第4週から第1週にお引越し、出番も早まって中学生メンバーも出られるようになった。
司会のカオポイント石橋哲也は今日も割と無理のあるデコ隠し。 それはそれとして司会の腕は良い。 ネタを作る(仕込む)力と、その場での応用力の両方がある。
今回は客から投稿を募り、メンバーに状況に合わせた告白をさせる企画。
驚いたのは、その場で台本片手に演るのではなく、メンバーが科白を入れてきていた事。
このあたりも濱野の評価できる所の一つであり、ネット配信のみとは言え一回々々の仕事から何かを掴ませようとしている。 PIPの美点は考えられていて且つ考えさせている所だと思う。
私は集合知というものをあまり信じていないのだけれど、濱野や裏方が考え、メンバーが考え、客が考えた事が番組として形になっている。
緊張しすぎたのか科白が飛んでしまった小室が泣き出してしまう一幕もありつつ、そう言うことも織り込み済みの進行で恙無く。
番組の最後に「僕を信じて」を出演メンバーで披露。 牛島だけ余ってしまい、袖で見守る形になってしまったが、口ずさみながら手だけで軽く踊るさまが切なかった。
牛島にしても森崎にしても、プロデュース志望の連中が目立たない所で濱野を補完する仕事をし始めており、グループとしての面白みは増してきた。
物販は狭い部屋を共有しつつ行うので制約が多く、改善はされつつあるが回転効率が悪い。 試行錯誤している形跡は見られるので、暫く静観しようと思う。
PIPもロハとは言え公演に一束からの客を集められた訳で、この日の集客も群を抜いていた。
並行物販の弊害と言うか宿命と言うか、オープニングのときにあれだけ居た客が自分たちの出演時間になると根こそぎ居ないと言うのは妬み・やっかみの種になる。 PIPの物販待ちの列にビラを配りに行かされた別のグループのメンバーも辛そうだった。
芸事と言うものは常に理不尽の中に在り、それとどう折り合いを付けて行くのか、もしくは強行突破するのか、跨いで通るのか、濱野の手腕が問われようとしている。
副題として「新たな定期公演の地は押上WALLOP放送局!PIPが日曜の押上を最高に沸かせます!」
築地川のほとりにあった会議室から、十間川のほとりにあるスタジオへ。 楽園を追われたPIPが辿り着いたのは押上WALLOP放送局であった。
入場無料だが事前予約をとるシステムは継続。 100人分の枠はその晩のうちに埋まった。
開演前に司会を務めるカオポイント石橋哲也が話した所によると、PIPリーダーの石川が石橋のイベントのスタッフをしていた縁があり、WALLOPの番組への出演の話を振ったり、次の会場を探している濱野とWALLOPの橋渡しをしたとの事。
スカイツリーが出来て多少開けたとは言え、郊外の私鉄駅近くの住宅地。 100人からの人間が並べる場所が有る訳も無く、試行錯誤しながらビル内に並ばせていた。
何処にどれくらいの人数が並べるのかは見ていたようなので、次回以降の改善に期待したい。
公開収録に使っている三階のスタジオが会場となっており、椅子をあるだけ並べて60席程度確保し、あとは立ち見。
若い番号でも予約するだけして来なかった向きも多く、予約無しの客が来ていたにしてもどれくらい埋まったのかは分からないが、何度も来ているスタジオがこんなに埋まったのは初めて見た。
配信用のトーク番組は1時間とられており、前半30分は夜の番組に出ていない(出られない)年少組メンバーと勤め人の栗城が登場。 面識の殆ど無い石橋哲也との摺りあわせ。
小室、橋田、福田の三人を前列に並べて、司会が突っ込み易い位置に小室を置いたのは上手かった。 一寸刺激を与えると自然に化学反応が起きて、笑いが起こる。
御坂は例によって口を開くと予想外のことを口走って全てを持って行く引きの強さ。
後半30分は中央に司会用のテーブルを置き、下手に年長組(と北川)上手に年少組(と栗城)
議長が公平なようでいて与党(年少組)寄り、野党が不満をぶつけるイギリス下院方式で進行。 風邪で羽月が、仕事の都合で山下がお休み。
振る舞いとして至らないところはありつつ、年長組は役割を理解はしており、石橋の上げたり下げたりが上手いこともあって楽しく過ごせた。
石橋は工藤から澤村に「乗り換えた」体で、澤村を持ち上げたり工藤を落としたりするのだけれど、「体で」やっているのが言外に伝わるので不快ではなく、工藤も灰被り的な役回りを進んで引き受けていた。
企画意図を汲むという点では、北川の嗅覚の鋭さ、大内順子のような柔らかくありつつ芯のある語り口で引き込む小林が出色。
石橋はメンバーの人となりの把握には努め、それを生かしつつ狎れたところは無く、楽屋落ちにもならないよう進行。
CM中に番組スタッフへの指示を出したり、番組としての緊張感を保つ工夫もしているので、手綱の締め方緩め方が絶妙。 年少組のじゃれ合いも度が過ぎぬ所で止まる。
濱野が仕切るとどうしても角の立つ物言いになってしまったり、説明不足で楽屋落ちになってしまうところはあるので、この縁は大事にした方が良いと思う。
オリジナル曲なら配信枠でも出来るらしく、最後に「選ばれたから」で〆。
羽月パートには北川。 八面六臂。
ライブはゲストの meltia から。
funny から pretty そして beautiful や lovely まで、アタナシウス派からカタリ派まで各種取り揃えてお届け。
ジェネリック岡田奈々と言った趣の水木なでしこと、整っていつつ押し出しも強い梨園系の顔立ちの白雪めろが目を惹く。
歌割りと振り付けがしっかり練られており、カバー曲も自家薬籠中のものとなっている。
来月から定期公演を行うとの事。
出囃子に乗ってPIP、「僕を信じて」→「選ばれたから」。 お休みの羽月パートは澤村と北川。
フォーメーションが複雑で且つ振りも激しいのでマイクを持つ手がお留守になるメンバーも多い中、柚木と福田のマイクだけは口と正対し続ける。 柚木は考えてやっているのだと思うが、福田は恐らくそうしようとは思っていないけれど、出来ている。 直覚力の鋭さ。
ほんの数十センチなのだけれど、その高さがあることで舞台は舞台としての説得力を持つ。
会議室から出たことで、PIPは舞台を得た。
ハロー・プロジェクトへの耽溺で知られる工藤千里は時節柄と言う事もあり、道重さゆみの「シャバダバ ドゥ~」をカバー。
思い入れのある楽曲とあって硬さは見られたしトチリもあったのだけれど、そこで絶望を顕わにしなくなったのは良い。
採寸して作った筈の衣装が早くも危うくなり掛けていたが、「天高く」的な季節感を伴うそれではなく、年相応の成長と言う感じ。 悪い方向に向いたものではないように思う。
森崎恵プロデュースで一曲。 森崎、澤村、北川、高城、瑞野でドロシーリトルハッピーの「ASIAN STONE」。
森崎の説明は例によって情念過多で「雄弁は銀」。 要は日の当たりにくいメンバーに光を当て、またこれまでとは違う角度から光を当てることで異なる輝きを見たい・・・と意図であったようだ。
濱野智史の楽曲知識はAKB48グループに偏り過ぎているので、幅広く見て聴いている森崎の知識と情報がこうして生きるのは良いことだと思う。
ドロシーリトルハッピーはダンススクールから生まれたグループなので、どの曲を演るにしてもハードルが高いが、とりあへず人前に出せるレベルにはなっていた。
「てもでもの涙」(柚木・橋田)
「ウィンブルドンへ連れて行って」(福田・空井・小林)
三振覚悟でフルスイングする空井のヤケクソ感が楽しい。
革新政党の婦人議員のような無駄に方に力の入った Bluestocking な感じが歌にも出る。 押上のゲバルト・ローザ。
「きっとぐっとサマーデイズ」(選抜組)
三曲目のオリジナルは冬なのに夏の曲。 羽月パートには瑞野。
手っ取り早く盛り上がれる曲はあっても良い。
公演本編はAKB48の「ありがとう」でしみじみして終える予定だったようだが、間奏でメンバーの名を読み上げる所で森崎が飛ばされる意図しない茶番が発生。 不平不満を言う役回りが自然に廻ってくる森崎。 ここで上手く受身が取れると仕事の幅も拡がる。
アンコールで「きっとぐっとサマーデイズ」を披露し直したところで、濱野から「ここで御坂からお知らせがあります。」
血の巡りの悪い客が「辞めないで」と混ぜっ返そうとするも、御坂の口からでたお知らせなるものはそのものズバリの「辞める話」。 実に間が悪い。
年内一杯でPIPは辞めるが、「公の人になる」と言う目標は変わらず、別の道を捜すとのこと。
しんみりする間もなく、物販へ移行。
押上に移っての変化は、音響の質の低下。 濱野はへらへら踊りながらミキサー卓で遊んでいるように見えて、実に細かく音量調整をしており、喋る時と歌う時で音量を変えるのは勿論、マイクの持ち手や曲の質によっても変化を付けていた。
ライブハウスではなく、あくまでも放送用のスタジオなので多くを望みすぎるのも酷ではあるが、オケとマイクのバランスがオケ寄りで有りすぎたり、ハウリングを恐れるあまりマイクの音量を絞りすぎていたり、一寸いただけない仕事であった。
終演後に知己とも話したのだけれど、濱野智史は送り手としては非常に良くやっていて、何か問題があっても必ず対策は講じてくる。
客の側としても、クレームではなく、改善提案的なやり方で行きたい。
アイドルグループが30分ずつ受け持つネット配信のバラエティー番組。
PIPはオープニングと20:30からの30分枠に出演。
PIP以外の出演者の中では、目黒川女学館が地味に面白い。 リーダーが宮下順子に似ている。
20:30からの出番で且つその後に物販と言う事で、大人メンバーのみの出演。 勤め人だったり、体調不良であったりで欠席もあり、全員の出演と言う訳には行かないが、選抜制導入以来出番の減ってしまった連中にも出演機会があるのは良い。
メンバー以外にマネジメントと物販仕切り要員で濱野とスタッフ一人が帯同。
入場料を払う際に目当てを訊かれるのだけれど、開演前の時点でもPIPで入っている客が多く、帰り掛けに見たら更に増えていた。 頭抜けた動員。
司会はカオポイントの石橋哲也。 メンバーの人となりは把握しつつ、楽屋落ちになるような物言いをしないのが先ず良い。
今回の企画は「箱の中身はなんじゃろな」。 ブロッコリーであったり、シラタキであったり、生魚であったり、定番の当て物でワイワイと。
感情の起伏があまり出ない小林が、意を決して箱に手を突っ込む時の複雑怪奇な表情であったり、見所はありつつも淡々と進んでいたが、残り4人となり石川と羽月が出てきたところで目隠しをして口に含んだものを当てる「口の中身はなんじゃろな」に企画変更。
アシスタント役の工藤が匙で口の中に滑り込ませたものを噛んだり舐めたりして二人が答えを出した後、正解として出された写真がタガメ。
取り乱す石川と、割と平静な羽月。 何だろうと思ったら、前回のドッキリ企画で仕掛ける側だった石川を嵌める仕返し企画。
タガメと言うのもウソで、実際は蝦だったらしい。
これで終わりだと思ったら、最後に残っていた牛島と北川は何故か目隠し無しでイナゴの佃煮を食べる羽目に。
実は仕返しの言いだしっぺは牛島であり、人を呪わば穴二つと言うオチ。
驚きはしたが、酷い目に遭っているようで然程でもなく、大変は大変なのだけれど踏み付けにされるような事にはならない。
進行が上手いので仕込みに不自然さがなく、見ている側も疑問をもたずに見られるから後味も悪くはない。
私も話にしか知らない神田立花亭の廃業以来、数十年ぶりで神田に寄席が復活。
古今亭志ん輔師の肝煎りで出来た二つ目専門の「連雀亭」がそれで、「ぼたん」とか「竹むら」とかのあたりの雑居ビル、猫の額の上に立った細長い所謂「鉛筆ビル」と言うの二階に小ぢんまりと在る。
二十日までが定席の興行、月末までは貸席となっており、空いた土曜に立川吉幸による酒の噺三席の会が入ったので行ってみた。
奥の三角になった所に高座が設えられており、照明もしっかり(しっかり過ぎるくらい)当てているが、小体なハコなのでマイクは無し。 肉声で充分伝わる。
雀を図案化したものが描かれた高座の前縁に下からの照明も仕込まれている。
真新しいメクリは墨痕鮮やか。 上手には角樽、下手には胡蝶蘭。
「狸の札」古今亭駒六
「試し酒」「親子酒」立川吉幸
<中入り>
「らくだ」立川吉幸
立川流の独演会に協会の前座さんと言うのも珍しいが、このあたりは寄席の側の差配であろう。
「親子酒」がサゲ近くまで進んだ頃、通りすがって寄席を見つけて上がってきたであろう老夫婦が受付で何やら話し始めた。
「プログラムをくれ」だの「入場料は幾らだ」だの、今訊かなくても良いような事をクドクドと。 耳が遠いらしく無駄に声がでかい。
受付と客席の間には仕切りらしい仕切りもない構造なので、そこで声高に喋られると中まで丸聞こえ。 受付の人も話を遮るなり声を小さくして貰うなり、外に連れ出すなり、対処法は幾らもある筈なのに空バカだから一緒になってくっ喋っていやがる。
演者はサゲまで演って降りたが、聴いてるこっちは堪ったもんじゃない。
