が使い回しばかりでここ数ヶ月代わり映えがしないのは停滞ではなく後退と言って良いだろう。
これまでに無い逆境の中でCDリリースを迎えるPIP:Platonics Idol Platform。
心から楽しめているかと問われれば首を横に振る他無いが、完全に厭になってしまってもいないので、もう暫く定点観測を続けようと思っている。
写真をアップロード。
PIP:Platonics Idol Platform ツイッターイベント
Chelip“Change the Power!!!”発売記念インストアライブ、第2回「Chelip、吉祥寺に帰ってまいりました!」
藤井美音(Chelip)
ペトリ C.C Auto 55mm/f1.8 + ペンタックスK10D
f5.6くらい
1/320s
iso=800
井次麻友(Chelip)
ペトリ C.C Auto 55mm/f1.8 + ペンタックスK10D
f5.6くらい
1/320s
iso=800
小室志織(PIP:Platonics Idol Platform)
ノボフレックス ノフレクサー240mm/f4.5
+ ペンタックスK10D
絞り開放
1/320s
iso=800
仕事帰りにネット配信のアイドルバラエティー番組の公開収録へ。
【1組目:19:00】ANNA☆S
【2組目:19:30】meltia
【3組目:20:00】まどもあ54世
【4組目:20:30】PIP:Platonics Idol Platform
ANNA☆S
例によって司会無し、後ろからプロデューサー氏が指示を出したりすることはあっても舞台の上はメンバーのみで回しており、CM入り・明けのタイミングでの切り替えも自然。
田沢涼夏の一人コントが良い。
科白が飛びそうになったり詰まったりはしつつも気合で乗り切って遣り切る。 ネタが内輪受け気味だったのはご愛嬌だが、結構な長さでありつつ、ダレずに見られた。
何曲か演った中では80年代風の味付けの「カ・ワ☆イ・イ(檸檬リミックス)」が良かった。 リミックスしたのは違う人だが、土橋安騎夫の音。
アナログ限定のリリースだったようだが、この音源は欲しい。
meltia
メンバーが好きなテレビ番組をそのまま持ってきたような企画。
内輪受け感が強いダレ場だったが、司会の石橋哲也が苦心して廻していた。
マルチタスクな芸人は喋りながら別のことを考えていることがままあるが、口で進行しながら頭では次の一手を考えつつ、目で状況判断もしていると言う、なかなかどうして凄いものを見た。
まどもあ54世
「叩いてかぶってじゃんけんぽん」と「椅子取りゲーム」
ベタといえばベタな企画なのであるが、こちらでもメンバーそれぞれの性格や振舞いから上手く魅力を引き出して廻していた。
室井ゆうのヤクルトスワローズ耽溺ぶりと、それに乗っかって膨らませる石橋が面白かった。
PIP:Platonics Idol Platform
ドッキリではないが特別な何かがある風な煽り告知。
メンバーも怯えつつ「心理テスト」からスタート。 上げたり下げたりして盛り上げたところで、「これから出てくる人はどんな凄い人でしょう?」的な設問。
心理テストでは無くなっているのだけれど持って行き方が上手い。
出てきたのは高井つき奈で、私は吃驚したのだけれど客の反応は薄く、メンバーも全員誰だか分かっていない。
時は流れた。
矢神久美と森紗雪を脇に従えてユニットのセンターだったのは伊達ではなく、舞台に立つと矢張り華がある。
この本人の前で「ウィンブルドンへ連れて行って」を演ると言う事態に驚愕と困惑が綯い交ぜになる空井福田小室。
それでもとりあへず遣り切ったのは褒めて良いと思う。
後半は高井つき奈も舞台へ。
ふわりと軽く儚く、仄かに甘い。 眼福。
昼に須田町で落語を観てから神田迄歩き、中央線で吉祥寺へ。
ハモニカ横丁のあたりは昔の縁を留めているが、周辺はすっかりごく普通の郊外駅になっていた。
そんな再開発地区のタワーレコード吉祥寺店の入っているビルの二階イベントスペースにて捲土重来のインストアイベント。
タイミングが合わず中々観られなかったのだけれど、漸く初見。 早いところ裏を返したい。
イベント用の簡易ステージは用意されていたものの、スタッキング式のパーティションポールで床を四角く区切って広めに舞台としてのスペースを確保。
楽曲プロデューサー氏曰く「三方から見られる埼玉スーパーアリーナ方式」。
開演前からアイドル系楽曲を上手い具合に繋いで流して会場を温めるのも楽しい。
前列の客はステージを囲んで地面に座る相撲溜会方式。 後ろは立ち見になるが視界は確保される。
楽曲プロデューサー氏より「本日、撮影・録音・録画は・・・すべてOKでございます!!」
その代わり、良いのが撮れたらアップロードして欲しいとのこと。
掛かっていた「デモサヨナラ」がフェードアウトして、リハーサルとマイクチェック。
最後の曲は激しく動くのでステージ際には荷物を置かないようお願いされたりしつつ開演。
二人ともスーっと動いてピタリと止まる。 移動も振りも大きいので撮るのは骨だが実に愉しい。
天井の蛍光灯が入ったりは入らなかったりして煩わしいので、途中から絞りとシャッタースピードは固定して、ピントも含めフルマニュアルで撮影。
撮れると思っていなかったので、手持ちは散歩用しかなく、標準3本に広角1本。 一番ピントのヤマの掴み易い(そして長い)ペトリの55mm/f1.8を選択。 APS-Cの1.5倍換算で82.5mm相当。
至近距離だったので丁度良い塩梅だった。
途中、呼び込まれて今回のシングルにコーラスで参加している中村綾。
細かいことを説明しないのは、この場合良い。 色々あっても立てる舞台があり、引き立ててくれる人や暖かく迎えてくれる客が居ると言うのは実に幸せな事であり、中村綾もそれに応えていると思う。
井次麻友と藤井美音で衣装にゆとりが有ったり無かったりするのはご愛嬌だが、きちんと作られた衣装と言うものは見ている側も嬉しい。
今回のキャンペーンで回ったタワーレコードはどこも広くて怖かったなど、微笑ましい発言もあったが、東京何するものぞ的な気負いの無い、鳥取でやっている通りのものを出せていたのではないかと思う。
元々がサンミュージックアカデミーのレッスン生だった事もあってか、地方発のアイドルに往々にして見られる、幻想の東京がキメラ化してしまったようなウルトラゴシック感は無く、牧歌的でありつつも野暮ったくは無い、長閑さと洗練の絶妙なバランス。
どの大都市からも等しく遠いと言うのは、酒田もそうだったが逆説的に「地の利」と言えるのかも知れない。
地方都市であったリバプールが、衒うでも卑下するでもなく自然体で音楽の発信源たり得たような事が、本邦のアイドルでも可能なのではないか。
それは新潟、福井、鳥取、長崎etc...、各地で実証されつつあるように、私には感じられる。
魚住誠一の、魚住誠一による、魚住誠一写真展。
会場は、先日ポートレート専科を開催していたギャラリー・ルデコの一階スペース。
入り口のガラス以外の壁面に所狭しと写真が飾られている。
展示と言うより圧縮陳列。 見易さなどは顧慮されていない。
数で押すばかりで、それ故に照明も漫然と当てられており、見辛い。
ズラリ貼られている全体を眺める分には支障が無いが、その中の一枚を凝視しようとすると、雑に当てられた照明が邪魔になる。
画一的な構図と紋切り型の表情。 歯見せ笑顔とそれ以外しかない。 良く言えば判りやすく、悪く言えば単調で退屈。
作品と言うより作例と書いた方がしっくり来る、公園の似顔絵描きが並べている見本のような感じで、「こんなことしてます」「こんなふうに撮れます」を提示。
何と言うか「山の手のマルベル堂」。
差し当って見るに堪えないものは無いが、心惹かれるものも無い。
色々書いたが、質的な問題はさておき、身銭を切って定期的に写真展を開催する魚住の行動力は評価したい。
これは駄目だと思ったら、駄目である理由を考え、駄目ではない写真を撮れば良い。
反面教師としての存在意義は大いにある。
雨も上がりかけていたので、渋谷から新橋へ移動して日本テレビへ。
地方発のアイドルを集めたという名目の催しではあるが恣意的な選考であり、地域との繋がりが希薄なところも多く見られたが、そうしたところは予選でほぼ淘汰され、決勝に進んだのは下記の十組。
パツイチモンスター(栃木)、Menkoiガールズ(邑楽・館林地区)、SunRisa(京都・大阪)、アイくるガールズ(いわき)、水戸ご当地アイドル(仮)(水戸)、MlikShake(長崎)、川崎純情小町(川崎)、H&A.(浜松)、さくらんぼんBom(山形)、9-Bit報道部(東京)
致し方の無い事ではあるが、地域に根ざした活動をしようとすると公的資金に頼らざるを得ないところはあり、そうなると介入も招いて楽曲や演出が国体の開会式のような居た堪れない野暮ったいものになってしまう。
東京(都会)を意識しすぎて「幻想の東京」に負けまいとすると、やはり無理が出て、インチキ臭くなってしまう事もある。
残念ながら決勝に進出した中にも、そうしたものが複数見られた。
SunRisaは小学生二人組で歌って踊る部分は良く出来ているが、台本丸暗記感に満ち溢れている現代の角兵衛獅子。
さくらんぼんBomも同様に台本通りの進行であったが、こちらは台本より設定されたキャラクターに縛られている感じで、多少なりともアドリブが利いている分、見られるものにはなっていた。
川崎純情小町と水戸ご当地アイドル(仮)は、首都圏でのイベントやライブに出演することも多く、気負いがない分安心して観ていられるが、慣れ過ぎてしまっていて持ち時間にやるべき事を詰め込めていないところが惜しかった。 聊か冗長。
MlikShakeは先に決まっていた九州でのイベント出演と被ってしまい、8人中3人の出演。
予選の出来が素晴らしかった分、手薄なところが出てしまっていて、構成も盛り上げ方も良かったが今一つ波に乗り切れないまま終わったのは惜しかった。
アイくるガールズは楽曲も悪くないし、舞台の上での振舞いもしっかりしており、見世物としてはちゃんとしたものであったが、客の質は最低。
入場が終わったところに集団で割り込んで前方ブロックを占拠し、他のグループのライブ中も見るでもなく見ないでもなく、儀礼的な拍手すらしない。 兵馬俑が並んでいるような状態。 そこに陸続とアイくるガールズのティーシャツを着た連中が「すいません」でもなく割り込んでくる。
更には人波を掻き分け、荷物や三脚を蹴飛ばして出たり入ったり。
演者の替わり目で客もなんとなく入れ替わるのはこうしたごった煮ライブの常であるが、アイくるガールズの客はお目当ての出番前になると大挙して舞台正面前方へ移動し、圧縮が起きていた。
これは審査ポイントの一つに客の拍手の音量があり、音量計に近いところに陣取ったほうが有利であるという考えに基く合理的判断ではあるのだけれど、他のグループの時には儀礼的な拍手すらしない事も含めて振舞いとして浅ましい。
審査結果待ちの時間に、公式サポーターと言うことになっているLinQのライブ。
司会者との掛け合いで喋らなければならない部分では到らなさが目立ったが、歌って踊る部分は図抜けていた。
しかし盛り上がるのはメジャーデビュー以前の古い曲であり、図らずも浮き彫りになる「それ以降」の迷走振り。
例によってLinQのみ撮影禁止なので、連中が舞台上に居るが故に撮影禁止のお触れが出るなどの茶番もありつつ審査結果発表。
下馬評通りアイくるガールズが優勝。 これは予想通り(良くも悪くも)だったが、二位にさくらんぼんBomが入ったのには驚いた。
勝つたびに客の振舞いで敵を増やすアイくるガールズのあまり明るくない未来を感じつつ帰宅。
渋谷と恵比寿の間にあるギャラリーでの写真展。
何をやっているのか通りから見えるので入りやすく、光が間接的に入って良く回るので写真も見やすい。
松田忠雄がモノクロで撮った写真展は何度か開かれているが、今回は被写体が男性。
左右の壁にロケで撮ったもの、奥の壁にスタジオ撮影分。
スタジオで撮ったものは、どちらかと言うと色白な被写体を黒バックで黒光りするように撮っている。
ミュージカルで使う銀色の塗料(オズの魔法使いのブリキ男など)を塗ってモノクロで撮ると、こんな仕上がりになるとの事。
ロケで撮った分はMモノクロームで撮った由。
粒感の有ると言うか、白と黒の間、黒と灰色の間の諧調が豊かな美しい。
以前はデジタルで撮ったものをプリントすると、情報量の少なさが視覚的に感じられたものだが、今は昔。 デジタルもここまで来たか、の感。