結局のところ、残り一席に千五百円は惜しかったと見えて老夫婦は帰っていったが、その客を繋ぎとめようとして中の客が帰りたくなってしまったのでは元も子もない。
目抜き通りにある訳でもなく、名前で客を呼べる大看板が出る訳でもないから来た客は逃したくないのかもしれないが、あまりにも物のわからない対応であった。
着物を替えて残り一席。 演者も客も気を取り直して「らくだ」をサゲまで。
らくだを菜漬けの樽にブチ込むあたりから本性を現す屑屋。 スラップスティックコメディの体で、一気にサゲまで。
途中で邪魔は入ったが企画そのものは良く、見やすいハコでもあった。
早いうちに裏を返したい。
リニューアルして判型が変わり、文字ものページが増えた。 写真そのものより情報に重きが置かれており、ワニブックスが作るBomb!と言った趣。 紙も薄く、印刷は本誌より一寸落ちるが、写真の質も含めてB.L.Tほど酷くは無い。
℃-ute
表紙と巻頭グラビア8ページ20カット、撮影は Shu ASHIZAWA
まぁ何と言うか近況報告。
それ以上でもそれ以下でもない。 褒めるほど良くは無いが、敢えて貶すほど酷くはない。
Berryz工房
5ページ9カット、撮影はSHITOMICHI
こちらも近況報告的顔見世グラビア。
今後はこうした誌面構成になって行くのであろう。
モーニング娘。'14
ハワイツアーのついでに撮ったようなヤッツケ感。
ノーメンクラツーラ層が取り仕切る巨大組織ならではの、統制感溢れる8ページ。 撮影は鈴木さゆり。
小田と鈴木の並び水着だけウエストより上で切ってある、あけすけな「配慮」と言う悪意。
乃木坂46(若月、桜井、生駒)
5ページ6カット、撮影は西田幸樹。
スタジオでポンと撮ったような6カットなのだけれど、きっちり写真にはなっている。
生駒里奈は置いただけで絵になり、すっと目を惹く。
乃木坂PORTRAIT
日の当たらないメンバー掘り起こし企画、初回は永島聖羅。 2ページ2カット、撮影は佐藤裕之。
あまり紙幅は割けない中でもきちんと撮って貰える機会が有るのは良い。
ななせまるが撮らせて頂きます
3ページ3カット、対談で1ページ。
乃木坂46西野七瀬がメンバーを撮る企画。 今回は西野自身がモデルとなり長野博文に撮られるの巻。
長野博文が構図のセンスを褒めているのが面白い。 撮影技術はあとからどうにかなっても、構図を切るセンスだけはどうにもならない。
西野に場を安らがせる力と構図を切るセンスがあれば、この先面白くなる企画なのでは無いかと思う。
長野博文の撮った3カットも、肩の力が抜けていて良い。
川口春奈
8ページ8カット、撮影は佐藤裕之。
カレンダーの other カットで構成。 流石に大人びて来ているが、カメラの前に衒わずに立てているところは変わらない。
変わらぬ良さを残しつつ垢抜けてきた。
小松菜奈
6ページ7カット、撮影は細居幸次郎。
何かしら演じていないとカメラと向き合えない暑苦しさは無きにしも非ずだが、人を惹きつけるものはある。
2カット目が秀逸。 閉鎖空間での光の廻し方は矢張り巧い。
高橋ひかる
4ページ6カット、撮影は長野博文。
撮られる仕事は初めてとのことで、長野博文が撮っても緊張はしているが、カメラと向き合えてはいる。
グランプリになることが貧乏くじであるコンテストのグランプリと言う、厭なものを背負わされた所から始まる芸能活動ではあるけれど、良いほうに転んでくれることを祈りたい。 そう思わせる柔らかい笑顔。
橋本環奈
3ページ2カット、見開き1箇所。 撮影はレスリー・キー。
ポーズから何から作りこんで撮るレスリー・キーにしては自棄にあっさりしているが、造形美の切り取り方の巧さは流石。
そのブツ撮り寄りなところが私の好みとは合わないのだけれど、綺麗に撮れてはいる。
渋谷凪咲
6ページ9カット、撮影は桑島智輝。
3~4ページ目の半見開きのカットや、6ページ目の下から見上げるようなカットなど、桑島智輝にしては人の悪い写真。 ギリギリな線で攻めた構図とポーズ。
キャプションや全体の構成から見て、編集者の方に「こうしたい」と言う腹案があったのかもしれない。
指原莉乃×荒巻美咲
指原莉乃ディレクションのグラビアがUTB+に移転。 6ページ8カット、撮影は桑島智輝。
子供である。 作為も打算もない子供。
小道具の羽毛を舞わせて遊んでいるカット以外、すべて表情が硬いのだけれど、それを宥めすかして撮ったカットに味がある。
島崎遥香
6ページ8カット、撮影はMARCO。
引いたカットも絵になっていて驚く。
白と黒の衣装で二面性を引き出す企画。 白島崎の方はさして面白みもないが、黒島崎は「らしさ」が出ている。
真正面からではなく、上下なり左右にり多少角度を付けて撮ったカットが良い。
増刊のUTB+は別雑誌化し、UTBは月刊誌に戻った。 吉と出るか凶と出るか、試金石となる通巻225号。
宮脇咲良・向井地美音
18ページ17カット、見開き2箇所。 撮影は佐藤裕之。
ブレザー系制服、傾向は揃えつつ意匠の異なる紺ビキニ、白いチュチュ。 衣装三態。
ブレザーは上着の有無で変化を付け、競泳水着を模したような紺ビキニで清楚さを演出し、チュチュであったり小道具としての聴診器であったり、編集者の fetiches が控えめながら通底しており、スパイスとして利いている。
AKB48に未だ在籍するメリットが有るとすれば、それは棒組で仕事をさせることによる化学変化が期待出来るところにある。 撮られる仕事について一つの答えを見出した宮脇咲良と共に仕事をする機会に恵まれた向井地美音は、この先どう変わって行くだろうか。
窓から一杯に射し込む光を受けて、敢えて逆光で撮りつつモデルを浮かび上がらせる佐藤裕之の腕の冴え。
制服もロケ地の校舎も地方の公立高校と言った趣。 ミッションスクールの女子高のように世俗から隔絶された場所ではなく、世俗の中に在りつつ浮き世離れしたような不思議な空気。
宮脇咲良の醸す ennui に向井地美音が引き込まれ、モデルとカメラマンと編集者の仕事が噛み合って生まれた奇蹟。
柴田亜弥
9ページ12カット、撮影は桑島智輝。
衣装4パターン。 上京したスケジュールの中での撮影となると時間的に厳しかったのでは無いかと思われるが、その分工夫が凝らされている。
目が売りであるだけに、カメラを直視したカットで構成。 その中で一枚だけ挟み込まれた横顔。 これが凄い。
空を見上げた横顔を心持ち下から撮っているのだけれど、正面から撮ったカットよりも柴田亜弥の目に宿る力を可視化している。
カメラに視線は行っているのだけれど、衒ったり取り繕ったりする所はなく、自然にカメラと向き合えてはいる。
まぁ、カメラに視線と意識と両方が向いている圧迫感はあるし、視線の行っていないカットも意識はカメラに向いているので、写真を見ている側までもが常にロックオンされているような怖さはある。 自分だけを見ることを強いるような、石にされそうな恐怖。
これも好きな向きには堪らないのであろう。
柴田の目はカメラを捉えているのだけれど、撮っているカメラの方はさまざまな角度から柴田を切り取っていて、前述の横顔のほか、立て膝で振り向いたカットが良かった。
岡田奈々
10ページ11カット、見開き1箇所。 撮影は桑島智輝。
これまでに見た岡田奈々のグラビアは、常に何かに凝り固まったような窮屈さがあったのだけれど、一と皮も二た皮も剥けて柔らかい表情でカメラの前に立てるようになっていた。 ここまで出来れば、カメラマンや編集者でハズレを引いても、撮られる仕事で結果は出せると思う。
凝り固まった部分の残滓はまだ前髪のぺったり加減に在るが、松井玲奈がそうであったように、撮られ慣れていくうちに氷解して行くと思う。 兎に角、カメラと素で向き合えるようになったのは大きい。
真面目とか優等生とかそう言うレッテル貼りが岡田奈々を縛ってしまっていたように私は思う。
見せたい自分が魅力的なものでは必ずしも無く、破綻の無い「岡田奈々」として小さく纏まってしまっていた頑なさが人としての面白みを封じてしまっていたようにも思われる。
意識して閉じられていた扉は開け放たれた訳であり、岡田奈々にとって転機となり得る仕事となったように思う。
込山榛香
8ページ10カット、撮影は國方大。
初めてのソログラビアの割に硬さは無く、撮る側の持って行き方も上手いのだと思うが多彩な表情。
内斜視気味でありつつ、角度を付けて撮った際に遠い方の目が生きてくる面白い造形。 可愛らしく見える角度が上下左右に広い。
口の開き方で表情に諧調を付けるところなどは既に玄人の域。
悪い仕事ではないが、國方大は些か素材に食われた感がある。
AKB48 チーム8(下尾みう、中野郁海、人見古都音、倉野尾成美)
7ページ8カット、撮影は小池伸一郎。
運転資金をトヨタに出させることで、リーマンショック以来些かせせこましくなってしまったAKB48本体とは別趣のものになっているチーム8。
身の回りの古い客も焼け棒杭に火が点いたのか、はたまた燃え尽きる寸前に一と際明るく燃える蝋燭なのかエライ騒ぎになっている。 劇場公演の楽しさを知る層、お台場などで撮れた楽しさを知っている層には堪らないらしい。
ハイキーに飛ばした前半はあまり好きな撮り方ではないが、後半は面白い。
6ページ目の集合などはその場にある構造物を生かして構図を作る小池伸一郎の上手さが生きている。
中元日芽香
10ページ9カット、見開き1箇所。 撮影は桑島智輝。
ピントを薄めにして迫ったアップ、大道具小道具を配して構図を切る引きの絵。 スルリと懐に入り込む技も冴えて桑島智輝の写真を堪能できる10ページ。 ライフワークとしていたものが一つの完結を見たことで、桑島智輝の仕事により厚みが増した。
それもロケハンや道具立てがあってこそのものであり、ワニブックスの編集陣の底知れぬ怖ろしさが垣間見られる。
椎名ひかり
6ページ7カット、撮影は長野博文。
上が白、下が臙脂のセーラー服でリコーダーを吹きながらハチ公前の交差点を渡るカットから始まり、長野博文のスタジオに移動して一枚ずつ脱いでビキニになっていく流れを追った7カット。
既に出来上がってしまっている物を見せるやり方としては上手い。
どう撮ってもそうなってしまう事が予想されるモデルに対しては、こう言うやり方が最適解に近いのであろう。
プリンセスBambina
15歳以下のモデル10人を起用してワニブックスが創刊するファッション&カルチャー誌の宣伝で5ページ4カット、見開き1箇所。 撮影は上原朋也。
あからさまな宣伝の場合は読み飛ばすことが多いのだけれど、なかなか出来が良い。
ファッション誌らしい、コダクローム感のある色合いと作り込まれた構図なのだけれど、道具立てまで含めて詰めてあるのが良い。
佐々木莉佳子の、頭抜けた大物感。
真野恵里菜
9ページ8カット、見開き1箇所。 撮影は西田幸樹。
薄着ではありつつ、水着でも下着でもなく、何かしら着てはいるが部屋着にしては薄い。 この匙加減の妙。
様々な解釈の成り立つ表情で押しつつ、笑顔で〆て落としどころをつくる構成も上手い。
2カット目の魔術的ですらある光の廻し方。 判り難いが質は高い仕事の積み重ねで出来ている。
求められる真野恵里菜ではありつつ、媚びず衒わず。 裏方も上手く大人にしたし、真野恵里菜も上手く大人になった。
鈴木愛理
ビューティーブックなるものからの8ページ10カット、撮影は玉井俊行。
伸ばした前髪も落ち着き、大人びた姿も馴染んで来た。
鈴木愛理の「こう在りたい自分」と言うのはこのあたりなのであろう。
悪くはないし歳相応でもある。 しかしこうした「やさぐれ感」が主たる客層にどう受け取られるのか。
そこから自由になりたいのかもしれない。
UTB+ を別趣のアイドル情報誌として切り離したことで、より写真に注力できるようになり、グラビア1本あたりのページ数が増えた。
そうなると写真を詰め込む必要が無くなり、判型を生かした見開きも生かせる。
私にとっては嬉しい変化であった。
マルイジャム 渋谷6階のイベントスペースをパーティションで仕切ったところにパネルを並べて展示。
入り口付近に大伸ばしされたものが7点、あとは額装された半切くらいのものがズラリ。
展示スペースは狭く、パネルが低いところに詰め込んで二段展示なので、下の段は屈まないと見えない。 場内が明るいので見えづらさはないものの、ライテイングに関しては全く考えられておらず、詰め込み過ぎてパネルを並べる幅も狭いので混み合っても客は行き交えない。
見る価値が全く無いとは言わないが、写真以前に展示環境の点でおすすめしにくいし、写真の方も良くも悪くも魚住らしいもので、見るに堪えない大ハズレは無いかわりに「これは」と思うものもない。
展示枚数こそ多いものの撮り方が単調で、切り取り方は多少変わっても被写体と向き合う角度はほぼ一定で正面からなので、どの写真も代わり映えしない。
大部彩夏は口呼吸の人らしく、口はいくらか開き気味で常に微笑んでいるような表情。 それをどうしようともしていないので、何枚並べたところで似たような写真にしかならない。
たまにある口を閉じたカットや横顔などを見ると、大部彩夏の被写体としての魅力を引き出しているものも有るにはあるのだけれど、それが少ないところから見て、やはりモデルの表情の諧調や映える角度を引き出そうとする意欲は薄いように感じられる。
そこが魚住の持ち味でもあり、無難というか万人向けというか、分かりやすい写真にはなっているのではあるが。
プリントのみなら10800円、額装しても27000円、展示したものからより抜きにした写真集が8640円と値付けも上手い。
ハイエンド向けマルベル堂商法としては良い線だと思う。
折井の担当日と言うと荒天と言うのも今は昔、冬晴れの東京タワーではクリスマスのイルミネーションが始まっていた。
ピンクのニットワンピース、丈が短くて腰掛けると一寸危ういが、そこはそれ膝掛けなどでガード。 役の為か長い髪は明るめの色、長いこと見ているが、今が一番綺麗なのではないか。 通りすがりの客からも溜息混じりの感嘆の声が洩れ聞えた。
目当てで来ている客は、カフェと観覧用丸椅子と立ち見で分散。 観光できたフリの客が相手となる、華やかそうでいて難しい仕事。
初めてのデートらしきカップル、初めての海外旅行と思しき大陸の人など、まわりが見えなくなってしまっている人は、そここでイベントがあろうがなかろうが構わずはしゃぎ回るので、見ていてつらくなることも間々あるのだけれど、ここ二年くらいの折井は実に強くなっており、心が折れない。
相方のDJミズノ氏とは断続的ではあるが付き合いも長く、気心が知れているので話も上手く転がる。
ミズノ氏の選曲の妙がこのイベントの隠れた魅力ではあるのだけれど、曲についての話が弾むのも折井の引き出しが増えて深くなっているからだと思う。
何時にも増して「告白した」とか「付き合い始めて何周年」とかそういうリクエストが多く、そうなると番組としては盛り上がる。
リクエストに書かれた話の流れで「あなたとクリスマスイブ」をアカペラで歌う羽目になったり、歌い終えて大いに照れたり、古い客向けのご褒美などもありつつ、和やかに終演。
AKB48が売れる前に辞めているので、知名度という点に於いては恩恵に預かれていないが、「その後の人生」としては充実しているのではないだろうか。
万年筆の修理に雑司が谷へ出向いたその足で池袋へ。 懸案だった palet のリリースイベントを観覧。 無軌道な若い衆向けに特化したようなグループに渋好みの新メンバーと言うのが気になっていたのであった。
客層は若いのからそうでもないのまでまんべんなく。 お行儀の悪そうな連中は観覧エリア後方と9Fデッキあたりに陣取っており、最前列付近の方が平和だったのには拍子抜けした。 まぁ、ライブハウスなどの閉鎖空間になればまた違ってくるのだろう。
開演前に注意事項としてジャンプ禁止のお達しはあったのだけれど、なぜ禁止なのか客の側がまったく分かっておらず、構わずに飛びまくるもの、飛ばないまでも飛ぶ素振りを見せるものがズラリ揃っているのでまぁ揺れること揺れること。 禁止にした意味が丸で無い。
スタッフは終始ピリピリ。 事あるごと注意に出向くが完全に舐められており、強権を発動しないこともあって、リフトだのジャンプだのと若い連中は遣りたい放題。
禁止事項としてアナウンスされた事を守らない、スタッフの注意にも丸で耳を貸さない一部始終はステージの上からも見えており、その傍若無人な振る舞いは palet と言うグループの活動そのものを否定することにも繋がる訳なのだけれど、特典会にも悪びれることなく参加する神経の働きが私には理解できない。 踏み付けにしている相手に客としてサービスを求める無神経さ。 他者への想像力の欠如。
楽曲はそれなりに練られており、歌って踊る部分も悪くは無いが、活動が近視眼的で拡がりがない。
新メンバーの中野佑美は挙措も美しく、喋りも歌も丁寧。 観に行く動機には充分成り得るのだけれど、周辺環境が悪すぎる。
「"SNOW DISTANCE" は、女の子の切ない気持ちを歌った曲なので、是非歌詞に注目して聴いてみてください。」と語りかけてから歌い始めたものの、騒ぎたいだけの層はまるで聴いていない。
メンバーが舞台上から客に釘を挿すなんざ非常事態以外やらない方が良い(況してやオープンスペースでのイベントに於いてをや)のだけれど、裏方が裏方として機能していないので客の狼藉を誰も止められない。 客をコントロール出来る存在がその場に一人も居ない。
久し振りに見た「地獄感」溢れる地獄であった。
17:00からと19:00からの二回廻し。 このショッピングモールは音量規制など色々と制約が多く、インストアイベントにはあまり向いていないのでタワーレコード錦糸町店内にイベントスペースを作ってイベントを打つことの方が多いが、一定以上の集客が見込まれると狭い店内では流石にやりにくい。 女子流ともなると矢張りそれなりの集客が見込まれるらしく、エントリーコートに折り畳みステージを三枚しつらえてのミニライブ。
あまり早くから張り付くのも野暮なので、開演30分前に行ったら優先観覧スペースはほぼ満員、2階バルコニーも鈴なり。 端の方に潜り込んで開演待ち。
スピーカーは客席に向けたものが一対、モニタースピーカーが二対。 このあたりが女子流スタッフの食えないところで、オケとマイクの音量規制は守りつつ、モニタースピーカーで音をしっかり聞き取らせて伸び伸び歌わせることにより、生の声を響かせようと言う意図。 リハーサルでもモニタースピーカーの位置と角度の調整を入念に行っていた。
南側の入り口にあるステージで歌うと、オケの音は掻き消されてしまっても歌声は北の端まで届く。 歌として聞き取れなくても「何かやっている」只ならぬ雰囲気は伝わる。
目当ての客からの収奪ではなく、より広く知らしむる事を目的としてやっているのがメンバーにまで浸透しており、目の前の客だけでなく、建物全体にいる人々を総体として客として捉えており、海外進出と言うより高次の目標を掲げても説得力があった。
1部2部と構成は変えつつ、聞かせる曲と盛り上がる曲を新旧取り混ぜて5曲ずつ。 自己紹介と告知などの最低限の喋りに止めて歌で押して行く。
新曲の Say long goodbye は、庄司曰く「R&B調のバラード」。 中江の高音で始まり、新井→小西と一番良い音域で歌い継いで行く。 この歌割りが巧い。 目当てで来ている層はグイッと引き込まれ、通りすがりの客の足も思わず止まる。
ことアイドル業界に於いては簡便に盛り上がれる曲が持て囃される傾向があり、バラードは敬遠されがちなのであるが、東京女子流は時折こう言う売りにくい曲を敢えてシングルで出してくる。 それをただ売るのではなく、その曲によって「知らしめよう」とする意志がメンバーにもスタッフにも共有されており、締まったイベントになっていた。
特典を山盛りにして少数の客からの収奪で売り上げ目標を達成しようとする商売をやっていないので、客一人当たりの購入枚数は然程多くないと思われるが、買った延べ人数はかなり多くなっているのではないかと思う。
広く売れて欲しい。
給料日前にリリースイベントが並んだり、曲がどうにも気に入らなかったりで間が開いてしまったが、矢張り見たくはあるので池袋。
パルコの別館のようなファッションビルの5Fと6Fにタワーレコードが入っており、洋楽売り場の端に小ぢんまりとイベントスペース。 開演15分前に着いたが先客は影かたち、つ離れしないどころの騒ぎではなく肝を冷やしたが、三々五々集まってきて開演する頃には店舗スタッフからお膝送りのお願いが出る位には埋まっていた。
きっといい場所
マスカット・スロープ・ラブ
エルスカディ
有頂天ガール
周辺状況には嫌気が差すこともまま有るのだけれど、歌って踊る部分の芯はしっかりしており、そこで客を裏切る事は先ず無いので、「断続的に」では有るが足を運び続けている。
新曲は井上大輔の手によるもの。 未発表曲と言う事はそれなりの曰くがあるとは思うのだけれど、聞き込んで耳に馴染む佳曲。 今回の私服(事実上の衣装)はチアリーダー的なAラインのワンピース。
相変わらず丈は無駄に短いのだけれど、タイツ標準装備なのは良い。 長い手足はスラリとして無駄な肉が無く、指先まで神経の通った動きも美しい。
舞台の下を見ていると相変わらず色々あるのだけれど、舞台上から齎される幸福の量は保証されているので、今後も細く長く足を運びたい。
最後に観たのが「ハニーB」のリリースイベントだったから、丸三年御無沙汰のprdia。 晴れたので足を運んでみた。
まだ間があったのでベンチに腰掛けて時間を潰していたら、チラシ配りが始まった。 綺麗なお姉さんが10人練り歩いて、デパートの屋上で寛ぐ家族連れにチラシを手渡していく様は壮観。
固定客向けの収奪に血道を上げがちなリリースイベントで一見さんにも顔と名前を覚えて貰おうとする姿勢は、当たり前と言えば当たり前なのであるが、物を売る事を生業とするなら矢張り持ち合わせていて然るべき。 嫁さんの手前受け取りあぐねる旦那、固まってしまう嫁、無邪気に受け取る子供。 微笑ましい光景。
固定客囲い込み用の優先観覧エリアを敢えて設けず、観て貰う・聴いて貰う・知って貰うを徹底。 広く知らしめなければ継続し得ない事を判ってやっているのは強い。
メンバー10人にマイクを持たせているので、ワイヤレスを含めて音響機材も持ち込み。 スピーカー2対、モニタースピーカー1対。 ハウリングは起こるが収束も早く、良い腕のスタッフが張り付いている。
湊・村上の二人が矢張り頭抜けているが、他のメンバーも歌えるようにはなっているし、声質にあわせて歌割りも練られており、松本の特徴的な声が良いアクセント。
振り付けもフォーメーションも多彩で切れがあり、あっという間に5曲。
自己紹介の際に村上瑠美奈が「完璧なステージをお見せします」と宣っていたが、見終えて納得。 ここまでの完成度になっているとは思わなかった。 眼福。
副題は『「PIP新富町会議室での公演はこれが本当に最後。11月生誕祭、meltiaゲスト、そしてPIP初オリジナル曲の披露と、超盛りだくさんの3時間超大ボリュームでお届け!」公演』
駆け込み需要なのか、ご新規さん多目で盛況。 予約の80枠は早々に埋まり、20枠増やした分と当日入場で札止めにはなっていないがこれ迄で一番の大入り。 葬式ごっこにかこつけて騒ぎたいだけの連中も多かったようで、客民度も過去最低。
「遅れてきたピンチケ」としての濱野智史の造反有理(子供たちが騒ぐのにも理由はある)的な考えと振る舞いで、何をどうやってもメンバーに危害でも加えない限りに於いては野放しでありつつ、見たい・聴きたい客と騒げればいい客は椅子席と立ち見で或る程度の棲み分けがなされているので現状で目立ったトラブルは起こらずに来たが、流石に今日は椅子席の客にも苛立ちが見られた。
先ずはゲストのロリィタ*アイドル meltia が顔見世がてら一曲。
顔立ちから芸名から個性的で、安田猛の繰り出す七色の変化球の趣。
水木 なでしこ がジェネリック岡田奈々と言う感じで、お得で且つ可愛らしく、印象に残った。
出囃子代わりにウェストミンスターの鐘を鳴らしてから Dreamin' girls 。 歌いながら入場し、4曲続けてやって自己紹介。
お題は「会議室の思い出」であったのだけれど、この時点で既に涙腺が決壊しかかっているのもちらほら。
山下緑はまだ出来る曲の方が少なく、その間は衝立の後ろに隠れているのだけれど、頭隠して何とやらで他の連中の歌い踊るのを楽しげに見ているさまが見えちゃってるのがどうにも可笑しかった。
澤村が何と言うか、聖徳太子の左右に居る人のような髪型。
ユニットコーナーは濱野、羽月、小林の「初恋サイダー」から。
濱野と羽月は喉に来る風邪が漸く本復したようで、伸びやかな歌声。 小林も含めて「質の異なる歌唱要員」が揃っているのは、矢張りグループとしての強みだと思う。
モニタースピーカーが無い所為か、客が騒ぐと音が取れなくなってしまうようなところが有る。
「ウィンブルドンへ連れて行って」(福田、橋田、柚木)、「向日葵」(永瀬、空井、牛島、森崎)、「ハート型ウィルス」(工藤、石川、豊栄)、「てもでもの涙」(濱野、羽月)、「高値の林檎」(澤村、瑞野)、「禁じられた二人」(北川、柚木)、「天使のしっぽ」(橋田、福田、小室)、「夢見る15歳」(橋田、福田、小室、工藤)、「シンクロときめき」(御坂)、「夜風の仕業」(高城)、「枯葉のステーション」(空井)、「君の名は希望」(濱野、小林)とユニットで押す攻勢。
橋田は動きが雅やかで、振りの独自解釈は少ないのだけれど目を惹く。
高すぎるマイクスタンドを、顔色を変えず歌いながら調整する石川。
澤村と瑞野は振りの解釈に微妙な差異はありつつ、止め撥ね払いが綺麗なので調和して見える。 行書の芸。
工藤は妙な気負いが消えて表情が明るくなり、動きも軽くなった。 良い変化。
小室は動くと猫背が直り、激しい動きにも情緒がある。
御坂は振り付けにメリハリが付いてきた。 歌は平嶋夏海唱法の域にあるが、危うさは影を潜めつつある。
高城は間奏時に中手が入るくらいで客の反応が薄い曲を走らず遅れずしっかり歌いこなせていた。