レタッチはそれなりにしているのだと思うが、どのプリントも自然で、弄った痕跡が目に付くものは無い。
これは撮っているレンズが良いと言うのも有って、良いレンズはフィルムに残る(今は撮影データだけれど)情報の量が多く、プリントする際に潰しても飛ばしても絵になる。
作品は全て購入可能。
サイズはいつもより小さめだが、その分手頃になっていて、心理的ハードルはそう高くない。 被写体が好きなら思い切れる値付け。
印刷機で刷られたものとプリントでは一枚に込められた情報量の桁が違うので、本当に気に入った作品に出会ったら思い切って購入することをお勧めする。
ピントの置きどころ、深度、露出、全てが適切。 ピタリ嵌っているようでいて、決まり過ぎた息苦しさも無い。
手元に置きたくなる美麗な写真達だった。
プロ野球負けられない宣言
先日行われた観戦ツアーの模様を動画を交えて。
西武がこてんぱんにやられてヤケクソな(それでも芸人としての自らは忘れない)石橋哲也。
試合には勝った空井がその後の泥沼を知る由も無く、無駄に上機嫌なのがドキュメントとして面白い。
PIPEACE
瑞野と山下が休み、派生ユニットからゆたんぽ%。
司会はいつもの石橋哲也(カオポイント)
地上波バラエティー出演記念と言うことで、今回は「すべらない話」。 すべってしまったらその話をリメイクすると言う事で、ゲストにBBゴロー。
稲川淳二の物真似で知られているが、実はこの人は筋金入りのカープファンで「ヘバってきた時の北別府学」が凄いのである(が、それはまた別の話)
すべってしまった話はBBゴローの助言で怪談にリメイクと言う事で、そっち方面が苦手な小室とゆたんぽ%が始まる前から怯えている。
空井はネタとしては面白いが話が刈り込めておらず、石橋曰く「無駄に球数が多い」。
ロッテで喩えると三宅宗源か。
ネタとしては面白い話も、総じて整理されておらず、起承転結も無い。
短く纏めて聞く側に興味を持たせつつ話すと言うのは、やはり難しい。
バラエティとなると矢張り見せ場は小室が持って行く訳なのだけれど、今聞いた怪談を自分なりに再現しろと急に言われて照れも衒いも捨ててやれるなりにやってみる姿勢はもっと評価されて良いと思う。
定期ライブ
一寸遅れて14:09頃に開演。
「僕を信じて」の福田の歌い出し。 まぁまぁ安定はしてきたので、この調子で音が取れていればこなれて行くと思う。
LasRabbi は今月も「踊ってみた」で一曲。
この「踊ってみた」と言うものが私には分からない(好き嫌いではなく分からない)し、需要があるかどうかも分からないのだけれど、質としては悪くない。
本気で踊る森崎の脚。 間近で見ると慶派仏師の作のような隆々ぶり。
先日告知のあったオリジナル曲は9/19のイベントでお披露目とのこと。
ユニット曲はこれまで演ってきたものの焼き直しばかりで、評価できるのは濱野と瑞野の「ライオン」のみ。
瑞野はまだこなれておらず、歌詞が飛んでしまったりと粗もあったが、歌に関しての伸び代は大きいように思う。
濱野は捏ね繰り回し過ぎるところが気にはなるが、矢張り上手いし魅力的な歌い手ではある。 それがこれ一曲のみと言うのも解せない。
歌と振り付けで後者に重点が置かれすぎているのも気になるのだけれど、それはさておき。
現状で演者としての魅力が劣る者が同じ曲を演っても思い出補正が掛かる事もあって、並大抵の出来では超えられないし、超えられないのが判っていて演るのは思考停止であり、送り手としての怠惰であると私は考える。
やる気が有るメンバーが居るのであれば、新しい曲をやらせても良いのではないか。
秋葉原へ向かう途中で会場の入っているビルの三階の「とらのあな」で千円分のチケットを買えとのお達しを知る。
ありとあらゆる頽廃の並ぶ店内で待つこと十分、なんとか開演前には買うことが出来たが、趣味道楽を解しない民間人より趣味の合わないオタクの群れに放り込まれた方がより辛いと言う事が身に染みて分かった。
なんとか会場に辿り着くと、掛かっているBGMの音量が向かい合って会話が成立しないくらい無駄に大きい。
暫くして空井が出てきて開演は10分遅らせるとの告知。 こちらもマイク音量が無駄に大きい。
自分たちでイベントを回すなら音響機器への気配り(勿論操作方法などの知識含)も必要。
遅延の理由はチケット購入に時間が掛かっている為。
その日の夕方になっての告知と言うのがそもそも泥縄であり、物販の単価も木戸銭も同じく千円。 態々チケットを買わせる意味が分からない。
19時を回った頃にはつ離れするかしないかだった客も徐々に増えてそれなりの入り。
開演前に濱野智史が出て来てチョチョイと弄ると、BGMもマイク音量もあっという間に適正音量。
ほんの一寸した事なのである、それが出来ていない。
15分遅れで開演。
何度見ても不安定だった福田の「僕を信じて」の歌い出し。 とりあへず音は取れるようになっていた。
自己紹介を挟みつつオリジナル曲で押す構成。
今日出演のメンバーで出来る事を色々詰めて来たらしく、客席とステージが近く境界も曖昧なこの会場ならではの演出なども盛り込んでいた。 この意気は買いたい。
「誘惑のハートビート」の肝となる歌い上げる部分は空井。
肩に力が入り過ぎず、歌にはなっていた。
空井の振り付けが一人だけ大きく、全体のバランスを崩していると友人が話していたので注視。
振り付けが大きいと言うより、動きを止められずに流れてしまっていた。 意識でも技倆でもなく、体力的な問題かもしれない。
石川の脹脛の所謂「鰹節」が発達していた。動きもよりキレのあるものに。
森崎は踵重心で、あまり足首を使わない。
踵が地面についた状態からの初動の遅れを力技でカバーするから豪快に見えてしまってたおやかさに欠けるのではないか。
中盤は濱野智史による作詞講座的なもの。
AKB48のシングルと公演曲の成り立ちの違いを導入部に「飽きられない曲」の方法論。
15秒のCMで掴まなければならないシングルと何度聴いても飽きないようにしなければならない公演の曲では自ずと歌詞の書き方も変わって来ると言う話。
百回聴いても飽きない曲にするには「宛て書き」で始まる。
濱野:「宛て書きって何だか分かる?」
小室:「思いついた事を言う。」
濱野:「それは『あてずっぽう』だね。」
福田:「住所?」
濱野:「それは『宛名書き』」
ご長寿早押しクイズ的な一と幕もありつつ。
「メンバーやファンについてのこと」
「どうとでも取れるように」
「聴いた時ではなく、後から分かるような」
「固有名詞は避ける」
「はっきり書かず文脈の中で汲み取れる程度に」
「Bメロの書き出しは逆接で」
「語尾の一音で変わってしまう」
etc...
こうした「アカデミズムの薫り」がPIP:Platonics Idol Platformの面白さであったことを思い出した。
初期のPIPには濱野主導でこうした毛色の変わった企画が毎週のように有ったが、会議室を追われたディアスポラ以降は定期公演とごった煮ライブばかり。
毎月のようにメンバーが抜けて行く状況下では難しかったと思うが、今後に期待したい。
そう言えば、久し振りに楽しそうな濱野智史を見た。
終演後、物販が始まる際にPAを弄りに行く石川。
スタッフに「何をしてたの?」と訊かれ、微笑みつつ答えて曰く「一寸音が大きかったので。」
この機転は嬉しかった。
PIP:Platonics Idol Platformも良いほうに転がりつつある。
小室志織(PIP:Platonics Idol Platform)
インストアイベントにあまり早く行くのも野暮であるなぁ・・・とのんびり出かけたら既にぎっしり。 人並みの隙間から見えそうな場所を探す。
写真を撮るには過酷な状況であり、ファインダーを覗いている間はストレスも溜まるのだけれど、カメラを下ろしてステージに目をやり耳を澄ますとさっきまでの苛立ちが鎮まり、幸せな気分に。
正直村から正直を広めにやってきたような4人は「汚れちまった」我々にはあまりにも眩しく、直視するのが憚られるくらいなのだけれど、知らず知らずのうちに涙腺が弛緩する。
かたじけなさに涙こぼるる
購入したアルバムは、時間は掛かったが、今出すことに意味のある、聞きしに勝る素晴らしいものであった。
大石若奈(RYUTist)
写真はまとめてこちらに。
長崎発のアイドルMilkShakeのライブを観てきた。
昨年の今頃に矢張り東京でイベントやライブに出たことがあって、その時が初見。 漸く裏を返すことが出来た。
会場としては撮影禁止だがMilkShakeは撮影可との事で、七つ道具背負って品川へ。
東京アイドル劇場はカラオケ屋に間借りしての興行形態なのだけれど、思ったより設備も運営もしっかりしていた。
中核を担ってきたメンバーが辞めたり、人員の変動はありつつも雨降って地固まる。 補って余りあるを絵に描いたようなグループ総体としてのレベルアップは成長と言うより進化の域であった。
昨年は振り付けの独自解釈が目立った(それはそれで味があった)のだけれど、今年は歌って踊る部分は高いレベルで均質。
やるべき事をきちんとやった上で目配り気配りが出来ており、大掴みで客席を見ることも出来ているし、場内の客一人ひとりを目で殺すような芸当もさらりとやってのける。
(目で殺しに来る藤本実緒)
曲は長崎らしさを盛り込みつつ、あざとさや田舎臭さは無い。
地方発のアイドルでは東京への対抗心を無駄に燃やして洗練を目指したはずが野暮に堕することがままあるが、国際港湾都市の懐の深さであろうか、肩に力が入り過ぎる事も無い。
実に良いものを見た。
河合ゆうな(MilkShake)
写真はまとめてこちらに。
「石川野乃花動く!PIP伝説の会議室公演がついに復活!悲願のオリジナル曲オンリー定期公演への道!」~今年も浴衣で夏対決~PIPの新たな発表も!ついに全メンバーが…
と題しての浴衣イベント。
開催日と開場・開演時間と入場料、参加メンバーについては告知があったが、チケットの販売方法や撮影の可否(昨年は撮れる時間もあった)などについては触れられておらず、手探りで始まったメンバー主導イベントとは言え下準備の雑なのが気になった。
チケットの販売開始時間についての告知は無かったので、ワロップ放送局で行われている他のイベント・公開放送から類推。 開演一時間前からの販売と見てチケット売り場へ行って見たら果たしてそうであったが、買いに来ていたのは私一人。
こう言うことは告知に盛り込んでおいて然るべきであろう。 告知が雑でもそう言うのに慣れた常連はなんだかんだで集まるのだけれど、その外側の客に来て貰おうとする意欲が感じられない。 300人入る箱を埋めるという目標を掲げるのは悪いことではないが、その為にすべきことは山ほどあり、片っ端から片付けていかないと年内に埒を明けることは出来ない。
表題通り石川主導で始まったイベントではあるが、喉風邪にやられて声が出ないと言う事で空井が司会進行。
タイムテーブルにあわせての進行は出来ていたので必要最低限の仕事は出来ていたが、及第点には程遠い。
懸命なのは見ていて判るが、状況を俯瞰出来ていない。
マイクを使ったり使わなかったり。 そこまで気が回らなかったと言う事なのであろうが、マイク無しだと声を張っても通らず、そのままの喋り方でマイクを使うと今度は無駄に喧しくて聞き取れない。 手に持ったものを説明するのであればマイクスタンドを用意しておくなり隣に持たせるなりすれば良いのだけれど、空井も周りに居るメンバーも機転が利かない。
飛んでくる野次に一々反応して翻弄されるので、客も味を占めてさらに介入。 場のコントロールが全く出来ていない。
客と司会者と相互依存で狎れ合うような構図。 濱野智史の物販重視の方針の弊害がここに来て表面化しているように思う。
淘汰されて残った客がフォン・ゼークトの四番目みたような手合いばかりと言う前提条件としての不幸はあるが、それにしてもこの一年腕っこきの司会者と一緒に仕事をしてきて何を学んだのか。 master of ceremonies としての自覚に欠けている。
浴衣の着付けは一寸問題あり。
糊が利いておらず火熨斗も掛けていないので皺が多く、帯の下に入れるアンコが足りないので身体の線が出過ぎる。
濱野や石川のように体型に凹凸がある場合、品良く見せる為に身体の線は隠したほうが良い。
前半ミニゲーム大会、後半ミニライブ。
ゲーム大会はカキ氷早食いと西瓜割り。
西瓜割りは、勢い余って棒をへし折る濱野、目を回して間寛平演じるところの老婆のごとく危なっかしくヨロヨロする小室などは楽しかったが、割れたスイカからの飛沫が浴衣に付く可能性を閑却しているのが気になった。