空井の「枯葉のステーション」は技巧より情念で聴かせる。 源氏物語の第四帖と言うか「道成寺」と言うか、旅行をすっぽかした奴の哀れな末路まで見えるような、本家とは別物の凄さがあった。
その凄いのを目の前にして、碌すっぽ聴きもしやがらないで名前を叫ぶしか脳の無い野暮な客。 空井も客筋が悪い。
濱野と小林は歌い方や声の質の違いにヴィオラとチェロのような相性のよさがあり、耳に優しい。
お披露目のときからの3グループに分かれて担当曲を演ったあと、11月の生誕コーナーへ。
「ね〜え?」(工藤)、「コネクト」(橋田)、「Be MYSELF」(工藤、橋田)
ハロプロ本体ではなく、何故松浦亜弥なのかと思ったら、「(「ね〜え?」は)道重さんもカバーしていたので」とのこと。 「やり切れました」と満足げに語っていたが、肩の力が抜けた工藤は表情も明るくなり、これまで感じられた辛気臭さと言うか息苦しさと言うかそう言ったものが無くなり、良い方向に変化している。
再び meltia が二曲。 カバーの曲はピンと来なかったが、最後に演ったオリジナルの曲は振り付けも含めて良く出来ていた。
ここまで来て漸くPIP初のオリジナル曲を披露。 選抜メンバーで「僕を信じて」「選ばれたから」。
歌詞は濱野らしいと言うか何と言うか、言葉からイメージを喚起せしめるものではなく、文章として咀嚼して解釈するもの。 詞であって詩ではない。
その辺りに飽き足らなさはありつつ、歌割りや振り付け、フォーメーションは凝った作りで見応え聴き応えはある。
未だ々々硬く、こなれるまでは暫く掛かると思うが、他所へ打って出て勝負出来得る楽曲には仕上がっているし、その「曲の出来の良さ」からか、本気の柚木が漸く見られたように思う。 選抜メンバーの目の色は勿論変わって来ているし、非選抜メンバーのやる気にもプラスに働いている。
詳細は発表待ちだが、定期公演再開の目処も付いた由。 このまま良い循環で動いてくれることを祈りたい。
アイドルグループが入れ替わり立ち代わり、30分ずつ出てくる数珠繋ぎ番組を観覧。
出演は目黒川女学館、アイドル諜報機関LEVEL7、choice?、PIP: Platonics Idol Platform、notall。 司会のカオポイント石橋哲也は時間帯によって出たり出なかったり。
離合集散世の習いと言えど、choice? が3人になっていたのには驚いた。
受付を済ませると紙を一枚渡された。 今回は瞬間芸をやることになっているが、ドッキリ企画になっており、司会の石橋がCM中など要所々々で番組スタッフやPIPメンバーに当り散らす形で駄目出しを重ね、その緊迫した状況下でメンバーがどのように振舞うかを眺めると言う悪趣味極まる企画。 根多ばらしをしないように釘を挿す為の紙っぺらなのであった。
こう言う仕事をやっていれば理不尽な目に遭うのは日常茶飯ではあるのだけれど、為にする理不尽を知らぬ顔の半兵衛で眺めると言うのはどうにも性に合わない。 仕組まれた茶番とは言え、憎からず思っている連中が踏み付けにされる様を笑ってみている事は私には出来かねるので、顔色が分からぬよう、後ろのほうで観覧。
放送されない部分ではにべも無い駄目出しを重ねる石橋も、放送される部分では司会者としての仕事振り。
声色を作る為にアメ横の魚屋のあんちゃんみたいな咳払いをする牛島に「死ぬ間際の正岡子規かよ!」と突っ込みを入れたり、空井のやる里崎のバッティングフォームの真似に「軸足が違うんだよ」と形を示すなど、石橋哲也の芸人としての冴えは垣間見られたので、企画の悪趣味さの割に楽しめる場面もあったのは不幸中の幸いであった。
最終的には残り5分少々のところで怒りに任せ(たことにし)て司会を放棄して裏に引っ込んじゃう石橋のあとを受けて率先してマイクを握り、顔色を変えずに粛々と進行をした羽月がイイシゴト。
野呂圭介よろしく裏から「大成功」のプラカードを持って出てきた石橋が種明かしをして大団円と言う流れではあったのであるが、茫然自失の体で口を半開きにして立ち尽くす濱野舞衣香にはもののあはれを感じた。
リーダーの石川だけは企画を知らされており、グループのラインやメールで不安感を煽っていたことが暴露されたり、なんとか笑いのめして空気を軽くしようとする石橋。 良い芸風だと思う。
新曲の振り入れやレッスンなどを優先するとのことで、ライブとしての開催の無い週末の会議室で短めに撮影会。 北川、髙城、御坂、山下の4名は予め欠席の告知があったが、気が付いたら瑞野と沢村もいなかった。
仔細あってグリコ製品の細長いお菓子を持った写真を撮る趣向。 そちらはみなさんにお任せして、私は何時もの落穂拾い。
天井の螢光燈のみが光源で、部屋の端に行くと些か暗いという厳しい条件。 最新のカメラで撮っていた知己はisoが10000を超えるという修羅場になったようだが、私の数世代前のカメラにはそんな状態で絵を作る機能は無く、iso=800で撮影。 どう言う撮らせ方をするのか現場に行くまで分からなかったのでレンズは28mmから240mmまで持っていったが、近接で撮りたい人が多く混み合って撮り辛く、ノボフレックスの Noflexer 240mm/f4.5 に固定してでアウトレンジ戦法に徹してみた。
小室志織(PIP: Platonics Idol Platform)
柚木萌花(PIP: Platonics Idol Platform)
工藤千里(※左 PIP: Platonics Idol Platform)
橋田唯(PIP: Platonics Idol Platform)
その他の写真はこちらに。
牛島千尋のみ、撮ったものが全滅。 ひとえに私の技倆不足であります。
場所が慶應日吉キャンパスで、しかもOB・OGの集まりと言う事で気乗りはしなかったのだけれど、撮れるかも知れないと言う事もあり、足を運んでみた。
日吉駅はOG・OGと思しき人々でごった返していた訳なのだけれど、慶應らしいなと思ったのは混雑を極めるトイレの出入り口で行き交う人々が自然に体をかわしていたこと。 このあたりのスマートさは慶應ならではなのかもしれない。
イベントの趣旨としてはどうだったのか知らないが、「アイドルすぎる34歳」で自らを売り出すことに成功した脊山がPIPメンバー(とプロデューサーたる濱野智史)にダメ出しをしていく形。 それが辛辣に成り過ぎないように吉田豪が要所々々で混ぜっ返して行く。
イベントそのものが始まる前から批判的な言動が言葉の端々に出ていた司会の池澤あやかは終始仏頂面で袖から見ていた。
何が語られるか見る・聞く前から「アイドル論」の字面への拒否反応が出てしまっており(其れは「司会」と言う自らに課せられた仕事からの逸脱でもあるのだけれどそれはさておき)、終了後にツイッターで辛辣な濱野・PIP批判。
それが濱野へ向けられるのであればまだ分かるのだけれど、言いっ放し・書きっ放しと言うのが実に子供染みて居おり、自らの前半生への悔恨と呪詛にまつわる遣り場の無い怒りを、ぶつけても問題にならない相手に投げつけて溜飲を下げているようで些か薄みっともなく、且つ業界の闇の深さを垣間見たような後味の悪さがあった。
自らの性を商品として消費されてしまうところから芸能活動が始まった池澤と、自らの性を効率的に商品化して現在の立ち位置を築いた脊山と、アイドルが必ずしも性を商品化したものでは無いと言う事に気付いた濱野(そしてその説明が絶望的に下手だと来ている)では考えも話も噛み合いようも無い。
それを横目で見ている吉田豪は楽しそうであった。 目の前に旨そうな「世相の粗」。
「目当て」で通っている客との馴れ合いに近い環境で微温湯に浸かってきたPIPメンバーにとっては、ブランディングだなんだと公衆の面前で詰問され続ける人民裁判は荷が重く、対応しきれないままダメ出しされっぱなしで終了。
人民裁判部分が予定より延びて、ライブは2曲。
音響も見せる環境も悪いので、このあたりの臨機応変な対応は良かったと思う。
脊山は大島優子を例に挙げて、グループを踏み台にするくらいの気概を求めていたが、AKB48を踏み台に出来たのが過去何人居たのか、考えなくても分かる。 そしてAKB48を踏み台にする事をスタッフも現在の客も許容せず、滅私奉公を強いているのも周知の事実である。
池澤にしても脊山にしても、媒体を通して見た虚像としてのAKB48しか知らないから較べて腐す事に疑問を感じていないけれど、週末ごとに握手をするのが仕事の殆どという現状に鑑みれば、濱野の方が余程「人を預かる」「人を育てる」と言う事に於いて責任を自覚しているように私は思う。
グラビア系カメラマンのグループ展 "sharaku project" も4回目を迎えた。今回の会場は箱崎の路地裏にある、製版会社が新たに作ったギャラリー。
最寄り駅は水天宮前で、駅からの距離は近いのだけれど一寸判りにくいところにある。 新しくは無いビルの入り口部分が不自然に新しく、ギャラリー然とした設えになっているので前まで辿り着けばそれと分かる。
エレベーターで3階まで上がると会場。
柱が邪魔になる部分はあるのだけれど、広い。 梁は低いのだけど、天井板を取っ払ってあるので高さは稼げていて、圧迫感は無い。 暗すぎず明るすぎず見やすい環境。
今回もテーマが「ヌード」と言うことで、18歳未満は入場お断り。
吉田裕之
巨大なカラー7点。 画布のような紙にプリントしてある、吉田らしい遊び心。
ぱっと見て見渡せない大きさになると、写真から受ける印象もがらりと変わるのだけれど、柱が邪魔になる位置での展示になっていて、引いて見られなかったのは残念だった。
ブレザー系の制服(夏服)を脱いだり着たり。 綺麗に纏まってはいるが、気障にはならぬ匙加減が上手い。
野澤亘伸
露悪的と言うか挑発的と言うか、生々しいのをカラーで7点。 こちらも大きなプリント。
エロは好きだしグロも(或る程度は)許容できるがスカは御免蒙る。 好悪の悪の部分しかないので論評はしない。
そのあたりの「感情を逆なでする」部分までが狙いだったとしたら、まんまと術中に嵌った事になる。
小池伸一郎
大小取り混ぜてカラー18点。 オーバー気味に飛ばした白バックで針金と戯れるヌード。
先ず感じたのが「焼き難そう」。 私がプリントする訳では勿論無いのだけれど、思わず暗室作業の煩雑な手間を考えてしまう厳しい構図。
拡大率を大まかに決めて、ピントを合わせて、拡大率を直してピントを合わせ直して、さらに拡大率を追い込んでピントを微調整して・・・と言う、賽の河原の石積みのような果てしない作業が脳裏をよぎってゾッとする。
背景に何も無い所で、間合いの取り方とポーズだけで作った構図。 技術とセンスの高度なバランス。
親指に針金を括りつけた足先だけだけを切り取った小品が実に良かった。
上野勇
カラー4点だが、見せ方が凝っている。
一点は背後に光源を置いて透過光で見せる顔のみ判然としない裸体の群れの組んず解れつ。 もう1点は天井から吊り下げた円筒形のプリントを内側に入って見る、360度パノラマ。 全周から等身大に近い14人の裸体が迫ってくる圧迫感。
仕掛けは大胆だが照明の組み立ては繊細で、一旦梁に当てたライトが柔らかく筒の中を照らすようになっている。
見世物小屋めいた猥雑さはありつつ、写真としては綺麗に纏められていて、見せ方は外連味たっぷり。
写真展と言う形でしか見せようの無い写真のかたち。
松田忠雄
カラー6点+小品1点。 セーラー服の女子を脱がせたり、ビニールテープで拘束したり、ビニール袋で梱包したり、それを集積所に棄てたり。
展示スペースに何気なく吊り下げられた薬瓶。 中になにやら入っているのに気付いてよくよく見たら梱包された裸体像のポジ(ポジと言うか、透明な板にうっすらとプリントされた写真と言うか)が入っている。
あたかも被写体の魂をそこに封じ込めたかのような、儚げな美しさ。
屋内も屋外もピントは薄めだが、ボケがなだらかなので合焦しているところへ視点が導かれる。 展示スペースが隣り合わせの上野勇とは好対照の外連とは無縁の写真。
ざっと流して見た時に引っ掛かったささくれのようなものが、二度三度見返すと正体を現す。 些か判り難くは有るが、じっくりと見れば見るほど何かしらの発見が有り、そこでなければならないところに合焦しているも見えてくる。
三輪憲亮
ブツ撮りとポートレートの狭間にある、ゴリッとしたヌードモノクロで7点。
残酷なまでの質感描写なのだけれど、矢張りレタッチ過多な部分はあり、そこが目に入ると見る側に掛かっていた魔法が解けてしまう。
画竜点睛を欠く感はありつつ、プリントそのものは美麗。
門嶋淳矢
カラー6点。 ナナ・ムスクーリ的眼鏡とショートボブのウィッグを付けた、ほぼヌードだが上手く隠したボンデージ。
目のアップ、口腔内のアップなどもありつつ、汚くは無い。 バイブレーター、開口器、ボールギャグ等の象徴的な小道具を配しつつ、生々しくは使わずに野卑にならぬぎりぎりの線で止めているのが良い。
秘すれば花。 仄めかすだけでも、見るものの心に波は立つ。