ミニライブは浴衣によって制約を受ける身体の可動域に合わせた振り付けの修正などは施されておらず、派手な着崩れは無かったが美しい動きではなかった。
「新たな発表」とは、ツイッターの個人アカウントの運用開始について。
新たに何か始めるのは構わないが既存のものとの釣り合いをどうして行くか、やりっぱなしで説明もなしになし崩し的に自然消滅させていった濱野智史を反面教師として欲しい。
正直言って消化不良であり、「楽しかったですか?」と訊かれても答えようが無い。
課題ばかりが見えたイベントであった。
渋谷にあるルデコギャラリーのビルを一棟丸々借りきっての写真展。
「ポートレート」と言う縛りはありつつ、ポートレートと言うものの捉え方は様々。
幅広く懐の深い展示。
一度六階へ上がり、そこでアンケート用紙を貰って、下に下に降りながら順繰りに見て行く趣向。
場内はプロとアマの展示が併存。
エレベーターに使用方法についての注意書きが自棄に細かくあり、製造メーカーを見るとシンドラー。
恐々六階へ(そしてこのエレベーター、実に遅い)
六階
レタッチ過多、演出過多の塗り絵が多く、見るに堪えないものは無かったが私の興味を惹くものも無かった。
五階
話には聞いていたが常盤響の作品がヒドい(非道い・酷いではなく「ヒドい」)
失笑寄りの苦笑。 馬鹿々々しくも楽しい。
石丸博司は眼のアップが二点。
生々しいが生々し過ぎず、モデルが此方ではない何処かを見ているのも良い。
四階
休憩スペースになっており、夜は出展者を中心としたトークショーなど。
三階
半沢克夫、被写体と配置の妙。
ずるい写真。
魚住誠一
沖縄で撮った物なのだけれど、写真そのもので語らずに看板の文字に語らせてしまっている。
この辺りの「写真の力を信じていない」感じが、妙に説明的だったりあざとかったりする原因なのではなかろうか。
二階
舞山秀一
画布っぽい風合いの紙にプリントしてパネル貼りしたもの。
被写体ぶれ、逆光、紙質などでモデルの表情は漠然としており、曖昧に結像したモデルとの距離感と言うか、モデルから発する熱のようなものは感じられる夢の中の出来事のような五枚。
粗い質感の紙なのだけれどプリントは丁寧で、肝心なところだけが判然としない。 描ききらない、語りきらないことで出来る解釈の余地。
金利健司
エロが入っていれば何を撮っても良かったと言われる映画の撮影時に切ったスチルのような、芝居仕立ての組写真。
炭坑モチーフなのだけれど、土門拳の「筑豊のこどもたち」のような凄惨なまでの貧しさはなく、戯画的で軽いがこれはこれで良い。
一階
上野勇
愛娘を撮った6カット。
年端の行かぬ幼女でありつつ、上野勇が撮ると「女」が滲み出てくるのが゛面白い。
佐々木早紀
ゴールデン街の猥雑さを棚から一と掴み。
こねくり回さないのは良い。
萩庭桂太
巨大なモノクロプリント。
遠くから見ると「綺麗なプリントであるなぁ」くらいの感興しか催さないのだけれど、寄って驚く。
細密描写でありつつ、離れて見ても絵になっている。
解りにくい凄味。
地下
青塚博太
魚住と同じく沖縄で撮った写真。
同種のメッセージを込めつつ、こちらは撮影場所の地霊や小道具、モデルの表情などで仄めかす。 語らずに語る写真。
金沢康二郎
見せ方は面白いが、コントラストが高過ぎるのが疵。
手札より小さいくらいのプリントを一と回り大きな額に入れた、覗き窓のような作品群。
テラウチマサト
流してざっと見た時は「暗めのプリントだなぁ」くらいにしか思わなかったのだけれど、寄って見て驚く。
非常に厳しいプリントで、黒と灰色、灰色と白の間にある、目を凝らすと見えてくるもの。
アマチュアと同じ土俵に立つ羽目になった時に出るプロの本気。
これが衒いや逃げで外連に振れると詰まらなくなり、捻じ伏せる方向に振れると面白くなる。
舞山、萩庭、テラウチあたりの「大人気ない」写真には唸らされた。
古いビルなので仕方が無いと言えば仕方が無いのだけれど、天井が低く照明に関してはあまりよろしくない。
どの角度からどうやっても見づらい写真が何枚かあり、これは出展者に「見てもらう」意識が薄いことにも要因があるが。
来年三月以降は建て替えのため閉鎖。 規模を縮小してギャラリーそのものは続くが、ポートレート専科の次回開催は未定との事。
秋葉原の真ん中にありつつも古びたビルの4階にあるイベントスペースにて、PIP:Platonics Idol Platformの夏休み特別企画ソロイベント。
絶対に聞いていただきたい大切な発表があります。平日ですがみなさんに来ていただきたいです。よろしくお願いします。
との事前告知もあったので、万難を排してみた。
火曜夜のPIP目当ての客が「つばなれ」しなかったのでどうなるかと思ったが、そこそこの入り。
40から入っていたし、仕事帰りに物販だけ寄る向きも居たようだ。
開演前、楽屋から私服で出てくる豊栄真紀。
客「あれ?居たんだ。」豊「今日はPAです」
そのPAが大変なことになっており、リハーサルまで出ていた音が本番になって出ない。
いろいろ調整をしていたがどうにもならず、音が出ない前提で開演。
そうすると不思議な事にマイクが生き返ったりもするのだけれど、最後まで生きてるのと死んでるのが混在していた。
先ずは軽くライブから。
重馬場に強いというか、小回りが利くと言うか、会議室で設備の悪いのは慣れている所為か状況と道具立てがどうでも狼狽えないのは良い。
工藤と石川が何と言うか「シュッ」としていた。
工藤は少なくとも歌って踊っての部分は楽しんで出来ており、表情も豊かで且つ明るい。
石川は膝の皿の下にあった線が消えて、全体的に絞れた印象。
窶れた感じは氏はないので、考えてやれているのだと思う。
森崎の声の掠れが深刻。
仕事や立場もあろうが、全く声帯を使わないような思い切った静養は必要であろう。
無意識に声帯を使わないために音楽も聴かないくらいの割りきりが必要。
メンバーにも内容を知らぜていなかったと言う重大発表は、12月目処でオリジナル曲による新公演を行うというもの。
夏休みのイベントの収益を制作費に充てる
全10曲+α、90分程度
AKB48で例えると「パーティー公演」に相当するもの
作詞は濱野智史とメンバー
300人の動員が目標
8月一杯はイベントを打ち、9月から制作を開始
ファンミーティングやトークイベントなども行い、客の意見も聞いていく
新公演スターティングメンバーと言う位置付けでメンバーオーディションを行う
ホームページなどは近日中に
押上ワロップ放送局の久保こーじの番組にPIP:Platonics Idol Platformからゲスト三人(石川、空井、濱野)。
バンドをバックに歌うと聞いて足を運んでみた。
久保こーじとその周辺のお客さんが多く、PIPの客はちょぼちょぼ。
「PIP:Platonics Idol Platformとは何ぞや」と言うところから、現在進行中のレコーディングの話など。
濱野舞衣香は例によってまだ発表してはいけない諸々の断片を口走りそうになったりして、話すのは主に石川と空井。
普段出演しているワロップの番組とは異なり、その場の思いつきと「ノリ」で進行して行く為、その時々々で振る舞いの最適解を考えなければならず、また番組本編終了後にやり慣れない生演奏にあわせて歌うライブが控えていることもあってか硬さは見られたが、先ずは及第点。
PIPの成り立ちちや目指すところなどを、漸く自分たちなりの言葉で語れるようになってきた。
番組終了直前に段取りが変わり、番組内では歌わない筈が急遽歌うことに。
喋るほうは危なっかしい濱野も歌になるとしっかりしたもので、歌が切っ掛けで伴奏が始まる難しい段取りながらそつなくこなしていた。
石川は頬のあたりがほっそりした印象、目を落とすと膝の辺りも引き締まっており本気で絞っているのが目に見える形で出ていた。
歌は守りつつ攻めるような、音程の取りにくい所は慎重に、取りやすいところは張る感じ。
空井はまた一と皮剥けていて、頑張り過ぎずに抜くべきところは抜き、抑えるべきところは抑える歌唱。
歌声に情緒が出てきた。
色々なものが飛び出していってしまったPIPではあるが、希望の種は残っていたし、芽吹きつつもある。
プロ野球負けられない宣言
PIPEACEで司会を務める石橋哲也と空井による前説代わりの野球談義。
リハーサルが長引いたため、メンバーを舞台に呼び込んで準備を整えてから駆け足で現状の順位とチーム状況についてひとしきり。
兎に角ホークスが強すぎるのであるが、それにしてもロッテも西武もパッとしないと言うか、不安材料が多く、オールスターでも良いところは出しつつピッチャーがメロメロで双方ぼやきに終始。
PIPEACE
前半はネット配信のバラエティを1時間。
小室がお休み、山下緑と森崎恵プロデュースの派生ユニットから ゆたんぽ% が参加。 (北川萌絵は「リバプールの風」とかそう言ったものになってしまったのだろうか)
お題は「夢のデートコース」
高校生以下のメンバーは具体性の無い甘酸っぱいことを書いてくるのだけれど、大人になるにつれ身も蓋もなくなってきて、梅雨が明けていきなり暑くなった所為か、家でカウチポテトを決め込むか外に出ても水族館と言う感じで聊か話を拡げにくい。
そこは上手く突っ込みどころを見つけて回していた。
森崎は企画意図すら超越した妄想の暴走。
森崎の振る舞いに関しては多少もてあましている風ではありつつも、石橋が上げたり下げたりすることで間が持つ。
途中からおずおずと小室が合流。 ナックルボールのように行き先が読めないところはあるが、話を振れば(振らなくても)兎に角なにかか起きる 機械仕掛けの神。
小室にしろ森崎にしろ、計算できる面子が居ると弄り難い連中にも話を振りやすくなる。
グループの中核を担ってきた連中がごっそり3人抜けることが分かっている状況下であったが、とりあへずはバラエティ番組として成立させていたのは褒めて良いと思う。
定期公演
後半はライブを90分。
今日で辞める三人が影アナ。 「盛り上がってますか?」
それは流石に無理であろう。
自らの未来を切り拓くために辞めると言うことは了解しつつも、それはそれとして「おいてけ堀」を食らっても居る訳で、賑やかでありつつしめやかな、芸人のお弔いのような雰囲気で開演。
序盤はオリジナル曲から。
櫛の歯が欠けて全員出ても舞台に収まる規模になっており、歌はともかく踊るほうはあやふやな山下と派生ユニットのメンバーであるゆたんぽ%以外全員で。
軽く自己紹介など挟みつつユニットコーナーへ。
森崎恵プロデュースの派生ユニット LasRabbi は「ハロー、ミスターチョコレート」。
ボーカロイド曲の所謂「踊ってみた」であり、どうなるかと思ったがきっちり見世物にはなっていた。
「アイドル」を観に来た客にどこまで訴求し得るかは正直なところ分からないが、森崎なりの目算はあるのだろう。
初期に3チームに分けて居た頃に演っていた「禁断のカルマ」「アーモンドクロワッサン計画」「Baby! Baby! Baby!」
一と癖ある面子の揃っていた「禁断のカルマ」も残っているのは4人、一人辞めて一人休業なりで恐らくは見納め。
さいごと言うこともってか、柚木はリミッターを切った凄味のある動き。 今日で遣り切ると言う強固な意志を感じる。
澤村と瑞野の「高嶺の林檎」も見納め。
初演から徐々に質を高めてきた演目の集大成。 瑞野が自分を出すことでバランスが整い、これまでで一番良かったように思う。
「てもでもの涙」
工藤がスタンドマイクを持って出てきてイントロが流れたと思ったら裏でドンガラガッシャン的な物音。 なにやらひっくり返したようだったが、柚木が反対側から出てきて歌い出しにはなんとか間に合わせていたが、このあたりも鬼気迫るものがあった。
「君のc/w」
澤村、小室、空井。 ほっと一と息。
「ウィンブルドンへ連れて行って」
福田、橋田、柚木。 可愛らしく演るべき曲ではそのように振舞う柚木。
のっけから目を潤ませ、声を震わせる福田。 柚木ですら瞬きが妙に増える中、つられて感情を乱さないのが橋田。
小室と空井が入って「スカート、ひらり」
全員出てきて上手下手で賑やかし乍ら濱野、柚木、空井で「初恋サイダー」。
なんでこんな陳腐な曲をと思ったものだが、濱野曰く「定番曲ですが、業界最高を目指します。」
こう言うよく分からない拘りがPIPをPIPたらしめて来たと思う。 良くも悪くも。
春先以来こうした「妙なこだわり」が薄らいでいるように思う。
曲が終わって「やり切れましたか?」と石川、「まだです」と柚木。
客に謎を掛けて置いて捌けて行く、この後演る曲は決まっているのだけれど、予定調和に堕さないこの仕込みは良かった。
アンコール明けは辞める三人が「ごめんずっと」(澤村)「頑張ってる途中」(柚木)「コネクト 」(橋田)
澤村の伸びのある高音、裏まで使える技倆に今更ながら驚く。 つくづく惜しい。
橋田は息が上がらなくなることも表情が死ぬこともなくなり、常に舞台の上の人としての自分を保てるようになってきたところなので、やはり惜しい。
歌い終えたところで「やり切れましたか?」と石川、「はい」と柚木。
花束贈呈などの後、今後の展開など告知。
CDのリリースに関してはワロップ放送局が立ち上げるレーベルから第一弾として・・・までは良かったが、同時リリースが桃井はるこというオマケが付いてきた。
友人と顔を見合わせて「また井上か・・・」と歎息。
頭がグラグラ、グラディウスであった。
これまでグループの中核を担ってきた柚木と橋田が辞めてしまった。 解り難く喩えると榎本喜八と落合博満が同時にいなくなってしまったロッテと言う感じ。
PIP:Platonics Idol Platformは飛車角落ちで夏を迎える。
小室 志織(PIP:Platonics Idol Platform)
ペンタックスK10D + ヘリオス44M-4 58mm/f2.0 ほぼ開放
iso=200 1/200s 1/3アンダー補正
湿っぽくなりがちな日は、小室の明るさに救われる。
「アイドル好きアイドル」『神セットリストを作ろう』
第5火曜まである月の、余一会のような企画。 「アイドル好きなアイドル」としてnotallから片瀬成美と佐藤遥、PIPから石川、工藤、濱野、森崎、柚木、ゆたんぽ%。 司会は石橋哲也(カオポイント)
1グループ1曲、1人につき1出番で前12曲のライブの構成を考えるというもの。
裏ルールとして「予算12億」一億円あれば大抵のグループは呼べるだろうということらしい。
実際何が見たいかと言うだけでなく、話をどう膨らませるか、司会者にどう拾ってもらうかまで考えられているかどうかに差が出ていた。
ボケにボケてボヤいて石橋の突っ込み待ちの森崎と、多段階のオチまで入れてくる佐藤遥が出色。 どっち付かずになると司会者も扱いに困る。
最後の最後で理由は分かるのだけれど、石橋哲也の司会ぶりにいつもの冴えは無く、ほどほどの盛り上がりで終了。
企画としては面白かったし、話を広げるためのルールも良く練られていたとは思う。
やるタイミングが悪すぎた。
「notall×PIP対決特番!~tokyo torico2の顔はどっちだ~」
7月から2年目に入るtokyo toricoの顔を決めると言う体での対決企画。
自慢対決
腕相撲対決
胸キュン対決
大喜利対決
パフォーマンス対決
司会の石橋が上手く上げたり下げたりして引き分けの決着、tokyo toricoの顔はと言うと「モコ族」と言うオチ。 全員でズッコケて番組としては大団円。
終演後にnotallの物販は別室で行うとの事でPIPの客だけが残り、そこで橋田と柚木が辞める件、永瀬が休業する件が発表。
そりゃどうやったって葬式ムードは表に出る訳で、notallの皆様(とお客さん)には全く以って申し訳ない仕儀になってしまった。
私は番組として楽しめず、物販に行って話す何も無い状態だったのでそのまま帰ろうとしたところで石橋に促された永瀬が休業を、橋田が辞める旨発表。 居た堪れなくなって出てしまったのだけれど、そこから更に柚木が辞める件と濱野智史からの説明があったらしい。
自分たちの客に自分たちの口から伝えたいという気持ちは分かるが、ネット配信とは言え「番組」である訳で、それを破壊するような形で利用するのは芸能を生業とする人間としては避けて然るべきであり、驕りと捉えられても仕方が無い。
共演者はやりにくく、司会も盛り上げ辛く、放送局側としては番組が盛り上がらない。
切羽詰った状態であったにしても、視野狭窄に陥って掛けてはならない相手に迷惑を蒙らせた事は事実であり、PIPのイベントやライブの中では最悪の後味であった。
さてはて、澤村に続いて橋田と柚木。 飛車角どころか玉まで無くなった将棋をこの先どう指すのか、投了まで見て行こうとは考えている。
どんな状況にあろうとも、一旦幕が上がったら終演までは舞台の上の人として振舞わなければならない。 notallは全員、PIPだと森崎はそれが出来ていた。
知っていて知らないふりをしなければならない石橋もやりにくくはあったと思うが、最後の最後まで客に気取られること無く進行していた。
ただ石橋が動かそうとしても何時にも増して反応が鈍いメンバーもおり、同情の余地はありつつも見ていて辛く居た堪れない気分で過ごす羽目になった。
私などは所詮客に過ぎず、表面に出てきていることから判断するしかないが、楽しい未来を仄めかすだけでいいから提示できるアイドルであって欲しい。
「はじめてのチーム8公演」と銘打たれている通り、チーム8公演未見の客を対象にしており、当選確率が高そうなので久しぶりに申し込んでみた。
キャンセル待ちの厳しい番号ながら辛うじて当選。 行ってみたら木更津でのイベントが重なって客が割れた事もあってか抽選枠内で買えた上に入場時の籤運も良く、割と早いうちに呼ばれて中へ。
(ちなみに劇場公演を見るのは2009年7月のチームB以来となる。)
次にいつ観られるか分からないので距離と視野率を天秤に掛けて距離を採ってみた。
舞台中央から半分は見えないが、近くないと見えない物もある。
影アナは鹿児島代表の下青木。 注意事項が原稿の大半を占めるだけに努めて標準語で読んでいるのが微笑ましい。
各都道府県から一人ずつと言うのも面白い。 トヨタがお旦と言うこともあってか、都市対抗をアイドルでやっているような印象。
Over ture から「PARTYが始まるよ」「Dear my teacher」「毒リンゴを食べさせて」
このあたりはチーム8のメンバーについて予習して行かなかったこともあり、歌い踊る目の前の連中より「ああ、ここは数少ない宇佐美のパート」「パーティー砲発射」「ここで成田に合わせて成田の客も前のめり」「『でっきなぁーい』で回る平嶋」など、死んだ子の歳を数えるように過去の幻影を見て涙に暮れる。
チームKでもチームBでもさんざっぱら観た筈なのに、思い出すのは何故かチームAですら無かった、篠田も居なかった頃の立ち上げメンバーの姿。
3曲終わって自己紹介と相成ったが、声はすれども姿は見えずで誰が誰やらのままユニットコーナーへ。
(「お色気担当」は不吉なので止めておくが吉)
ユニットの曲になって漸く人となりが見えてくる。
「スカート、ひらり」
低く地を這うような動きの二人が目に留まる。
帰りに壁掛け写真で横道侑里と谷口もかであった事を知る。 面白い。
チーム8は少なくとも初期の3チームとは違っていて、素人然とした「出来ない子」が居ない。
技倆には矢張り差があり、至らないメンバーはそれなりの役回りなのだけれど、出来ている連中は既に一定以上のレベルに達していて且つ擦れてはおらず、大人の思惑でこの先どうなるかは分からないが少なくとも現時点では純粋培養が吉と出ている。
「クラスメイト」
戸島のソロパートだけが戸島の声で脳内再生される。 戸島の声だけ撰って聴いていた事にほぼ十年越しで気付く。
「あなたとクリスマスイブ」
「演るんだ」と言う単純な驚き。 曲の半ばで立ち上がり、舞台の端まで歩いてくる演出が嬉しい。
死角の多いこの劇場では、人数の少ないユニット曲などでは一曲丸々見えないと言う事もままある。
「キスはだめよ」
プレートメイル衣装の円盤がひん曲がっていて経年劣化が激しい。 大事に使ってよくもたせているとは思う。
立ち上げメンバーも初期チームKの連中も梃子摺っていた曲だが、さらりと演ってのけていて驚く。
「星の温度」
横道侑里と谷口もかが再び登場。 横道は扇情的な動きをしつつも程が良いのでくどくならない。 盛り込み過ぎず、むしろ刈り込んだような印象。
「星の温度」のアウトロで暗転。 ケミカルライトならまだしも、スイッチの付いているペンライトを点けっ放しにする馬鹿が多いのに呆れる。
スクリーンに映像を投影する際には、場内警備スタッフが点けたままにしている客に声を掛けて消してもらっていた。
客席を照らす薄明かりがあって完全暗転にはならないにしても、何故そう言う演出になっているか分からない非常識。
着替え待ちの間繋ぎのお題トーク。 普段喋っている言葉を矯正する必要が無いので、様々な方言が飛び交う国語元年。
「桜の花びらたち」
この曲の衣装のスカートは柔らかな布地で左右に緩く翻して映えるように出来ており、ステップを激しく細かく踏むと裾が暴れてあのり美しくないのだけれど、往時の宇佐美のように16ビートを刻んでるのが居て懐かしさに笑う。
曲の後半で花びらマシーンが起動。 これが動いているのを見るのも何時以来だろう。
「青空のそばにいて」
マイクスタンドを片付けかたがた捌けて行ったメンバーが三々五々戻ってきて曲が始まり、終わりに差し掛かってセリが上がって行く。
私の葬式にはこの曲を掛けて欲しい。
曲が終わって捌けて暗転。 かつてはお座成りだったモップ掛けはやけに入念で二往復。
それを見届けてから散発的な拍手を起点に、醜悪なヘゲモニーの取り合いや、馴れ合いを経ずアンコール。
歌詞に出てくる店の大半が既に無い「AKB48」から「桜の花びらたち」で再び暗転。
通常の「PARTYが始まるよ」公演はここまでだが、チーム8はオマケ付き。
チーム8メドレーから「汚れている真実」「僕たちは戦わない」で終演。
メドレーからはゴリゴリしたダンスナンバーが続く。
これが踊れればパーティー公演の曲は軽くこなせると思うのだけれど、流して演る事も無く、盛り込みすぎて壊す事も無い。
この辺りの匙加減は裏方がコントロールしているのだと思う。
オケの音が途切れて止まり途切れたところから始まるトラブルがあったが、何事も無かったかのように曲に入り、厳しく仕込まれているであろう事が見て取れた。
歌より踊りに重きを置かれているのかオケの被せは強めで生歌感に乏しかったのは疵だが、思えばパーティー公演はそう言うものだった。
オマケがたっぷり付いて2時間近く。 資本主義の有難さ素晴らしさを改めて感じたチーム8公演であった。
“はじめての”と付いたせいもあったとはおもうが、今日のチーム8公演の客の大半が擦れっ枯らしではないライト層だった。 なんというか、ペンライト振っときゃ良いと思ってるような、騒がず手拍子すらしない静かな客。
「アイドルはペンライトを振って見るもの」と言う先入観に囚われている所為か、常に両手が塞がっているので音の出る拍手をしない。 そう言う客が増えてはじめて「売れた」と言うことなのだと思う。
AKB48劇場で公演を観ていて、客で不愉快な思いをしなかったのは初めてかもしれない。 それくらいおとなしかったが、盛り上がっていない訳ではなく、馴れ合いとか悪目立ちが殆ど無かったと言うこと。
ざっと見て何で採ったのか初見では判り難いの(大江・小林枠)がおらず、見た目も歌も踊りも水準以上。 このあたりのクォリティコントロールがトヨタらしくあり、ともすれば詰まらなさに繋がってしまうところを上手いこと見世物に纏め上げている。
「とても良かった」と友人に感想を伝えたところ「(運営側の評価基準で)上から7人出てなくてソレです」と告げられで唸る。
通常1チーム20人凸凹のところ倍以上居る訳で、層の厚さはあるにしても、良いチームとして出来上がっている。
既存のAKBとの接触を嫌う向きが多いのも頷ける純粋培養ならではの清新さ。
劇場公演は蔑ろにされ、接客営業系イベントが活動の中心になって久しい。 そしてそれは今後もそのままであると思うのだけれど、劇場公演はしっかり行われていた。
嘗てのように訳知りの擦れっ枯らしが屯する場ではなく、入れ替わり立ち代わり様々な客がやってくる。 初めて来る客の方が多いのかもしれない。
そうした客でも分かるように繰り返し説明をし、戸惑いを見せる者には声を掛け、世知辛い諸々で煩瑣を極める入場手続きも遅滞無く行えるシステムを組み上げられている。
「大声ダイヤモンド」の劇場盤握手会の時だったか、劇場スタッフの郡司氏が「悪いことをする人は沢山居るのだけれど、有名客じゃないから把握しきれない。」とボヤいていたのだけれど、そうした苦い経験をが生きてか、煩わしい手続きや規制が増えに増えても定刻通り開場開演出来ている。