それぞれがそれぞれの世界を構築しており、見入ってしまうと切り替えが大変。 ベンチに腰掛けて見た物を咀嚼して、一息ついてから次に進み、行きつ戻りつ過ごす。
見ることと考えることの楽しさが詰まった写真展であった。 会期中にもうニ三度見に行きたい。 十月三十一日まで。
副題は「PIPはメンバー数が多いのでまとめてやります!10月生誕メンバー(福田・小林・牛島)合同生誕祭!」公演。
台風は大きいだの強いだのさんざ脅かされたが、いつごろやって来やがるのだか判然としない。 開演時間を繰り上げて台風が来る前に終わらせると言うので足を運んでみた。
体調不良や交通機関の都合で濱野、御坂、高城、山下、瑞野、栗城がお休み。
出囃子から一曲目「夢見る 15歳」(福田、橋田、小室、工藤)。
津軽から米俵担いで出てきた工藤は背負っているものの重さが出ちゃっていてどうにも辛気臭いのだけれど、このあたりは私の好みに合わないだけで質としては悪くない。
橋田はフワリと柔らかい表情。 小室は緩急のつけ方に一日の長があり、上手く抜いているから重くならない。 福田は天然の妙と言うか、考えてやっている訳ではなさそうなところが上手く嵌っている。
「さくらんぼ」(羽月、小林)。 ガイドメロディ付きのオケをしれっと使ってしまう濱野の拘りの無さは、今は身軽さとして吉と出ているが、外部のライブやイベントに出る際には凶と出るのではないか。
歌える二人だけに破綻無く。 ただカラオケ大会然としていて面白みは薄い。
チョーカーやニーハイソックス(もしくはタイツ)など、小林のさり気無いお洒落に唸る。
「ハート型ウィルス」(澤村、石川、豊栄)は衣装も秋服に移行。
動きそのものは抑制されていて慎み深いのに妙な色気のある石川のハニートラップ感。 どこまでも健全な澤村との対比の妙。
華はあるが脇にも廻れる豊栄。
「向日葵」(永瀬・空井・牛島・森崎)、久し振りに生気のある空井。 歌も振りも上手いかと言えばそうでもないのだけれど、妙な味があり目を惹く。
森崎は例によってねっとりと。
「てもでもの涙」(北川、柚木)。 北川の衣装がカーテンから作ったようなサウンド・オブ・ミュージック感。
柚木は髪を下ろしていたが、良い手入れをしている。
全員出てきて「RUN RUN RUN」。 曲が終わって自己紹介、お題は「欠席しているメンバーの秘密」。
自己紹介では、自分の名前までははっきり言えていたが、お題の話に入ると当該メンバーを渾名でしか呼ばない。 「初見の客も居るかもしれない」と言う心配りは常に有って然るべきだと私は思う。
ここから福田、牛島、小林の生誕企画。 濱野が心境などを軽く聞きつつ、それぞれ一曲。
福田は「secret base 〜君がくれたもの〜」。 歌詞は飛んだが遣り切ったのは良かった。
牛島は「虫のバラード」、これが面白かった。 音符を細かくなぞるように歌う「つんく♂唱法」に似ているのだけれど母音が弱く子音で抜くところは坂本九に近い。 押し付けがましくなくて良い。
小林は「明日も」。 これは以前一度歌ったことがあったが、歌う予定だった曲が喉の調子が悪くで出来ないのでこちらにしたとのこと。 小林は音域に合わない曲でも歌いこなせるのだけれど、無理をしない曲の方が声の質に合っているように思う。
生誕の三人で「ハート型ウィルス」、全員で「竹内先輩」「タンポポの決心」で〆。
全体曲では後列の石川が良い。 前に出ていない時の方が凄みが増す。 騙されたい。
会議室で公演を打てるのも、あと半月余。 遅きに失した感は有るが、全体曲でのフォーメーションや振りはサマになって来た。
ディアスポラ(神学的ではなく今日的な意味に於ける)から暫くは出稽古と言うか巡業と言うか、オリジナル曲で他所のライブに出て、新規の客を掴んだ上で改めて定期公演をやるとの事。 暮れか、遅くとも年明けか。
ともあれ、この会議室とは「長いお別れ」。
濱野は会議室からの実質的追放を「エクソダス」と表現しているが、原因はPIPメンバーにあり、能動的ではなく受動的なものであるので(私の表現が正しいかはさておき)「エクソダス」と言うのは自らを美化しすぎなのではないかと思う。
副題は「奇跡の全員参加なるか!? 久しぶりの定期公演で新カバーもやるぞ!いよいよPIPRO体制やPIP-KYOTOも明らかに!?」公演。
第10回になる訳なのだけれど、そのあたり特に言及無し。
70の予約枠は早々に埋まったが、台風が接近しており、またロハと言う気楽さもあってか入りは薄め。
予約が熾烈さを増している割に実際の動員は頭打ち。 公演の構成が「訳知り向き」に成りつつある事も要因の一つになっているように思う。
公演時間に対する意識を持たせる為か、会議室の掛け時計は舞台よりに移動。 マイクスタンドの出し入れや入り捌けへの意識は高まってきている。
出囃子代わりにボビー・ウーマックを丸々一曲掛けて、「タンポポの決心」のイントロで入場。 無理やり付けた物ではなく、濱野が矯めなかった結果極端化して個性が際立ちつつある空井と森崎だが、森崎は歌っているときの表情もなんと言うかヴェロニカ・ベネットの様なソウルフルな感じになり、目を惹く。
続けて「RUN RUN RUN」を演って自己紹介。 平安時代の合戦作法のような冗長で退屈極まる「名乗り」をやらなくなったのは良いが、自分の名前をはっきり言わなくなっている。 外部のライブに出演するようになれば訳知りの客だけを相手にしている訳には行かぬ訳で、些か客に狎れてしまっているように思う。 これはメンバーのみならず濱野の進行についても言える。 初見の客もいる前提でやれていない。
Google+のハングアウトで京都と繋いでPIP京都の新メンバーのお披露目をしてみたり、LINE通話で体調不良欠席メンバーに話を聞いたり、この辺りは濱野ならではの趣向。
台風が来るので短めにと前置きはありつつ、ユニットコーナー。
福田、橋田、小室、工藤の「夢見る 15歳」は初披露の時より練れて来ており、小室が突出しなくなった。 ハロプロ楽曲は地味に難しいので技倆の差が目に見える形で出やすいのであるが、なんとか見られるものにはなっていた。
歌って踊る部分が平均化すると、橋田の放つ「華」が際立つ。
澤村・瑞野の「高嶺の林檎」は見るたびに良くなっている。 外見はそうでもないが、気質の点で似ているのだと思う。 綺麗な相似形。
北川・柚木の組と濱野・羽月の組で続けて「てもでもの涙」
北川は柚木からしっかり盗めているようで、立ち居振る舞いが目に見えて美しくなっている。
北川が良くなると、それに比例して柚木も良くなる。 柚木が上手くなるのではなく、相方の技倆に合わせて無意識に自制している部分が解き放たれる。
見せる北川・柚木に対して、聴かせる濱野・羽月。 体調不良が長引いていた羽月はまだ声に張りが無いように感じられたが、歌唱そのものは安定。
永瀬・空井・牛島・森崎の「向日葵」
永瀬は何をやっても破綻しない。 器用貧乏のきらいはあるが、公演の下支えにはなっている。
こちらも体調不良が長引いている空井。 声は出ていなかったが、それ以外はいつもの空井。 森崎はここでも振り切れていて面白い。
4本立っていたマイクスタンドを1本だけ片付けて豊栄・石川・小林の「ハート型ウィルス」。
隙だらけの豊栄と隙の無い石川。 どのユニットに突っ込まれても自分の色は変えず、ユニットの色も変えずにユニットに溶け込む小林。
濱野智史が私財を叩いて購入した怪しげな機械を使用して、ウソ発見企画。
緊張のあまり余計な汗をかいて機械にウソ判定され、「違うの!違うの!!」と取り乱す橋田が可愛らしい。
プロデューサー候補生として入った森崎、濱野、石川、牛島、栗城、羽月でその辺りの話をしたあと、「孤独なランナー」
私はSDN48には良い思い出が欠片も無いので興醒めしつつ見ていたが、客の受けは悪くなかった。
羽月・濱野・小林の「初恋サイダー」、小林・橋田の「Hello, Again 〜昔からある場所〜」で〆。
短いと言っても何時もと比較しての話で、内容としてはテンコ盛り。
お行儀の悪い振る舞いの高齢ピンチケ層、転調に付いて行けずに表拍で手拍子をし始める壊れたゼンマイ仕掛けのチンパンジーみたいなの。 気が滅入るような事が無いでもないが、概ね平和裏に。
家元談志亡き後集団指導体制と言うか親睦会というか、そう言う形に移行して真打昇進の仕組みも様変わり。 試験でもなく、年功序列でもなく、密室での会議でもないやり方として、真打トライアルを開催して客の投票に委ねることにしたのこと。
ちなみに私の考えはこちらに
「批評と審査 (私の規範について)」
平日開催で18時開場の18時半開演、開演後の入場者には投票資格無し。 見てもいないで投票する手合いを避けるのは判るとして、18時半開演に間に合う勤め人なんざ何処にどれ位居ると思っているのであろうか。 5人が演り終えて時計を見たら20時20分。 仮に21時完全撤収だったとしても、あと40分ある。
何が始まるのかと思ったら開票作業。 志らく師と談四楼師が出てきて繋いでる間に開票して上位二人を発表。
やりたい事は判らないでも無いし、チケット販売の仕組みなどで買収が行われないように頭を使っているのは判ったが、準備や後片付けが大変な催しをケツの決まった箱でやるこっちゃ無いと私は思う。
客に審査を投げてしまうと言うのが、そもそも判らない。 世渡りで審査する・されるのは仕方ないとして、素人に審査を投げっちまうってのは立川流としてどうなの?と言うこと。 出ている五人は他の協会ならとっくのとうに真打になっていてもおかしくないし、立川流に於いて真打にしても問題ないと思うのだけれど、その判断を客に投げる了見の問題。
談四楼師は客を信用しているのだと思うが、私はまったくとは言わないまでも信用していない。 一番後ろから見ていれば、誰の客がどれくらい来てるかまで分かり、誰の客か分かれば、どんな所で笑うか見ていれば質も分かる。
この日は何時もの日暮里より、些かものの分からない客であった。
「近日息子」らく里
「目黒のさんま」談奈
「合コン老人会」らく朝
<中入り>
「時そば」→「かっぽれ」錦魚
「五人廻し」志らら
定時で逃げ出したが、着いたのは七時前。 丁度一人目が終わった所で入れた。 前座さんが申し訳なさそうに投票は出来ない旨説明。 それはそれで私は構わない。
談奈さんの「目黒のさんま」はマクラで探ってから噺に入り、トチリもなく、客は重かったが悪くはない出来。
らく朝さんは自作の新作。 途中ダレ場はあったが、前の方の年寄りには実によく受けていた。
錦魚さんはマクラもそこそこにスッと噺に入り、軽い噺をテンポよく聴かせてからかっぽれ。 足元が悪く踊りにくそうではあったが、やった意味はあったと思う。
志ららさんの「五人廻し」は上手くはないのだけれど賑やかに楽しく。
志ららさんとらく朝さんは手銭で見ようとは思わない芸(好悪の点に於いて)なのだけれど、真打に相応しくないとは思わない。 客が付くのも受けるのも理解は出来た。
帰りがけ「そばが食いたくなった」「さんまが食べたくなった」と語る客も複数人見かけた。 わたしも一由そばまで歩いてゲソとマイタケ乗っけたのを手繰って帰宅。
会としての後味は良くなかったので口直し。
23日に外部イベントに呼ばれていて、そちらに力点を置きたいとの事で日曜は軽めのイベント。 カラオケと踊ってみたが挟まった以外は出し物らしい出し物はなく、訳知りなら楽しめるが今日が初会だとチト厳しいイベント。
濱野も忙しいらしく金曜の夜は所用で間に合わないとの事で、土曜の夜に予約スタート。 ヨーイ・ドンで申し込んでも30番台と出遅れたが、まぁなんとか座って見る事は出来た。 2時間からの長丁場なので、年寄りに立ち見は辛い。
訳知りの椅子取りゲームが熾烈さを増しているだけで集客が殖えている訳ではないなのが気がかりでもあり、のんびり見られる有り難さが無くも無いのと綯い交ぜになる複雑な気分。
演目としては
「踊ってみた」 (橋田・永瀬)
「パワースポット溺愛系オススメポイント講座」 (森崎)
「ハロプロ天動説講座」 (工藤)
「私立恵比寿中学『頑張ってる途中』みどころ講座」 (柚木)
「猫背矯正ポージング講座」 (先生:石川 生徒:豊栄・羽月)
「都道府県シルエットクイズ」 (濱野・澤村・栗城)
「エヴァンゲリオンと私」 (高城 聞き手:濱野)
「『逆転力』読書会補遺」 (栗城・北川・豊栄)
「厄介女子生徒の休日再現」 (御坂・福田・小室)
「メンバー似顔プッチョ絵」 (澤村)
「ディズニーランド/シー楽しみ方講座」 (栗城)
「カラオケ声色三変化」 (濱野・羽月)
「私服ダサイ系女子改造講座」 (コーディネイター:小林 クランケ:小室・空井・柚木)
「踊ってみた(当日振り入れ ver.)」 (橋田・永瀬)
モーニング娘。について語る工藤は先カンブリア紀だかデボン紀だか、ハロプロ天動説に基づく後付け史観用語を多用。 熱意は伝わるが共感は出来ない。
「これが凄いんです」と見せられたものも、寺田特有のねっとりした田舎臭さが鼻につくもので、野暮の極み。 まぁこのあたりは好みの問題。 蘇易簡曰く、適口者珍。