AKB48は、まだ死んでいなかった。 少なくともAKB48劇場は正常に機能している。
お披露目から一年(その時の事は こちら に。)、紆余曲折ありつつも一年持った。
客層の固定化から来る厭な予兆が感じられるようになりつつある。
それは客が集まり始める時間がなし崩し的に早くなってきたり、歩道を塞いで屯したり、人込みを憚らず煙草を吹かしたり、スクーターで乗り付けて路上に放置したり、客としての横のつながりや纏まりが群集心理としての悪い面に働きつつあるように感じられた。
こうなる現場はアイドルに限らず民度が低めに安定して客層に拡がりが無くなって行く傾向にあり、客の自律性に依拠した濱野の遣り方が客の側に裏切られつつある。
この傾向が顕著に見られるということは、「そう言う客層」にしか届いていない訳であり、広く売れる為にはその外側に届ける工夫も必要だと思うのだけれど、今のところ出演するライブやイベントも旧来型のごった煮イベントに偏っていて、ブロック経済的枠組みの中での客の取り合いから先に進めていない。
プロ野球負けられない宣言
開演に先立ち、例によって空井と石橋(カオポイント)による野球談義。
例年は調子が上向く交流戦で躓いて低迷を続けるロッテには空井もボヤくほかなく、悪いなりに何とかなっている西武の相対的優位が変わらない石橋は上機嫌。
ロッテには勝って欲しいがボヤく空井も見たい。
PIPEACE
森崎恵プロデュースの派生ユニットから ゆたんぽ% が参加。 四月以来消息不明の北川萌絵は今回も告知なしで欠席。
これ迄のところ辞める連中はきっちり送り出して来た訳で、それすら出来ないと言う事はまぁ色々あるのだろう。
押上WALLOP放送局でのPIPの番組は6月一杯ですべて終了という突然の発表から「名場面集」と言う形での振り返り企画。
CMに入ると流石にどんよりするが、配信される時間は気丈に振舞っていた。
ガヤ入れ・オチ要員としての森崎が良い仕事。 上げたり下げたりする猛獣使いが居て光るタイプなので、身内だけで廻す時にはその役回りが出来るメンバーが必要になるが、今のところ石川だろうか。
最後の最後でVTRが流され、7月から新たに番組が始まると言う種明かしをされてメデタシメデタシ。
石橋哲也は仄めかしと巧妙な言い回しで言質を取られるような物言いを避けており、それが伏線となっていた。 一と月前からメンバーに終了の告知をしておいて、最後の数分間徹底して居直ることでそれ迄のお通夜モードの展開を笑いに転化。
悪くない後味で〆るところは流石。
PIPデビュー一周年記念公演
一周年と言う事で、全員初期の衣装である紺のポロシャツで登場し、お披露目で演った三曲を皮切りに新富町時代の演目で押す構成でみっちりと。
グループ総体としての力量が上がっている為、借り物の曲も自家薬籠中の物としつつあり、きっちり見世物にはなっていた。
のっけから最大戦速の柚木の横で、空井も永瀬も付いて行けてはいる。
暫く演らなかった(出来なかった)ユニット曲も、抜けたメンバーのパートを別のメンバーで埋めて久しぶりに。
橋田 唯
出ずっぱりでも乱れない。 肩で息することも無く、顔色も変わらず、表情にも出ない。 背負ったものを背負い切る矜持。
Mädchen から Weib になりかけている過渡期の可憐さ。
永瀬 綾香
知己と話をしていて出たのが「失敗しないことに重きを置いているのではないか」。 言われてみるとソツは無いが守りに入ってしまっているような気はする。
言われてみればそう思えなくも無いくらいの話で、質的には悪くない。
福田 蘭奈
普段はあまり感情の昂りを表に出さないのであるが、一周年と言うこともあってか髪に花冠を付けたり頬にスパンコールを貼ったり、珍しく晴れがましさを目に見える形で。
それを指摘されると照れるところまで含めての福田らしさ。
小室 志織
動きの切れはそのままに、止め撥ね払いに情緒が出てきた。 怪しかった音程も揺らぎやすかった感情も安定。
安心して観ていられる。
瑞野 由佳
一と皮剥けたと言うか弾けたと言うか、怪我で休演する前より遥かに良くなっていて驚く。
必要とされることは不足なく出来ていて、そこに一寸ずつ上乗せしてサーヴィス。
アキレス腱が断裂しかかったと言う怪我の程度からすると本復には到っていないのではないかと思われるが、それを感じさせない動き。
表情にも翳りを見せない。
小林の担っていた絶対的な安定感にプラスして客席を大掴みに捉えた目配り手配り。
工藤 千里
求道者的な重さが無くなり、楽しんで歌い踊れている。 蕾のままでも美しくはあったが、頑なな何かから解き放たれたことによる華やかさ。
澤村 まどか
可愛らしさに分かりやすさが付与されてきつつある。 次の動きに気をとられて素になる瞬間が無くなったので、魔法が解けなくなった。
柚木 萌花
振り付けに関しては相変わらず隙が無い。 完璧といっても良い出来ながら盛り込むより精度を上げるほうに神経が行っているので胸焼けするようなこってり感はなく、よくよく見ると凄みを感じるけれど全て事も無げに演っているように感じられる。
激しく動きながらだと揺らぐこともあるが、音程も安定してきたし声も出ている。
豊栄 真紀
終演後の記念撮影で舞台上に呼び込まれ、在京中であった事を知る。
紺の前ボタンのワンピースにライトグリーンのカーディガンを羽織り、光沢のある黒皮のストラップパンプス。 髪は少し伸びただろうか、アイドルとしての衣装ではなく大学生としての私服と言うこともあってか大人びて見える。
物販の出口のところで自主握手会を開催。 合理的なようなそうでもないような、計りかねる振る舞いが豊栄らしくあった。
空井 美友
音程を外さなくなって、緩急強弱も付けられるようになり、「歌」になってきた。
最初期は器械体操めいていた振り付けも演武を経て「振り付け」に。
濱野 舞衣香
緩めのポニーテールが愛らしい。
ユニットの相方が軒並み辞めてしまったのと持ち歌の難易度が高いのとで思いの外出番は少なかったが、全体曲で歌い上げる部分はこの人が歌うと矢張り締まる。 難しいとこを割り振られているが、とっ散らからなくなった。
石川 野乃花
石川も「斯くあるべし」から解き放たれつつあるように思う。
用意してきたそのままではなく、状況や感情に合わせて紡ぐ言葉は纏まらないこともあるが、それ故に心に響く。
山下 緑
一部の全体曲にしか出た事の無かった山下が、限られた曲数ではあったがこれまで出られなかった全体曲やユニット曲にも参加。
覚束なくはありつつも絶望的な表情は見せず、インチキ日舞の即興当て振りめいてはいたが石を投げたくなるような酷さは無く、出来ても出来なくても表情には出さずにモナリザの微笑を浮かべつつ何食わぬ顔で舞台に立てているのは良かった。
森崎 恵
序盤から感極まる森崎。 振り付けに篭もる情念も二割増し。
喜怒哀楽が激しく出るので表情は崩れがちだが、その突き抜けた可愛く無さ加減が微笑ましい。
安斉 由華(PIP-KYOTO)
合わせる時間もあまり無かったと見えて緊張した表情である時間が長いのだけれど、ふとした瞬間にそれが解れてフニャリとした笑顔になる。
LasRabbi(工藤、ゆたんぽ%、森崎)
オケの音が薄く、音程は掴めてもリズムが取り難い。 更にはリズム感の無い(あるいは乱したいだけの)客の破調のハンドクラップが邪魔をする。 それでもオケとのずれは最小限に止めており、三人で合わせる営為の積み重ねは感じられた。
不自然な間繋ぎが挟まり、何事かと思ったら森崎が選抜衣装で登場。 嬉しそうでありつつ恥ずかしそうでもあり、また申し訳無さそうでもある複雑怪奇な表情。
感極まりっぱなしだったのも頷ける。
選抜メンバーに帯同して出ずっぱりではありつつ、選抜にはなれない期間が長かったので感慨もひとしおであったのだと思う。感極まりっぱなしだったのも頷ける。
今後の告知の為に第一子が誕生したばかりの濱野智史が登場すると客席からは「おめでとう」の声。
メンバーから涎掛けのプレゼントなどありつつ、CD発売のお知らせなど。
毎月のようにメンバーが抜けたり音信が途切れたりする中でも纏まりは保ち、一周年に際して練り上げた公演を見られたので先ずは一と安心。
試練の季節を越え、笑顔で春から夏へ。
春山淡治而如笑 夏山蒼翠而如滴
代官山駅近くにあるシアターサイバードで開かれている写真展を見てきた。
開催最終日で日曜と言う事もあってか、無茶な混み様。
列の最後尾を探して建物の裏へ廻り並ぶこと三十分余、漸く入場。
入口で木戸銭を払う。 この土日に代々木で行われるコンサートの半券を提示すれば500円、一般入場は700円。 冷やかしで来られると収拾のつかなくなる規模なので、妥当な線の値付けだと思うし、払った代価以上の質の写真でもあった。
あまり広くは無い会場ながら展示には工夫が凝らされており、最低限の間隔は空けられているので写真を見る際には一枚に没入出来る。 照明が一寸煩いが、これはまぁ仕方がない。
リハーサル風景だったり、楽屋だったり、コンサート本番であったり、状況ごとカメラマンごとに小部屋に分けられており、特に順路が設けられていないので、行きつ戻りつ何度も見直す。
三十分程であろうか、人混みに気分が悪くなるまでじっくりと。
舞山秀一と松田忠雄とでは時間と空間を写真に封じ込めるやり方に違いがあり、光を切り取るような舞山に対して、闇もあわせて掬い取るような松田。
一瞬を捉える舞山と、その前後も含めてふわりと掴む松田の対比の妙。
コンサートそのものの写真も勿論良かったのだけれど、楽屋であったりリハーサルであったり、観客の視線を意識していない写真に唸らされた。
舞山の撮った、楽屋での衣装合わせなのか光の中に浮かび上がるような姿を捉えたもの。
松田の撮った、暗がりの中で舞い踊る様や、照明の落ちたステージで談笑する姿。
落ち着いてじっくり見たかったが、行った時間帯が悪かった。
後悔先に立たず。
「ぼちぼち書いて下さい」との伝書鳩が来たので、少しずつ書いてみようと思います。
筧美和子
8ページ13カット、撮影は阿部ちづる。
表紙が一番扇情的であると言う良くあるパターンだが、扇情的ではないカットの方が良く撮れている。
被写体の表情の諧調に乏しいのを切り取る角度を変えて何とかしようとしつつ、どうにもなっていないもどかしさ。
滝口ひかり
巻末グラビア5ページ14カット、撮影は古谷完。
被写体に罪は無いが衣装や道具立て以外工夫が見られず、表情が単調。 AF任せで撮っているのでピントの置き所を考えておらず、深度のバランスも悪い。
どうにもならない写真を数打ちで並べて成り立たせた5ページ。
本田翼
7ページ22カット、撮影は阿部ちづる。
時間はあまり掛けられないが予算はある感じのスタジオ撮影。 カメラと正対しない、視野の端にカメラを入れたようなカットが良い。
綺麗に見える角度が左右方向に広い顔立ちを生かしたやり方。
内田真礼
巻末グラビア8ページ9カット、撮影は中山雅文。
中山雅文にしては湿度低目の取り方、しっとりしているがじめじめはしていない。
2ページ目などは悪くない。
バイトAKB
6ページ33カット、一人当たり1/6ページで1カットずつ。撮影は桑島智輝と門嶋淳矢。 贅沢な流れ作業、どう分担したのかはよく判らない。
流れ作業で撮って箸にも棒にも掛からないカットが無いと言うのは褒めて良いと思う。
小瀬田麻由
巻中グラビア4ページ8カット、撮影はTakeo Dec.。
笑顔を作っておかないと間が持たせられない隔意を感じる。
写真そのものは可もなく不可もなく。
飯豊まりえ
巻末グラビア5ページ17カット、撮影は大江麻貴。
脚の長さをそれとなく且つ綺麗に見せる事にはとりあへず成功している。 これがなかなかに難しい。
モデルの意識が着ているものを見せる方に傾きがちなところを、寄ったり引いたりしてどうにかしようとしている。
篠田麻里子
表紙、巻頭、巻中、巻末のぶち抜きで篠田麻里子、撮影はTakeo Dec. オマケカレンダーまで付く大盤振る舞い。
屋内と屋外で撮り方を変えており、撮影手法のお手本としては面白いが、篠田は例によって商売用の自分しかカメラの前には出さないので、そう言った点での面白味は無い。
大島優子
7ページ14カット、撮影はTakeo Dec.。
瘧が落ちたと言うか、役者の貌をした大島。 役柄ではない自分でカメラの前に立ち、多少サービスはしつつ遣り過ぎず、素でカメラの前に立てている。
4~5ページ目が良い。
乃木坂46(西野・深川・若月・桜井)
巻末7ページ12カット、撮影はTakeo Dec.
集合で2ページ2カット、コラージュ的に1ページ、あとはそれぞれ1ページ1カット。
顔見世グラビアの定石。 良く出来ている。
私立恵比寿中学
8ページ15カット、撮影は桑島智輝。
ももいろクローバーにしてもこの私立恵比寿中学にしても、スターダスト所属のアイドルは事務所の縛りと言うか介入と言うか、そうしたものが色濃く感じられるグラビアが多く、凝った割に詰まらないものが多い。
写真の仕事では、新津保健秀のモデルを個人でしていた早見あかり以外「これ」と言う物が無い。
そんな中でも今回のグラビアは悪くない出来。 制約が多く自由度の低い仕事での桑島智輝の強さ。
4ページから7ページ迄の二人組にして撮った4カットには唸らされる。
高嶋菜七・櫻井紗季(TPD)
巻末5ページ10カット、撮影は関純一。
作り込んだ割にライティングが雑だったりしつつも、顔見世グラビアとしては及第点。
1ページ目は脚の長いのを見せようとしたのだと思うが、あおり過ぎていてあざとさが鼻に付く。
武田紗季・石田佳蓮・沢井里奈
撮影は桑島智輝。
短時間で何とかした感じの錬金術的8ページ。
馬場ふみか
巻末5ページ10カット、撮影は中山雅文。
バストアップとウエストアップ多めで、小さく使われているもの以外全身の入ったカットが無い。
粗があったとしても、何とかならなかったものか。
表情は概ね良い。
最上もが
7ページ25カット、見開き1か所。 撮影は桑島智輝。
カラーコンタクトで全編死んだ魚の目。
ブツ撮りとしては良い出来だが、それ以上でもそれ以下でもない。
モデルの頑なさが出てしまうと、カメラマンに出来る事は限られてしまう。
不幸な出会い。
藤澤季美歌
5ページ11カット、撮影は細居幸次郎。
日が傾いてから撮ったと思われる後半が良い。
屋外でもこうした光線状態なら上手い。
末広町のアーツ千代田 3331で開かれたガジェットのお祭りへ。
スタッフの数が潤沢で、それぞれスタッフとしての仕事を楽しんでいたのが印象に残った。 こうしたイベントだと客としての意識が抜けきらないでいる「スタッフ」に煩わされることがままあるのだけれど、要領の良し悪しはさておき、油を売っている人員が居なかったのには感心した。
PIP: Platonics Idol Platform ミニライブ
会場が元は学校と言う事もあり、ライブステージも教室サイズ。 そんなこともあってか、出演メンバーは7人(石川、小室、空井、濱野、森崎、柚木、福田(※途中から))
ミニライブと言っても尺は長めの45分。 オリジナルは5曲しかないので、あとは借り物と言う仕儀に相成る訳だが、演り慣れたAKB48系の曲が中心。
PIP目当てで来る客中心の公演ならまだ良いが、何時もの客以外の人の目に触れる機会に組むセットリストとしては適当でないように感じた。
柚木萌花(PIP: Platonics Idol Platform)
非メジャーのアイドルは同じ鍋の中の客を取り合うような状況にあり、なかなか客層を広げる事が出来ないし、出られるイベントも定例のごった煮ライブばかり。
そんな中慶應の三田会であったり、麻布学園の文化祭であったり、濱野智史プロデュースであるからこそ捻じ込める毛色の違うイベントに出られるのがPIPの強みであると思うのだけれど、そこで偽物感が出てしまう曲を演るのは如何なものか。
人数が変動してもうろ覚えであたふたするようなところは無く、とりあへずは形にしてくる対応力は良い。
福田は途中からの合流だったが、すっと溶け込んでいた。
福田蘭奈(PIP: Platonics Idol Platform)
終盤はオリジナル曲で畳み掛け、「桜のまた咲く日まで」でしっとりと〆。
小室志織(PIP: Platonics Idol Platform)
例大祭『写真部:グラビア対談』
いしたにまさきと松嶋初音がグラビアについて対談する企画。
撮影会部分のモデルとしてPIP: Platonics Idol Platformから福田と濱野。
グラビアと言う物の認識と嗜好が両氏と私とで異なるので、話の内容は頷けたり頷けなかったり頷けけなかったりしたのだけれど、怒りがこみ上げるような話は無かった。
撮影タイムとしてカメラ持参の客に1分間与えられ、その間モデルの二人(福田と濱野)を自由に撮れるのだけれど、撮影者として透明でありたいので、差し向かいで撮れると言うのも有難迷惑。 差し向かいであれこれ指示して撮るってのは、どうにも性に合わないのでここはアリバイ的にカメラを廻し、私がカメラを持っていることに慣れてもらっておいて別の時間に横合いから撮影。
ウェアラブル運動会
歩数や消費カロリーが計測できるムーヴバンド、360°撮影できるデジタルカメラTHETA、バブルサッカーのバルーンなど、ウェアラブルデバイスを使った運動会。
既に夏の陽気だが風があるのが救いで、皆さん汗だくになりつつ楽しげに競技に参加していた。
ムーヴバンドやTHETAはどうにかなっても、バブルサッカーのバルーンにはこんな事でもなければ触れない。 バルーンを装着した楽しさに、大人げないはしゃぎっぷりの人も居たが、これはまぁどうにもしょうがない。
当初予定より参加者が多かったようで急きょチームを増やしたり、臨機応変に対応できているし、目的意識のあるスタッフが潤沢にいるので長丁場の運動会でもダレない。
主催者と思しきスタッフは熱いが冷静と言う稀有な人物で、こまめに参加者を廻って感想を訊いていた。
次回開催は反響次第なので未定との事だったが、是非続けて欲しい。
柄にもなくお天道様の下で汗だくになる一日だったが、快い疲れの中で帰途につくことが出来た。
森崎恵(PIP: Platonics Idol Platform)
アキレス腱の怪我が癒えない瑞野と消息不明の北川が休み。 今月は濱野智史も忙しいと見えて告知が遅れたり抜けたりすることが多かったが、ついに休演するメンバーの発表は無かった。
北川の消息不明な件についてもまるで説明は無いのだけれど、ALLOVERでの生存は確認出来ているので色々あるのだと思う。 ALLOVERに関しては掘り下げると碌な事が無い。
今のところPIPのメンバーではないが森崎恵プロデュースの派生ユニット LasRabbiのメンバーである ゆたんぽ%(※森崎の妹) が参加。
前説代わりに空井美友と石橋哲也(カオポイント)で「プロ野球負けられない宣言」と題して野球駄話。
順位としては石橋の贔屓の西武の方がまだ上にいるが、中継ぎが打たれて負ける厭なパターンに嵌って順位を下げており、出て来るのもボヤキばかり。
空井の応援する千葉ロッテはデスパイネとクルーズが大当たりなのに加えて、昨シーズンは二軍でお茶を挽く事の多かった清田が狂い咲きでチームも上り調子とあって終始笑顔。
私はイ・デウンのなんだか良く判らないけれど打たせない謎のピッチングが他チームを狂わせているのではないかと考えている。
そう言えばイ・デウン、石橋哲也になんとなく似ている。
バラエティー部分は
・一周年記念リーク合戦
・検索クイーン
の二本立て。
一年経っても歌って踊る部分が壊滅的なのをメンバーに詰められて居直った山下緑に激怒する福田蘭奈など生々しいのもありつつ、洒落になるリークで済んでいた。
検索クイーンは自分を象徴するであろう単語を三つ挙げて大手検索エンジンでの的中率を競う物。
客の作ったweb事典的なものに助けられたメンバーも多かったが、森崎姉妹は一般記事でほぼ的中。 ネット廃人としての格の違いを見せつけていた。
この辺り日頃からエゴサーチをしているか否かの差が出たように思う。
「如何に見つけて貰うか」がこの道で食って行く上での鍵になる訳で、動画投稿をしている割に見つけて貰う営為に無頓着な高城には危うさを感じた。
森崎が終始エッジの利いた拾いやすいガヤを入れており、良い仕事。
ちょっとした間繋ぎや、微妙になった場の空気を入れ替えるのに貢献。
ボヤく空井、黒い石川、シモに走る柚木。 無理にキャラクターを作るのではなく、受け入れて求められる自分になることで石橋が発言を拾いやすくなり、話の拡がりにくい・引き出しにくいメンバーも生かせるようになって来た。
上手く番組が回っている。
石橋哲也の面白いのは政治と宗教の根多はサラリかわして流すところ。 賢明だと思う。
後半ライブは暗転したのちにBGMが流され、場の空気を換えてから開演。
ライブ序盤はオリジナル曲で畳み掛ける構成。 人数が減ったことが幸いして選抜もアンダーもへったくれも無くなりつつあり、森崎はほぼ出ずっぱりだし永瀬も出たり入ったり忙しい。(山下だけ、蚊帳の外。)
流れも良く、安心して見ていられる。
柚木は例によってとんでもない芸当を涼しい顔で織り込んで来たりするのだけれど、そんな「本気の柚木」が顔を出しても全体のバランスは崩れない。 これも全体的な底上げがなされているからだと思う。
森崎にしても空井にしても、或る程度出来てはいたが演るだけで精一杯だった連中が周囲を見渡せるゆとりを持てるようになり、それが「釣った魚に餌をやる」ような形で矮小化せず、客席を大掴みで見る方向に働いている。
ここのところ色々有り過ぎたが、グループとしてのPIPのパフォーマンスレベルは上がっている。
森崎恵プロデュースの派生ユニット LasRabbi 、メンバーは工藤千里、ゆたんぽ%(※森崎の妹)、森崎恵。
工藤の表情が良い。 滲み出てくるような柔らかい笑顔。
ゆたんぽ%はスカートを操るのが上手い。 慣性を使って揺らしたり翻したり。
5月生誕コーナー前半、永瀬が「ロミオとシンデレラ」小室が「あの空に向かって」、二人で「狼とプライド」。
永瀬の「ボカロ曲」と言う選択が"らしい"。 勢いだけでは歌いこなせない「あの空に向かって」を選んだ小室の直面する課題に対する覚悟も良かった。
「狼とプライド」は、オリジナルを見ている友人も褒めていた。
プレゼント贈呈などの儀式を挟んで、山下緑のソロは「荒城の月」。
選曲そのものは悪くないが、歌詞を碌すっぽ憶えていないと言うのはいただけない。
うろ憶えの一番の歌詞とハミングだけで間をもたせるのは大したタマだと思うが、歌って踊る部分をあまりにも蔑にし過ぎているように思う。
終盤は新富町時代によく演っていたAKB48楽曲をズラリ。
勢い余って客席に靴を飛ばす高城。 ぎこちなくはあったが、そのまま一曲踊り切ったのは良かった。
最後の曲の前に告知など。 一周年記念公演や出演イベントなどのお知らせの後、濱野智史より運営業務からの部分的撤退と言うか、メンバーやサポートスタッフへの業務移管の発表。
勤務先の組織変更で多忙を極めているのが主因である由。
ブログや写真投稿サイトへの投稿の確認と承認、各種イベントへの出欠確認、交通費の清算などプロデュース業務以外のもろもろからメンバーへ移管したいとのこと。
tokyo arts galleryにて、建設現場で働く職人のポートレート展。
入って正面奥に等身大くらいの大きいのが二枚、左右の壁面に合わせて十数枚。 貼り切れなかった作品まで含めてコラージュにした大きいのを右手奥の壁に。
詰め込みすぎず、高さも程よく、ライティングも考えられている。
いつもは白壁なのだけれど、今回はアクション・ペインティング的にペンキで汚しを入れてあって、これも面白い。
ペンキの染みついた塗装工のズボンからヒントを得たとのこと。
「ポロックみたいでしょう?」と笑っていた。