森崎はパワースポットの、主に豊田早姫への熱情を例によって情念過多でお送り。
無情に聞き流しバッサリ斬り捨てる濱野とめげない森崎の夫婦漫才。 豊田早姫は、少なくとも森崎の中ではキリストを超えているものと思われる。
柚木は工藤や森崎と較べると訥々としているのだけれど、その分重みがある。 北風と太陽。
石川のポージング講座は猫背の目立つ二人に分かりやすく即効性のある指導。 15で何も考えずに東京に出てきたと言う石川の東京での年月の重み。 ただの鼠ではない。
素直に言う事を聞く豊栄と、いちいち混ぜっ返す羽月。 いちいち混ぜっ返しつつも気にはなるらしく、なんだかんだで言われたことは試してみる羽月が楽しい。
小林によるPIP私服ダサイ御三家の改造は、とりあへず3人に自分の考えた洒落乙な格好で来てもらい、小林が持参した服に着替えさせて事前事後を見比べる趣向。
いつもよりは良い評価を貰う小室と柚木、いつもどおりの酷評に慨嘆するいつもどおりの空井。
小林のコーディネートは流石に上手く、三人三様それぞれの個性に合わせて上手く仕上げていたが、空井だけはくるんだオブラートを突き破る空井の個性、なんと言うか「ウーマンリブ臭」のようなものが勝ってしまい、「山武郡の村中で一番モガだと言われた女」みたいになってしまっていた。 恐いところは東京の銀座 泣くに泣かれぬモガ。
小林の見立てが悪い訳ではなく、空井もそれなりに似合ってはいたし、小室のプレッピールック、柚木の原宿系女子もそれぞれの個性を生かしつつ矯正できていた。
前述の通りメンバーの人となりを知っていれば楽しめる企画だったが、今日が初めての客には厳しかったのではなかろうか。
それでもダレ場もそれなりに有ったが、曲がりなりにも面白おかしく過ごせたのは濱野の司会の面白さに依る所が大きい。
今回はマイナビルーム9F-B、いつもより少し狭い部屋。
盛大に寝坊したが、なんとか1コマ目には間に合った。
今回はリーダーの生誕企画があったりもした所為か出席者も多く、ぎっしりとまでは行かないものの3人掛けの机に少なくとも一人は座っている状況。
隣と近いと何をやっているのか気になって気が散るので、混んで来ると私のように「勉強では無い何か」をしている者は肩身が狭くなるが、そうなったら勉強をしに来ている人に譲ろうと思っている。
高校三年生の私を思い起こすとなるべく勉強から身を遠ざけようとしていた訳で、不純と言えば不純な動機でも、勉強をしようと思い立った人は尊重したい。
今回は後述する別件の為、2コマ終了後に退出。
メンバーの出欠もイベントとしてどうなるかも分からず、「濱野の独演会になって終わるのではないか」「指原の本にかこつけて説教でもするのではないか」などの憶測が飛び交っていたが、蓋を開けてみれば課題図書を与えて感想を書かせたり言わせたりすることでメンバーの人となりを浮き彫りにしていく、面白いイベントとなった。
読書や考える習慣の有無がはっきり出て、それを身につけた方が良いかどうかも人夫々。
読書の習慣が無い方の筆頭が小室と福田。 しかし小室には考える習慣があり、福田には無い。 小室は読了していないながらも感想と自分の考えは話せたが、福田は読了こそしたものの感想も自分の考えも堂々巡りしたあげくはっきりとは話せない。
同じく、考えてはいるもののそれを上手く言葉に出来ないでいたのが永瀬。 永瀬が損をしているのはこの「やるべきことはきっちりこなしているが、それをそうと分かりやすく明示できない」ところ。 性格としては好ましいのだけれど、現在自分が受け持っている役回りとしては好ましく無い。 アンダー制度が導入されれば「何が出来るのか」についてはっきりさせなければならない。
本を読むということ、考えを纏めることについて慣れていたのは橋田・小林・瑞野。 きっちり読み込んでソツの無い感想。
森崎の保育士としての経験も交えた「叱ること」「叱られること」への考察が面白かった。
二足の草鞋を履いて初めて見えてくる世界。
空井は本の内容より当人が直面している「私服ダサい問題」と、それをキャラクターとして受け入れるか否かについて。
濱野がテレビ出演などの経験からキャラクターがはっきりしていること利点について説明。 私服がダサいと言うキャラクターを受け入れ・演じるのではなく、私服がダサいと言う指摘に抗う現在のキャラクターを受け入れ・否定しないと言うことだと思う。
気になったのは大学のレポートの形式に囚われすぎて本来力点を置いて語られるべき部分が薄くなってしまっていた事。 森崎もそうなのだけれど、簡潔に纏める事がこの先求められて来ると思う。
意外にと言うと失礼だが、豊栄の考察が深く、視点も面白かった。 小室もそうだったが、アイドルを見る側と演る側の両方の視点から考えている。
指原莉乃とファンの関係性に触れ「どう応援して良いか分からなくなっているのではないか。」「私は応援し甲斐のアイドルが良い」と遠慮がちに表明。 正鵠を得ているだけに反発も招くかもしれないが、良い切り口だった。
工藤はハロープロジェクトのファンだったこと、地方出身であることの類似性に惹かれつつ、現場より書斎で楽しむ嗜好の違いについてなど。 現場で見るにしても「黙って見ている方が楽しい」と語る工藤。 このあたりは大いに頷けた。
MCが苦手だという話から始める柚木。 恐らく完璧ではない自分を見せることへの嫌悪だと思うのだけれど、やりたいと思うことでも反射的に拒絶してしまい、「やっておけばよかった」と後悔することがよくあるらしい。
柚木の面白さであり欠点でもあるのが「分かりにくさ」であると思うのだけれど、出来ていないこと・苦手な事も曝け出せればとっつきやすさも増すのではないかと思う。 初期の大島優子がそうだったのだけれど、どこまでやって良いのか計りかねているように私には見える。
最初に書いた通り濱野智史独演会になる事を危惧していたのだけれど、アイドルと言う共通項を持つ指原の本を使って、メンバー一人ひとりの嗜好と思考を掘り下げていく良いイベントになった。
<9/21 追記>
PIPブログに空井、豊栄、御坂の感想文が掲載されたのでリンクを貼っておく。
PIP秋の読書会:指原莉乃さん『逆転力』を読もう! 空井美友・豊栄真紀・御坂ゆき乃の読書感想文
豊栄の「二重の視点」が面白い。
純粋にアイドルが好きでアイドルで在りたい豊栄には理解しつつも許容はし難い指原莉乃が、不純な大人の目には面白く映り重用される。 これは指原本人にとっても「引き裂かれた自己」に対するそれぞれの評価であり、この上ない幸福であると同時に絶望的な不幸でもある。
・10月末以降は会場の制約から全員での公演が難しくなること
・ニ十数人分の振り付けとフォーメーションの作成の大変さ
・休演者が出たときの振り付けとフォーメーション修整の難しさ
・衣装作成のコストと、作成に掛かる時間
・全員分の交通費は捻出し切れていない
通常公演ではなく、イレギュラーなものであるとのことで公演に通し番号は付かず。
例によって金曜の夜に予約開始となったのだけれど、濱野が予約開始のツイートをしたタイミングが悪く、乗り遅れて40番台。
客の分母が増えたのではなく、客が椅子取りゲームのルールに慣れて来た感じ。 年々殺伐の度合いを増したル・マン式スタートを思い出す。 当日並んで入った知己も椅子にはありつけていた。
通常公演ではなく、私服ファッションショー的なものである旨、濱野から説明。 パタゴニアTシャツの上にパーカーを羽織っている濱野の姿に驚く、目にもさやかに見える秋の訪れ。
メンバーからファッションに一家言ある連中が審査員として4人。 気ままに批評・批判する役で羽月、いい所を見つけたりフォローしたりする役で小林、メンバーの服装から妄想を膨らませて気持ち悪い事を言う役で森崎、思春期特有の残酷さでブッタ切る役で橋田。
以下短評。
永瀬 綾香 郊外の中学生の夏休みと言った趣。 洋品店で買って貰ったよそ行きのワンピース。
空井 美友 マリンスタジアムでよく見かける、行き返りの私服より球場で着る服に金を掛けるロッテファン女子。 ブラウスに畳み皺があるところにお洒落し慣れない初々しさがあった。
牛島 千尋 昼酒を飲む為にとりあへず外に出る服を引っ掛けた感じ。 一寸弄れば映える所を突き詰めないところに取っ付きやすさを感じる。
橋田 唯 休日の優等生。 可愛らしいが品があり、よそ行きだが華美ではない。
小林 希望 阿佐ヶ谷以西の中央線沿線に居そうな、落ち着いた洒落乙感。
森崎 恵 デニムのワンピースのウエストを白いベルトでキュッと〆て細く演出。
石川 野乃花 涼しい顔して落としに掛かっているようなさり気無い怖さ。 清楚なようでいてスカートは短く、動くとフワリと広がる。
豊栄 真紀 日大文理学部社会学科の仲川ゼミに居そうな。 頑張りが二割弱空回りする感じ。
工藤 千里 都会へ出てきて肩肘張っている、筋は悪く無いけれど微妙に垢抜けないお洒落好き女子の切なさ。
瑞野 由佳 秋らしい色のサスペンダーワンピース。 「いいうちの子」感。
澤村 まどか 想像上のアイドルが着ている、絵に描いた様な「アイドルの私服」。
御坂 ゆき乃 本日唯一の「誂えた服」。 フルオーダーではないらしいが、布地をたっぷり使ったゆるいギャザーで広がりを出すスカートの贅沢な構造などは誂えならでは。
濱野 舞衣香 思ったより地味な服。 こちらの想像が華美に過ぎただけであって、「勤務地:東十条」の夜のお店ではなく、「勤務地:上中里」の軽作業の人の休日と言う感じで、落差に持って行かれる。
北川 萌恵 頑張る方向が微妙に間違っているのをスタイルの良さで帳消しにしつつ、便所の火事で自棄糞になったような膨れっ面も微笑ましい。
柚木 萌花 服装のセンスに自身がある訳ではないが、あからさまに貶され論われれば臍の一つも曲げたくなる、そんな心象風景。 頑張ってお洒落をしつつ、頑張ったねと言われると否定する乙女心。
小室 志織 バンザイ突撃。 余計なアクセサリーの満艦飾。 自棄は起こしつつ、頑張るべくは頑張る、突き抜けたダメさ加減。
羽月 あずさ 自前のロリ服で気合は入っているが、素材が化繊である為か帯電して吸い付けた埃でくすんでしまっていたのが惜しかった。
山下 緑 広小路から京橋辺りの中央通り沿いを根城にしていた婆さんとか、六区に居たティアラつけてた婆さんとか、そう言った「アジールに暮らす人々」のような服装。
森崎は濱野に話を振られたらその場で当意即妙の妄想を開陳せねばならず、頭脳労働と言う点に於いては一番草臥れたのではないかと思われる。
簡潔に纏められなかったり冗長だったりしたところはあったが、全員分妄想し切ったのは良かった。
羽月はマイク無しで喋る癖は相変わらずだが、加点減点を自分の物差しで決めて批評出来てはいた。
小林は他のメンバーが減点すれば良いところを探し、加点すれば「もっとよくなるところ」を探す。 与えられた役割をソツなくきっちりと。
橋田は可愛いから何をどう言っても赦される特権を生かしてもっとバッサリ袈裟懸けにやってほしかったが、そうしないさまもまた良かった。
私服ファッションショーでありつつ、間々には歌も挟み込んでいたが、歌って踊るにはあまり適していない「動くと危うい服」も散見された。
石川あたりはそこまで考えてやっているフシもあるが、目のやり場に困る局面も屡々。
会議室使用の猶予期間もあと一と月余、其れまでの間にやっておかなければならない事は山積している訳で有るが、イベントを楽しみすぎてしまっていて「そろそろ追い出される立場」にあることを忘れているようなメンバーもちらほら。 プロデューサーとしての役回りを視野に入れている連中はもう少し危機感を持つべきなのであるが、拍子抜けする位暢気だったのには驚いた。
ざっくりと散文的に。
今回の副題は「久々のPIP定期公演は、高城桃花・御坂ゆき乃の合同生誕祭!夏休みの最後に会議室で沸くしか!」
贔屓の生誕公演と言う事で進物など仕込みつつ、いつもの「踊る会議室」へ。
こう言うときは銀座と言う立地が有り難い。
並び並ばせるのにも慣れてきて、恙無く整列→入場。
出囃子からメンバー入場。 会議室の時計はここ数ヶ月5分遅れのままだ、濱野の手元の時計で進行している様だ。
生誕公演と言う事で出番もやる事も盛りだくさんなのであろう。 御坂の挙動が如何にも怪しく、さながら操り三番叟。
それでも糸が絡まるような事も無く、動きも徐々にほぐれて大過なく。
とっ散らかることもあるが、おどおどした所は無くなって来た。
さらに怪しく、衛星中継でディレイが掛かっているかのようなズレで踊っているのが居て、よくよく見たら山下緑だった。
立ったまま踊るだけで四苦八苦していたのが、ついにここ迄来た。
石川が髪色を暗くしていた。 リーダーとしての決意の表れであろうか、前に出て仕切るより、俯瞰してフォローする場面が増えた。
小林が2006年式板野友美のような、自動空戦フラップ付きの髪型。 高い位置の二つ縛りが動くたびに撥ねて目を惹く。
北川に良い変化。 やるべき事はきっちりやった上で楽しめている。 自信が持てるようになった故の事であろう。