写真はすべて黒バックで、足場板の上に立たせた縦位置で撮ったカラー。
現場で撮る訳にも行かないので、近くのコインパーキングや空き地に仮設の写場を設えての撮影。
それぞれの職種を象徴する道具を持たせたりしつつ、ほぼ同じ構図。
土間工はゴム長、鳶は地下足袋。 塗装工がサンダル履きだったのは意外だった。
こう言う写真を見た記憶が確かに有り、帰宅して本棚を眺めていて思い出した。
ウジェーヌ・アジェの巴里。
唐棧のような縞のニッカボッカなど、おやっと思うと寅壱。
作業着の着こなし一つでも個性が出ていて、糊を効かせてパリッと着るものもあれば、擦り切れて穴が開いたのを着ているものもあり、それぞれに味がある。
十代から六十代まで年齢も職種も様々だが、それぞれに逞しい面魂。
それに惹かれてか、いつもよりふらりと入ってくる女性のお客さんが多かったらしい。
小体だが明るく見やすく、何より入りやすい「場の力」も働いていたのだと思う。
初日に観に行った所為か矢張り混んでいて、喧騒の中で落ち着いて見られなかったこともあり、最終日の早い時間に再訪。
階ごとに壁の色や照明が異なり、それに合わせて展示される作品の傾向も異なる。
雄弁な写真と解釈を見る者に委ねる写真とがあり、後者がまとまっていた四階がもっとも居心地が良かった。
比較的小さな作品が多かったのも、私には好ましかった。
展示空間が狭い事もあって、大きなプリントは圧迫感が出てしまう。
Megumi Michelle Kawaguchi の作品は深い額の中に在り、ファインダーを通して見たような「覗き窓の世界」。
大きく伸ばして映える写真もあれば、小さいからこその良さを持つ写真もある。
被写体との距離の取り方であったり、人物と背景の配置の仕方であったり、私の好みに近く、且つ私が撮るときにはそうしないであろうやり方も、また面白かった。
六本木ミッドタウン近くの雑居ビルの三階にあるフリースペースにて、カメラマン4人のグループ展。
小池伸一郎
都内の高速道路の分岐点で引いたり寄ったりして撮ったモノクロ作品4点。
広角で撮ったものはレンズの効果と道路のカーブで歪曲した線と、放射状に伸びる直線を組み合わせてある。
黒と灰色の間、白と灰色の間のトーンがしっかり出ており、じっくり楽しめる。
視点が中央に収斂して行く中央下の写真が良かった。
丁度ほかに客がいない時間帯だったので、部屋の端まで引いたり近くまで寄ったりして見たが、画面に吸い込まれていくような不思議な感じがした。
門嶋淳矢
蛙や錦鯉などの生き物を彩度を上げたクローズアップ。
思い切って寄っていたり、アウトフォーカス気味にしたり、箍と言うか羽目と言うかそのあたりを外し気味に撮っていつつ、質感を見せたいところにはピントが合っていたり篤実なところが出てしまっていて、そのあたりも面白い。
岡本尚也
鏡を挟んで撮ったような、ロールシャッハテストのような画。
ポートレートと言うかパーツのブツ撮りと言うか、水が介在するので見ていてなんとなく息が詰まるような圧迫感。
寺坂Johney!
等身大に近い大きさの場末ストリップ的ヌード2点。
美と醜のはざま(しかし美寄り)のモデルの生々しさ。
私の嗜好としては小池伸一郎のもの。
広い部屋に飾って寄ったり引いたりしたい。
渋谷と恵比寿の間、都営バス渋谷車庫にほど近い明治通り沿いにある写真専門のギャラリーにて、19人のカメラマンの作品を集めた写真展。
展示スペースが限られているので、一人あたりの出品数は少ないが、その代わりそれぞれの写真集も展示販売している。
写真そのものを買うとなるとそれなりにハードルが高いが、写真集なら気軽に手を出せる価格。 好きな写真を手元に置くと暮らしが華やぐので、まずは写真集から試してみて欲しい。
ネイチャーから現代アート的なものまで、作風に合わせてプリントサイズも展示方法も様々。
松田忠雄の職人写真(これは別項にて)以外で目に付いたものが幾つかあった。
名古根美津子の頭だけのポートレートと三浦咲恵の台形のアクリル板に貼ったプリント、そして幸本紗奈の小品。
幸本紗奈の小品「しるしの話」は同名の写真集からの一枚。
どこにもピントが合っていないようでいて、見ているとどこかに合っているような気がしてくる。
作者曰く「見る人にピントを合わせて欲しい」。
ざっくりと大掴みに切り取り方故に、見る側に様々な解釈が成り立つ。
こちら でいろいろ見られる。
写真集は小ぶりなものであったが、紙質もプリントも良く割付けも丁寧。
昔は女子っぽい女子の写真は嫌い(女子っぽい写真部員は大抵めんどくさいから)だったのだけれど、そういうしがらみを離れて漸く写真そのものを見られらるようになったのかもしれない。
PIPメンバーがこれ迄客前で歌ったことのない曲を披露し、ソロパフォーマーとしてのパフォーマンスを競う企画。
舞台に立つ人としての自覚が醸成されつつあり、金の取れる芸になってきたからこそ出来る企画。 良いタイミングだと思う。
1500円とは言え木戸銭が発生する所為か、定期公演と比べると客の入りは薄めだが、それなりに入ってはいた。
客入れで「パワー上昇」が掛かり続けており、少々苛々してきた頃合いで開演。
司会は石橋哲也(カオポイント)。 スコットランド人の正装みたいな恰好で登場。
審査員としてTOKYO IDOL NET代表のアライトシロウと、元avex SKE48担当の江川慎也。 この二人の持ち点が30点ずつ、石橋の持ち分と言う体で全員に40点が加算され、100点満点での採点。
石川野乃花「無人駅」(岩佐美咲)
朱の着物に白い帯。 コーディネートとしては悪くないが惜しむらくは着付けに難。
裾が一寸高くて、足首まで見えてしまっていたのだけれど、後ろから見て足袋が見えるか見えないかくらいにした方が美しい。
帯が蝶結びのような一文字結びのような感じで、端の始末が悪くて解けかかっていた。
髪を編み込んで纏めて落ち着いた感じにするのであれば、お太鼓の方が良かったように思う。
色々書いたが、自分でしたプライベートの着付けとしては及第点。 客前に立つとなると話は別、と言う事。
歌い終えたところで客が花束を渡していたが、どうせ仕込むなら日本銀行券の首飾りの方が生々しさが出たのではないかと思う。
歌は破綻なく纏まっていた。 勝負に出るときの石川は、兎に角大しくじりをせず、高いレベルで堅実に纏めて来る。
空井美友「雨のピアニスト」(SKE48)
黒のドレスで花の髪飾り。 そこはかとなく革新系婦人代議士感。
緊張の所為か、いつもより激しい 1/fゆらぎ歌唱。
歌い進めるうちに揺らぎが収まって行くのも微笑ましい。 やり始めたことを照れも衒いも言い訳もなく、最後まで遣り切るのは良い。
森崎恵「パワー上昇」(ぱわーすぽっと)
二た悶着くらいあった曰く因縁のある曲を敢えて持って来る森崎。
テンパリ大会で頭に血が上りすぎて煽りを間違えたりもしていたが、テンション芸で乗り切っていた。
アイドルに耽溺して人生を踏み外したような業の深さは伝わったと思う。
小室志織「必殺テレポート」(AKB48)
音程が乱高下するのはご愛嬌。
大人数グループの全体曲を一人で演ると間をもたせ難いのであるが、空元気でも一生懸命やっている健気さでなんとかしていた。
濱野舞衣香「BLUE Velvet」(工藤静香)
風邪が治らず、前日まで殆ど声が出ていなかったのでどうなるかと思ったが、とりあへず歌にはなっていたので執念に驚いた。 そうでなければ務まらない稼業だとは思うが、芯が強い。
そんなこともあってか、震えているのが分かるくらいの緊張。 ところがこれが歌声には乗らない。 そんなところにも唸らされた。
万全な体調での歌声を聴きたい。
ゆたんぽ「千本桜」
森崎恵の妹。 森崎プロデュースの派生ユニットからの刺客と言う位置付け。
ボーカロイド曲と踊ってみた系の振付け。
こちらも緊張からか凶相になっていたが、挙動不審振りが姉そっくり。
ここまでがAブロック。 籤運による偶然だが、小室以外年長はメンバーで固まっている。
福田蘭奈「彼女になれますか」(AKB48)
何をやらせてもサラリとこなす福田らしさは出ていた。
サラリと出来過ぎて大変な事が大変そうに見えないところで損をしているようにも思うが、高いレベルで安定。
永瀬綾香「僕らのユリイカ」(NMB48)
そつは無いのだけれど守備的というか、小さく纏まりすぎている観はある。
ひと仕事終えて客として楽しむ森崎。
工藤千里「ラララのピピピ」(道重さゆみ)
道重さゆみに耽溺する工藤による情念たっぷりのカバー。
PIPの客でハロプロ方面からと言うのは少ない所為か反応は渋めだったが、工藤の客が少数精鋭で頑張っていた。
柚木萌花「ごめんねSUMMER」 (SKE48)
PVをイメージしたとかで、出だしから作り込んでおり、歌も振付も腐すところが無い。
予選で見た中では出色。 出色と言うより一人勝ち、モノが違う。
橋田唯「大声ダイアモンド」(AKB48)
森崎に振り入れをお願いしたとかで、きっちり歌って踊れていた。
「華」と言う点に於いては柚木と双璧であり、更には「時分の花」と言う物も働いて場を支配。
山下緑「やっぱ好きやねん」(やしきたかじん)
何と言うか、猿島郡のパート事務員の休日のような出で立ち。
「アラビアの怪人」的な怪しい動きで歌い上げるが、音程も怪しい。
それでも間が持ってしまうのが凄い。
予選Aブロックからは石川(90点)と空井(83点)が、Bブロックからは柚木(91点)と橋田(90点)がそれぞれ勝ち上がって決勝。
空井美友「君しか」(ノースリーブス)
シャンパンゴールドのドレスに着替えて登場。
自棄糞感は薄れ、振付けに情緒が出て来ている。
石川野乃花「夜風のしわざ」(柏木由紀)
白いドレスに着替えて登場。 歩いたり腰掛けたり、原曲の演出を踏襲。
最後の最後で歌詞が飛んだようだが、上手く誤魔化していたので言われなければ分からない。
舞台度胸は素晴らしい。
橋田唯「ふわふわタイム」(桜高軽音部)
予選と同じ衣装なのを司会の石橋に突っ込まれ、答えて曰く「お金が掛けられないので」。
ジョージ・ワシントン級の正直さ。
振付もなく、東海林太郎の如く直立不動で淡々と歌っているだけなのに全部持って行ってしまう強さ。
巧くは無いのだけれど歌声に説得力がある。
柚木萌花 「 don't cry anymore 」(miwa)
アイドルらしい振付けは封じて歌のみで勝負。
PIPに於いて歌う部分を担っていたメンバーの相次ぐ離脱を踏まえての決意表明ともとれる挑戦的な選曲。
正直申し上げてここまで歌えるとは思っていなかった。
不明を恥じつつ息を呑む数分間。
選考時間に2曲。
ロンドンブーツの工藤と自棄糞に高いピンヒールの濱野が危なげなく歌って踊れていて驚く。
激しい動きにイヤリングを落とす森崎。
拾う隙が無いと見るや、他の連中が怪我をしないよう袖に蹴り飛ばす好判断。
なんだかんだでグループとしての底上げはされていた。
決勝の審査結果は、85点の同率3位が空井と橋田。
86点で柚木が2位。
88点で石川が優勝。
私の見解とは異なるが、殆ど予備知識なく見に来て、目の前で起こったことだけで判断した結果として考えると大きく外してはいないと思う。
石川は勝ちに行ったら勝ってしまった横綱相撲。
柚木は予選で別次元のものを見せて、決勝はその先へ行ってしまい、圧倒的ではあったが判定基準からは離れたところに着地してしまった。