濱野智史の投資はインフラから衣装に移行。 誂える程の贅沢はしていないのでサイズが合っていないものも有るが、曲のイメージに沿ったものにはなっているし、センスは悪くない。
濱野本人は例によってティーシャツにバミューダ、無精髭に寝癖という出で立ちではありつつ、着た切り雀だったパタゴニアティーシャツではなく、沖縄で入手したと思われる別のティーシャツに変わっていた。
自分の客を認識し始めたのと、歌い踊る中で客席を見るゆとりが出てきたのとで、釣った魚への餌付けが始まった。
これに囚われ過ぎると客席を大掴みで見られなくなるので注意が必要なのだけれど、PIPには舞台監督としての視点を持つスタッフが居ないのが危うい。
柚木は評価が高い割に三味弾いてやがる感が鼻に付いて碌すっぽ見ないで来たのだけれど、周りのレベルが上がってきたり外部イベントで格上と当たったりしたのが刺激になったのか、目の色が変わってきた。
さらりと踊っているのだけれど、割と踊れているメンバーでも鎧袖一触にするシームレスな動きと切れ。
客席を見渡しても目配りの三点バースト。 流さず一寸ずつ止めて客を確実に仕留めて行く。
柚木は鮎は鮎でも琵琶湖の鮎で、外に出さないと大きくならない。 どんどん外部イベントやライブに出して格上にぶつけて欲しい。
帰省していた柚木と乗り込んだ橋田・福田と自腹切って連れて行った濱野とで沖縄の話しで繋いでから生誕企画へ。
御坂は「ラッパ練習中」、早い動きではあたふたするところもあるが、表情には出さない。
息継ぎにもあやうさがあるが、こちらも表情には出ない。得体の知れない大物感。 鳳雛。
高城は危なげなく「夜風のしわざ」。 きっちり歌い切って聴かせる。
運び込まれたケーキの蝋燭の火を吹き消させるのは定石通りだが、PIPはここからが違う。
メンバーが一と匙ずつ掬って食べさせて行く。
主役の二人でもう一曲歌ったあとは通常公演に戻り、空井・濱野・羽月で一曲ずつ。
難しい曲だったので不安そうに出てきたところは猫背のタヌキ然としていた羽月だったが、歌い始めると背筋もシャンとして貶す所の無い歌いっぷり。
オケの音量にマイク音量が負けてしまうバランスの悪さは気になったが、ハウリングの収束は大分早くなってきた。
ただ、モニタースピーカーが無い事によるトラブルは散見され、マイクが入っていない事に気付かなかったり、オケの音を取り損ねたり。
終演後は「追加発注したポロシャツが届いていない」との事で、2ショットチェキ会のみ開催。 最初期の時間と体験を換金する種のアトラクションは無くなったが、客の求めているものと提供できるものを勘案してこうなったのだと思われる。
前回までの反省を踏まえ、システムを変えて流れを良くしていた。
まだまだこんなものでは無いと思うが、柚木の凄みが垣間見られたのは収穫だった。
本人は手を抜いているとは思っていないのだと思う。 周辺状況が柚木の尻に火を付けつつある。
盆休みにはなったもののやる気も起きず、外に出ようにも自棄糞な雨が降ったりしてウンザリしていたが、夕方になってカラリ晴れたので散歩がてら錦糸町へ。
セッティングの様子を見たかったので早めに出向いたら、仕事帰りに押っ取り刀で駆けつけたメンバーの入りに出くわす。
若干草臥れた勤め人然としていたのが、衣装に着替えて出てきたらしっかり舞台の上の人の貌になっていた。
このグループはアイドルとしては異端といってよい変わった成り立ちで、リーダーが楽曲の全てを作っている。 ライブでの曲出しもリーダーの操るノートパソコンからで、そこに効果音やキーボードでの煽りが適宜加えられてライブならではのグルーヴになる。
そこでセッティングから見ていたのだけれど、作業中は完全に裏方の顔。 てきぱき仕事をして音を確認し、修正指示を出しながらその先の作業を進める。
軽くリハーサルをして、ほぼ定時に開演。 新メンバーは途中から出るらしく、既存メンバー3人でスタート。
メインボーカルの erica は兎に角上手い。 その上手さが押し付けがましくないのも良い。 目を三角にして歌っていないので周囲に目配りするゆとりがある。
これ見よがしな所がなく、醒めた部分も残しつつ羽目も外せる。
もう一人のボーカルである NAOMi は、兎に角細い。 手足が心配になるくらい細いが、顔色は悪くないので体調が悪いということではないと思われるが、それにしても細い。
リーダーは曲中もコンピューターで微調整し、効果音を叩き込み、キーボードで煽り、コーラスを入れ、踊り、スタッフに指示も出す八面六臂。
裏方の顔と舞台の上の人の貌が目まぐるしく入れ替わるのが面白い。
新メンバー Azumi はまだ一寸硬いが、このメンバーの中に居れば厭でもほぐれてくるだろう。
この八月一杯でエレクトリックリボンも含めた凡ての芸能活動から足を洗う NAOMi はインストアライブも残り少ないからか目を潤ませる場面もあったが、そこは堪えて笑顔で終演。
メンバーにトラックメイカーが居るというのは矢張り強みで、オケをただ流すのではなく、その時々の状況に合わせてオカズを入れたり煽ったり、生ならではの演出も出来る。
大人が音楽活動をする方便としてやっているアイドルなのであるが、凡百の専業アイドルより余程アイドルとしての自分を全うしている。
あまり早く行くのも野暮だがリハーサルも見ておきたい。 そう言う下衆な思惑が裏目に出て、開演30分前に着いたらちょうどリハーサルが終わった所で且つ寿司詰め。 それでもまぁ見えないことも無い位置を確保。
早々に店舗スタッフからお膝送りのお願い。 開演を待つ間にも人は増え続け、振り返ると奥まで人、人、人。
RYUTistのマネージャーA氏(a.k.a 天の声)の縄文人化が著しく進行していたり、振り付けの未来先生が人妻の色気を放っていたりするのを観察しているうちに時間となり、時報のの出囃子に乗ってメンバーが登場。
「Wind Chime!〜街のトンネル〜」からスタート。 客が沸くような曲ではないのだけれど、一曲演っただけで室温が上がる。
入れる必然性の無いところで脊髄反射的にmixを入れようとしたのが尻すぼみになったのが象徴的だったが、客の側が演者にちょっかいを出すような振る舞いは自然に淘汰され、目に見えて沸騰はしないがふつふつと煮えるような盛り上がりがそこにはある。
「Beat Goes On!~約束の場所~」から「ラリリレル」と畳み掛けて、鳴り止まぬ拍手の中終演。
「ラリリレル」を聴くと時空が歪み、金曜の夜なのに日曜の夕方のような切なさが胸に去来する。
しみじみと帰宅。
嚢中も寂しくなってきたので家に篭ってボーっとしようかとも思っていたのだけれど、昨日の興奮冷めやらず、そぞろ神のものに憑きてふらふらと渋谷へ。
12時過ぎに当日券を購うと整理番号は既に280を超えていた。 私の後からも陸続と入っていたので、有料入場者は優に300を超えていたのではないかと思われる。
流石に殆ど見えないので、「見える」より「快適」を採って空調の下の壁際へ。
一番上背のある乃々子さんでも首から上くらいしか見えないけれど、モニターである程度の状況は把握できるし、重低音に身体の芯から揺さぶられつつ音の波にたゆたえるのは現場ならでは。
その日その時その場に居合わせて初めて共有できる何か、共有できる喜び。
一曲目の「Zero and Perfect Moon ~変わらない想い~」は新潟でのライブでしかやっていなかったのではないかと友人が話していたが、曲が始まるたびに客が唸ったりどよめいたりする。 「哲学するのだ」から始まって終わるメドレー、「若者のすべて」でしんみりさせておいて「チュララ」で柔らかく浮揚させる繋ぎ etc... 練りに練られた選曲。
「チュララ」は聴き込むと味わいの増す佳曲なのだけれどリズムが複雑で、他所から定型の盛り上げツールを持ち込んで嵌め込もうとしても噛み合わない。 そう言うものを無理に使う必要はそもそも無くて、曲の中に散りばめられたヒントを読み解けば振る舞いの最適解も自然に得られる。
その点では客の側も試されていると言える。
アンコールは「Wind Chime!〜街のトンネル〜」「Beat Goes On!~約束の場所~」から「ラリリレル」。
「Beat Goes On!~約束の場所~」を歌い終えての拍手は将に万雷。
四つ打ちの魔法を振り掛けられ、五割増し幸せな気分で帰宅。
受験アイドルStudy☆stars projectの自習イベントの為、竹橋へ。
案内には「1b出口直結」と書いてあったが文字通りの直結で、改札を出た所にビルの入り口があり、そこから会場であるマイナビスペースへ。
まずイベントの説明があり、1コマ1時間の自習と休憩が繰り返される。 自習は計4コマで、最後に特典会。
その時々で借りられる部屋は異なるそうだが、今日は一番奥の広い部屋。 南面と北面は天井から床までガラス窓。 北側は殺風景な高速道路だが、南側はお濠を隔てて平川門。 皇居の緑が目に優しい。
メンバーは教壇の上に設えられた机に向かい、こちらに背を向けて自習。 椅子の背もたれに名前が大書してある。 我々はその背中を見るでもなくも無いでもなく自習。
「自習」と言っても受験勉強をしなければならないわけではなく、或る者は読書し、或る者はメンバーと同じ小論文の課題に挑み、私はと言えば溜まりに溜まったグラビアレビューなど。
ボールペンをノックする音、ページを繰る音、筆記音がかすかに聞えるくらいの静寂。 適度に効いた空調。 容積が大きいので二酸化炭素濃度もさほど上がらず、書き物が捗る捗る。
物販で幾らか使っても自習室を借りるより喫茶店に居座るより、自室で煩悩を刺激するアレコレに囲まれるより、遥かに集中できる環境。
長めに取られた昼休憩の後、ミニライブとミニ特典会。
イベントの性格上、騒いで盛り上がりたい向きにはお奨めできないが、読むのも書くのも考えるのも驚くほど捗るので、締め切り前の物書き連中などには特にオススメ。
今回の副題は「PIPのエースもかろんが沖縄帰省中で不在だけど頑張るぞ!いよいよPIPポロシャツ販売も開始!新曲というか初オリ曲に関する発表もあるかも!?」。
沖縄に帰省中の柚木が不在と言う事もあってか、大胆に組み替えられたセットリスト。
いつもは端に寄せてある教卓がプロジェクターの下に置いてあるのを訝しく思っていたが、暗転してイントロが掛かるとコスプレめいた和装の空井が飛び出してきて「檄!帝国華撃団」からスタート。 サイズがまったく合っておらず、胸元がはだけて危うい場面もありつつ、零れるものも無かったようで大過なく。 喩え茶番でも遣り切る空井。
20分教卓の中に着物で隠れていたので汗だくだと息せき切って語る空井。 さながら「青菜」の植木屋のかみさん。
うーん、弁慶にしておけ。
そのまま空井、北川、牛島、永瀬で「ひまわり」。
北川はこの曲も含めて様々な場面で登場。 上手くは無いが兎に角遣り切る姿勢は買える。 これは空井もそうだし、御坂や永瀬などもそう。 濱野の薫陶が効いているのではないかと思う。
その濱野、なんとパタゴニアのティーシャツを新調していた。
石川は今日も大胆な丈のミニスカート。 黒のニーハイに黒の厚底スニーカーを合わせて脚を細く長く見せようと言う戦術。
戦術としては悪くないのだけれど、石川は「目に見える部分」を整える方に神経を使いすぎているようにも見える。 戦術があって戦略に欠けると言うか。
プロデューサーとしての濱野は客から見えにくい部分での振る舞いを改善させようとしているように感じられるが、そこで客から見える部分を整えようとすると、どうしても衝突はする。 その折り合いを何処でどう付けて行くか。
各チームごとに歌ってから自己紹介とお題トークと言う流れだったのだけれど、これの段取りが周知されておらず、チームごとに違ってしまっていたり、間延びするし時間も掛かる平安時代型の名乗りを始めてしまって濱野に止められたり。
濱野はマイクを持って介入するのを極力控えるようにしているらしく、ミキサー卓の前でうずうずしているのも視界には入っていたが、それでも最低限の介入に留めていた。 その親心をメンバーがどこまで汲み取れているか。
頭にひまわりの髪飾りをつけた小室は「頭に花が咲いてしまった」かのようにすら見えたのだけれど、歌って踊っての部分では愚直。 手抜きが無い。
御坂が珍しくユニットとソロで登場。 うろ覚えの部分もあり、決して上手くは無いのだけれど動きの端々に出る日本舞踊の素養が面白い。 スーっと動いてピタリと止まり、軸がぶれない。
入り捌けは大分スムーズになってきた。 羽月・濱野(舞)は前の出番の連中が手持ちマイクで歌っている間にスタンドの高さと角度を調整するなど、客の目に触れにくい部分でもきちんと仕事をしている。 これが波及していくと良いのだけれど、優先順位として後回しにされがち。
「Hello,Again~昔からある場所~」は橋田が担当。 驚いたのは客の手拍子が裏で揃ったこと。 まぁヨレヨレのppphを入れるようなのも居たのだけれど、そう言う手合いは間の悪いmixを入れたがり、ハンドクラップのストロークも長いのでリズムも取れない。 カスタネットの練習からやり直した方が良い。
閑話休題、橋田の歌の話。 先週はウィスパーすぎる掠れ声でどうなるかと思ったが、今週は歌えるまでに回復。 小林と同じ系統で、切々(訥々)と歌う。
アンコールの「初恋サイダー」は羽月・濱野(舞)と小林。 音のとりにくいオケらしく、歌は上手いメンバーが歌っても、何故か外れる。 外れると言うか、ずれる。
オケの音量としては十分出ているので、打楽器の音(リズム)が取りにくいのであろう。
今回から物販にポロシャツが導入された。 生地は薄く、裏をめくると洗濯の際の禁忌も幾つか書かれているのだけれど、下手なティーシャツよりは選択耐性もあるだろうし、他所のファンとの差別化も図れる妙策。
シンプルな白のティーシャツにお馴染みのロゴが入っているだけなので、懐に余裕のある向きにはラルフ・ローレンかどこかの生地の厚い(高い)のを買って刺繍でロゴを入れる富豪プレイをオススメする。
開場前に現地へ。 並ぶともなく壁際に屯している感じだったが、人が増えるにつれて圧縮され、なんとなく二列に整列。 その間に先頭に居た若い衆の所へ後から来た仲間らしいのがなし崩し的に合流。 そろそろ客の自治ではどうにもならない状況になりつつあるのではないか。
それでも20人凸凹なので、揉めずに入場。
衣装をお願いしている人が見に来ているとかで、メンバーの人となりを見てもらうために何曲か。
急遽出演できることになってクリーニングに出しっぱなしのままの北川以外は全員浴衣。
さすがに踊りにくそうではあり、また和装に慣れていないとすぐに着崩れてしまうので、あちこちで軽い事故が起きていた。その辺りは着付けの心得のあるメンバーで修整。
ヘアアレンジに凝る者も多い中、敢えて垂れ髪にした御坂が異彩を放っていた。
MC大会と言うことで、いつものグループと重複しないよう濱野が選んで3~4人ずつのフリートーク。
空井の生ものとしての強さが際立つ。 静止画で見ると girl next door なのだけれど、目の当たりにするとそんじょそこらには居ない過剰さ。 常に何かしら考えているようなギラギラした瞳が細い目の奥にある。
古狸然とした羽月ののらりくらりとした喋りが楽しい。
喉を痛めた橋田は昨日以上のウィスパーヴォイス。 これが実にエモーショナルだった。
着付けの巧拙はあからさまに出ていて、浴衣と帯さえ持っていれば着られると思っている向きは裾もつんつるてんで、つんつるてんの浴衣を着ている連中は着崩れるのも早かった。 アインシュテュルツェンデ・ツンツルテン。
ワンポイントのお洒落で帯留めを付けていた御坂、橋田、工藤は理に適った着付け。 このあたりは生育環境に左右されてしまう部分なので、送り手の側が平均化する必要がある。
浴衣、帯以外の紐であったり大き目のバスタオルであったり、必要な小物を準備させて玄人が纏めて着付けるのが効率的。 プロの着付けの人でなくても、着物を着せなれた人なら良い。
石川も綺麗に着こなしてはいたが、帯の下に詰めるアンコが少ないので身体の線が出すぎて色気過多になっていたのは惜しかった。 もう少し清楚に見せた方が良い。
着物は職業によっても年齢によっても相応しい着こなし方が異なるので、そのあたりも含めて分かっている人が居ると間違いが少ない。 その点に於いても橋田と御坂は最適解に近かった。 工藤は着こなしは良かったが、浴衣を着るにしてはヘアアレンジが華美に過ぎた。
重大発表は10月の末でこの会議室が使えなくなるというお話。 ディアスポラの始まりである。
原因は客が何かをしでかしたと言うことではなく、騒音問題でもなく、メンバーの楽屋・練習場所としての会議室および化粧室の使い方があまりにも汚いと言う予想外の理由。 化粧室については、同フロアの女子社員から強硬なクレームがあったとの事。 女子の聖域を聖域として尊重して自主性に任せたのが裏目に出た形となった。
覆水は盆に返らざるものであるにしても、立つ鳥としての後始末はきちんとしていただきたい。
ここのところ、濱野の石川への当たりがきついような気がしていたのだけれど、リーダーとして求めていたものと、石川がリーダーとしてやろうとし、やっていたことの乖離があったのかもしれない。 MC大会でも、石川の盛り上げ方と濱野の考える其れの間にズレがあるように感じられた。
濱野と石川の遣り取りを見ていると、石川の側に「かくあるべし」と言う固定観念が強いように感じる。 濱野は考えに考えて導き出された答えを欲しており、定型文の回答には価値を見出さない。
濱野の職場の会議室はロハで借りられて交通至便で冷暖房完備。 よほど羽目を外さない限り苦情も来ないと言う、立ち上げ期には実に有り難いイベント会場だったのだけれど、一年持たずに石もて追われることになった。
現状で濱野が思いつくライブハウスで22人からのメンバーが出られるような所は無いとなると、出演者は絞らざるを得ず、賃貸料も掛かるので物販の還元率も下げざるを得ないし、入場料も取らねば成り立たなくなる。
現状で集客できているのは無料であるのが利いている訳で、外へ撃って出るにして、もう少し地力を付けたかったと濱野。
八月一杯で追い出されても文句の言えないところを頼み込んで得た猶予期間。 暫くは現状の公演が続けられるにしても、その間に次の拠点を見つけなければならないし、金の取れるコンテンツに仕立てねばならない訳であり、諸事多端の濱野にとっては頭の痛い出来事であろう。
しかし「劇場があって劇が演じられるのではない。劇が演じられると、劇場になるのである。」との寺山の言にもある通りで、神は祈らるるところに坐し、噺家も扇子と手拭いと座布団があればそこが高座、アイドルもまた然り。
交通至便で冷暖房完備などと言う都合の良い施設が見付かるとは限らないが、あばら家でも廃工場でも、志を持ってやっている限り、そこは劇場たり得ると私は思う。
NHKの「恋する地元キャンペーン」に連動したイベント。 地方発のアイドルが良い環境で纏めて見られる機会なので足を運んでみた。
NHKオンデマンドのイメージソング的なものを歌うOS☆Uが口開け。 司会の芸人さんとOS☆Uの清里千聖が進行役。 どう言うシステムでそうなったのかよく分からないが、シード権のあるOS☆Uとasfiが1曲ずつ披露し、残りの6組が二手に分かれてライブ対決と言う流れ。
Aグループは愛の葉ガールズ(えのはがーるず 愛媛)、アイリス(元テクプリの3人 宮城)、フルーティー(北海道)
愛の葉ガールズは歌って踊って耕すアイドルと言う事で、小麦色に焼けた肌が新鮮。 サウンド・オブ・ミュージックに出てくるカーテン生地で作った服のような衣装が面白い。 粗さは有るが明るく元気なのも良い。
アイリスは歌もダンスも頭抜けていて場違いな位であるが、売れそうな切っ掛けを何度も掴み損ねてきただけに、こういう機会でも何とか利用していただきたい。
フルーティーは土地柄なのか煽りがしつこく、口上まで強いるような下衆なステージ。 私の好みではなかった。
Bグループはミルクセーキ(長崎)、JK21(大阪)、アイくるガールズ(福島)
ミルクセーキについては後述。 JK21は曲もPVもナニワな感じが強く、興が乗らない。フォーメーションも有機的な変形や移動ではなく、陣形の組み換え中心で物足りない。
アイくるガールズは曲にMIXが組み入れられているなど、客に媚びたところが鼻につく。 こちらも立ち位置の切り替えのみで、舞台の広さを演出に生かせていない。
客前で見せる芸として一頭地を抜くアイリスの勝ち抜けは分かるが、曲もパフォーマンスもぱっとしなかったアイくるガールズの勝ち抜けには疑問が残る。
準決勝は「バラエティ適正も必要」と言うこじつけで、グルメレポート対決。 別府温泉の「地獄蒸しプリン」を食べてレポートする体だったのだけれど、こちらは観客ではなく「別室にいるNHKの偉い人が決める」とのこと。
厭な予感はしていたが、ここでもアイくるガールズが謎の勝ち抜け。
決勝はasfiと「(ライブの)煽り対決」。
キラーチューンの「HAPPY DRIVER」を持ってきたasfiは押し付けがましくなく客を乗せていく術に長けていて、この日一番の盛り上がり。
これで勝負あったかと思いきや、案に相違して優勝はアイくるガールズ。
アイくるガールズは特に酷かったと言う事はなかったが、特筆すべき美点もなく、福島県でもいわき市が地元となると、官邸→籾井ラインの圧力による「政治的に正しい結末」として作られたヒロインではないのか・・・と、下衆な勘繰りの一つもしたくなる不可解な結末。
イベントとしては金の掛かった茶番であり、判定もインチキに過ぎたが、設備の整った広い舞台の上でアイリス、ミルクセーキ、asfiを見られたのは収穫だった。
歌と振り付けの完成度ではアイリスが、広い舞台を広く使う演出の巧みさではミルクセーキが、厭味なく客席を盛り上げる技術ではasfiがそれぞれ飛び抜けており、審査結果がどうでもそれぞれ収穫はあったように思う。
原爆忌を東京で向かえたミルクセーキは、曲に入る前に
「長崎では、今日、8月9日は69回目の原爆の日を迎えています。私の、そしてあなたの、当たり前の日常がこれからもずっと続きますように。」
振り入れをする時間が取りたいとのことで、定期公演の変わりに軽いイベントとしてカラオケ大会。 いつもと変わらないのではないかと思ったが、このカラオケ大会の為の練習はしないと言うことらしい。
会議室は会議室としての配置のまま開催する為、余り人が来ても(また来なくても)困ると言う事で告知は薄めに。
それでも開場時には20人から集まっていた。
先週買い足したと言っていた照明が早速稼動。 カラオケボックスの個室のような感じでは有るが、大分雰囲気は出てきた。 機材への投資金額は、ぱっと見ただけでも洒落の利かない額になりつつあるが、それを自慢するでもなく自嘲するでもなく。 野暮に堕しないのは良い。
濱野の前説のあと、メンバーを招き入れるが肝心の歌う順番を決めていない。 結局、立っていた順と言う事になり、出入り口に近いところに居た御坂ゆき乃から。
カラオケとは言え、一人々々を見る時間は長く、それなりに人となりも見えてくる。
御坂ゆき乃は度重なる機材トラブルなどありつつも、とりあへずは歌いおおせていた。
機材トラブルで出来てしまった「間」を埋める事までは出来ないが、動揺を表に出さないのは良い。
小室志織の撰んだ「フィンランド・ミラクル」に向田茉夏を思い出し、うろたえ取り乱す濱野智史(34)。
機材トラブルからの「繋げ」指示にUFOを見た話を始める高城。
ボソッと呟いた「出るかなぁ・・・」が下の音域の事だった牛島。
「濱野さん、嫌いでしたよね?」と渡り廊下走り隊から選曲する羽月。
上手いと褒めるほど上手くはないが、大きな声で自信たっぷりに歌うことで大物感を出す空井。
カラオケ以上になっていたのは石川、羽月、濱野(舞)、長瀬、柚木、牛島、小林、福田あたり。
福田のセットリスト構成力を褒める濱野。
先日の受験アイドルStudy☆Starsの自習イベントで濱野は「科目が違うだけで、国語も英語も数学も、問われるのは"論理的思考"」と語っていたが、「やりたい事」「出来る事」「求められている事」を勘案してその時その場所でやるべき曲を選ぶ能力も、やはり論理的思考に係ってくるのではなかろうか。
「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を撰んだ福田本人はそこまで深くは考えていなかったようだが、濱野が何故其れを良いと思ったのかについて、他のメンバーも含めて訊いておくと良いと思う。
この流れの中でトリを取る事になった石川の選曲は、ホワイトベリーの「夏祭り」。
「この曲で本当に良いのか?」と濱野。
これもセットリスト構成能力の話だけでなく、濱野と石川の「リーダーとしての責任」の捉え方の違いから出た遣り取りであったように思う。
石川の自分を殺してまで全体に尽くそうとするリーダーとしての在り方は、PIPの空気を自由にしない方向に働く危うさは有るにしても、自律的なリーダーと言うのも得がたいものであり、既にやっているとは思うが、考えていることを擦り合わせて行く必要はあるように感じられた。
今日も酷かったのが客のリズム感の無さ。 クラップケチャの悪影響だと思われるが、殆どの曲で手拍子が表拍で始まり、転調が入るとひっくり返ったり、また元に戻ったり。
表で打つ手拍子は、時としてオケの打楽器と喧嘩をしてリズムを取りにくくする弊害もあるのだけれど、それにも気付けない。
浴衣の(※一部甚兵衛)線香花火をやりつつツーショットチェキと言うアトラクションを導入し、「他に無いでしょう」と豪語する濱野。
アイドルに於いてありえないようなアレコレは、前世紀の段階で制服向上委員会がやってしまっていることが多く、下手に自慢すると車輪の再発見になりかねないが、顧客満足度とValue for Moneyを追求する姿勢は買える。
コラム的備忘録
リーダーとしての責任と自己犠牲
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