橋田は原石としての大きさと可能性を見せ、空井は今出来る最大限を見せた。
実際にレースをものにしたのはマクラーレンのアラン・プロストであったが、競技委員長のジャッキ・イクスがレースを短縮しなければ勝っていたであろうと言われたのはアイルトン・セナであり、しかしながらその日一番早かったのはティレルのステファン・ベロフであった1984年雨のモナコグランプリを思い出した。
(空井は奮闘に奮闘を重ねて入賞したケケ・ロズベルグ)
審査結果は審査結果として、少なくとも決勝はそれぞれがそれぞれにやるべき事を試み、やり切っていた。
柚木のやろうとしたことはグループとしてのPIPに於ける立ち位置についての決意表明であり、審査員はそれについてどうこう言う立場ではなく、それについて評価していなくても仕方がないと言えば仕方がない。
然しながら起こした波紋の大きさは優勝したことを俄かには受け入れられずに戸惑っていた石川の振る舞いからも察せられるし、結果として2位には甘んじたけれど意味のある2位だったと思う。
私個人の評価としては先ず柚木、次いで橋田、石川、空井の順。
例によって定時で逃げ出して荻窪へ。
休業中の豊栄真紀(PIP: Platonics Idol Platform)がゲストと言う事で足を運んでみた。
東欧圏を中心にどうかしているカメラを主に扱っていたプリズムがあった頃は誇張ではなく週の半分は来ていた(残りの半分は中野)荻窪だが、閉店以来とんとご無沙汰。
会場となるベルベットサンは、線路沿いの道を東へ向かい、青梅街道と合流したあたりにある。
西郊ロッヂングの近くと書くと、分かる人には分かるかもしれない。
田中秀臣の客とPIPの客で7:3くらい。イベントの性格と豊栄の客筋からか「ピンチケ感溢れるピンチケ」は皆無。
先ずパワーポイントを使いつつ、田中秀臣が「21世紀の資本」の概要をさらりと。
時折ゲストに話は振るが、基本的に田中のひとり語り。
学問的なことを捻らずに語る部分は面白いのだけれけど、脱線して始まる自分語りは些か冗長。 まぁ、主催イベントなので仕方がない。
田中秀臣は呼び屋としては有能だけれど、些か子供じみたところはあり、自分と関係ないところで話が膨らみ始めると水を差し、想定外の質問をされると態度に出る。
後半は配られたレジュメ(※こちら参照のこと)に基づき、稲葉振一郎によるより詳細な解説。
私は経済学を敬しして遠ざけると言うか、忌避して生きてきたので、稲葉の解説がすべて理解できたかと言うと、そうでもないのだけれど、興味を惹く文言が鏤められていたので、飽きずに最後まで聞くことが出来た。
ピケティが提示したものは事実を踏まえたごくざっくりした現状分析であり、「ではどうするか」についての具体的な言及は無いのだけれど、「所得と資産の両面で格差は増大し続ける」と言う仮説は概ね合っているように私には思われる。
厳密に突き詰めようとすると、真実と言うものはスルリと逃げてしまうので、囲い込んだくらいで丁度良い。
この「所得と資産両面での格差の解消」は、豊栄の所属するPIPでも課題となっている部分でもある。
成島柳北先生言うところの「貌と芸」。 両方に秀でたもの、次いで貌の整ったものの順で需要が発生し、場数を踏めば磨かれて行く。 それにつれ売れる売れないの格差は大きくなる。
人気があって機会がより多く与えられると、更に客が付く。
機会が少ないと客が付かない。
機会も結果も不平等なのだけれど、その現実は現実として受け入れた上でどうするか考えなければならない。
仕方の無い事ではありつつ、当事者としては感情面で収まらない部分も出るだろうし、雇主(厳密には違うが)の濱野に対する不満が溜まっている事が相次いで離脱者が出ている原因のひとつではないかと思われる。
勿論濱野が何もしていないとは思わないが、現代思想系の人の悪癖で学者方言みたいなのを当たり前のように織り混ぜて語るし、如何せん話が難しすぎる。
それをメンバーにも分かる言葉に置き換えて説明し直せるのが豊栄だと思うのだけれど、暫くは不在が続く。
豊栄は、たまに話を振られて二た言三言返すくらいで、ほぼお飾り程度の扱い。
「21世紀の資本」についての説明だけで時間切れと言う感じではあったのだけれど、物腰は柔らかい乍ら口を開くと舌鋒鋭く田中もピケティも袈裟懸け。 ばっさり斬っても呼吸するように伝わりにくい嫌味を言う小林秀雄的な悪意は無い。
冷酷と怜利は似て異なるのだけれど、理性的な物言いを心掛けた結果、意図しない形で冷たさを感じさせてしまう。 それを自覚しているからこそ、特に求められない限りは柔らかい物言いを心掛けているように感じられた。
もう少し対論に時間を割ける題材の時に呼んでいただければ、豊栄の「にっこり笑って人を斬る」部分が生きると思う。
終演後に会場でチェキ会。
ご母堂の前で行われると言うおそろしい特典会。
選抜衣装は澤村のところに行ったのだと思われ、PIPポロシャツを着用。
休業するとそれまで放っていた光が消えてしまう人もいるが、豊栄はその限りではなく、PIPの豊栄としてそこに座ってた。
静かに復帰を待ちたい。
_ 「だいっきらい」展(浅草橋Photons Art Gallery)
浅草橋駅西口を出てすぐの路地にある雑居ビルが一棟丸ごとギャラリーになっており、そこを借り切っての開催。
参考:「だいっきらい」展
普通のプリントからコラージュから立体作品まで種々雑多。 縛りとしては「『だいっきらい』とくちにだすまでのイロイロもやもやウラハラな感情」だけであり、出展者それぞれの解釈に於いての「だいっきらい」なので心底厭そうなものからまんざらでもなさそうなものまで様々。
私の趣味嗜好とは異なるものは多かったのだけれど、刺激には満ちており、興味深く拝見。
シンクに打ち捨てられた玉葱の皮を撮った小品、厚手のアクリル板に3層プリントして両面から見えるが裏と表で見え方が異なるものなどが印象に残った。
こうした企画展の場合、出展者が馴染みの客や友人との懇親会を始めてしまう事がままあり、実際そうなりかけている出展者も散見されたのだけれど、主催者が目配り手配りをして不特定多数の客が見に来る場として機能させていたのには感心した。
来てくれた人、見てくれた人と話したい、感想を聞きたいと言うのは自然な感情なのだけれど、感情が高まりすぎて出展者が視野狭窄に陥ることも多いし、主催者が開催したことに満足してしまう事もままある。
祝祭空間であることに水は差さず、写真を見る(見せる)場として機能させるのも楽ではないのだけれど、楽しみながらそれが出来ているのも良かった。
初日とあって出展者も観覧者も多かったので、日を改めて波が引いた頃合いにのんびり見てみようと思う。
立川流の真打トライアルと被っていたのでしばらくご無沙汰だったが、あっちも漸くカタがついたので久しぶりに押上へ。
出演日が第2週目の火曜に移動。 allover兼任組も出られるよう調整したとのこと。
【1組目:19:00】ANNA☆S
【2組目:19:30】clip clip
【3組目:20:00】カタモミ女子
【4組目:20:30】PIP
と言うタイムテーブル。
司会のカオポイント石橋哲也の前説から出演者全員で顔見世。
あとは一と組30分ずつ。
時間の使い方はそれぞれのグループに委ねられており、カタモミ女子とPIPの枠で石橋が司会。
ANNA☆Sとclip clip はメンバーのみで廻す構成。
ANNA☆S
今日もプロデューサーの西田一生氏が帯同。 「みなさんどうぞ前の方で見てあげてください」と後ろの方に座る客に一と声。 懇願でも命令でもなく、情のある柔らかい口調。 客席全体がじわじわと前へ。
番組開始時とCM明けは歌で始まる構成になっており、計4曲。 間にフリートークやコントなど。
全体がしっかり練られており、緩いようでいて要所は〆ている。 コントの出来も良かったし、何よりやり切る姿勢が素晴らしい。
収録用のスタジオなので音はあまり良くないのだけれど、生声でしっかり歌えているので気にならない。
振付けもこれ見よがしなところはなく、それでいて難易度は高そうなことを当たり前のようにこなしている。
客の振る舞いも収録に花を添えつつ邪魔はしない慎ましさがある。
ANNA☆Sの現場は客に起因する不愉快事が殆ど起きない。 送り手と受け手の信頼関係が醸成する現場の空気が心地良い。
clip clip
メンバーの体調不良が重なり、2人欠席で奏さやかのみの出演。 流石に一人では間が持たないので助っ人で平松ゆい。
平松ゆいが話を引き出して膨らませ、なんとか間を持たせていた。
新曲のレコーディングが終わったとの事で、会場に足を運んでくれたファンの方へのプレゼントとして一と足先にと曲を掛けている最中、次の枠目当ての客が仲間内の馬鹿話を始めてしまう。
出入り自由なのだから喋りたきゃ表に出りゃ良いものを、わざわざ収録中、それも耳を欹てて聴いている最中に声高に馬鹿話が出来る神経が解らないのだけれど、そういう客筋のグループなのであろう。
横にいた客が見かねて窘めていたが、後味は悪い。
カタモミ女子
大量卒業と新人加入でガラリ入れ替わりとの事であった。
特異な個性で引き出しは多そうだが手荒には扱いづらそうなメンバーを、ギリギリの線で上げたり下げたりする石橋哲也の司会振りを堪能。
PIP
前列に空井、福田、濱野、石川、小室。 後列に永瀬、工藤、橋田、柚木。
暫く見ないうちに工藤が垢抜けていて驚く。
石橋哲也の司会で「バラエティーラッキークイーン決定戦」
バラエティ的な「引きの良さ」を競う企画。
芥子シュークリーム、センブリ茶、ビリビリボールペン、風船ロシアンルーレットなどで一番不幸を引き当てたメンバーがバラエティ的には良いと言う事で、悲惨になりすぎない程度の小さな不幸がメンバーを襲う。 「小さな不幸」の匙加減が頃合い。
びっくりした時の反応の面白さは小室が頭抜けており、次いで空井。
福田は何が起きても動じないのだけれど、動じなさ過ぎて目を惹く。
ガヤ担当の(担当と言う訳ではないが)の森崎や北川の不在で一寸おとなし目の反応だったが、石川と空井の前のめりの姿勢は良かった。
終盤の鬼脚で伸びた永瀬が逆転でバラエティーラッキークイーン、二着に空井。 空井は常に掲示板には載る印象。
週末からイベント続きとあって、少々疲れ気味のように見えるメンバーも散見されたが、そんなこともあってか歌無しで終演。
P対談
その日出演したアイドルのプロデューサーと司会の石橋が対談するコーナー。 初回のゲストはPIPの濱野智史。
腹の探り合いをする必要もなく、さくさくと進行。 互いの印象やお披露目からそろそろ一年になるPIPの現状をどう見るかなどの突っ込んだ話。
「負けてもいいからどんどん出て行くべき」と話す石橋に対し、「それはそうだけど、出来れば勝ちたい」と濱野。似たようなところもありつつ、末節に差異がある。 その差異の部分を訊き出し摺り合せて行くには時間が短すぎた。
これだけでイベントの一本も成立する訳で、落ち着いて聞ける環境で長めのをお願いしたい。
「PIPは最近、外のライブが良い」と石橋。 「やっとユニフォームを着てバッターボックスに立てるようになって来た」とは言い得て妙。
# シャイニングおじさん [ブログの内容とコメントが違いすいませんm(_ _)m 先日タワーのイベントに久しぶりに行きました。ペトリ堂さんもい..]