秋葉原の真ん中にありつつも古びたビルの4階にあるイベントスペースにて、PIP:Platonics Idol Platformの夏休み特別企画ソロイベント。
絶対に聞いていただきたい大切な発表があります。平日ですがみなさんに来ていただきたいです。よろしくお願いします。
との事前告知もあったので、万難を排してみた。
火曜夜のPIP目当ての客が「つばなれ」しなかったのでどうなるかと思ったが、そこそこの入り。
40から入っていたし、仕事帰りに物販だけ寄る向きも居たようだ。
開演前、楽屋から私服で出てくる豊栄真紀。
客「あれ?居たんだ。」豊「今日はPAです」
そのPAが大変なことになっており、リハーサルまで出ていた音が本番になって出ない。
いろいろ調整をしていたがどうにもならず、音が出ない前提で開演。
そうすると不思議な事にマイクが生き返ったりもするのだけれど、最後まで生きてるのと死んでるのが混在していた。
先ずは軽くライブから。
重馬場に強いというか、小回りが利くと言うか、会議室で設備の悪いのは慣れている所為か状況と道具立てがどうでも狼狽えないのは良い。
工藤と石川が何と言うか「シュッ」としていた。
工藤は少なくとも歌って踊っての部分は楽しんで出来ており、表情も豊かで且つ明るい。
石川は膝の皿の下にあった線が消えて、全体的に絞れた印象。
窶れた感じは氏はないので、考えてやれているのだと思う。
森崎の声の掠れが深刻。
仕事や立場もあろうが、全く声帯を使わないような思い切った静養は必要であろう。
無意識に声帯を使わないために音楽も聴かないくらいの割りきりが必要。
メンバーにも内容を知らぜていなかったと言う重大発表は、12月目処でオリジナル曲による新公演を行うというもの。
夏休みのイベントの収益を制作費に充てる
全10曲+α、90分程度
AKB48で例えると「パーティー公演」に相当するもの
作詞は濱野智史とメンバー
300人の動員が目標
8月一杯はイベントを打ち、9月から制作を開始
ファンミーティングやトークイベントなども行い、客の意見も聞いていく
新公演スターティングメンバーと言う位置付けでメンバーオーディションを行う
ホームページなどは近日中に
押上ワロップ放送局の久保こーじの番組にPIP:Platonics Idol Platformからゲスト三人(石川、空井、濱野)。
バンドをバックに歌うと聞いて足を運んでみた。
久保こーじとその周辺のお客さんが多く、PIPの客はちょぼちょぼ。
「PIP:Platonics Idol Platformとは何ぞや」と言うところから、現在進行中のレコーディングの話など。
濱野舞衣香は例によってまだ発表してはいけない諸々の断片を口走りそうになったりして、話すのは主に石川と空井。
普段出演しているワロップの番組とは異なり、その場の思いつきと「ノリ」で進行して行く為、その時々々で振る舞いの最適解を考えなければならず、また番組本編終了後にやり慣れない生演奏にあわせて歌うライブが控えていることもあってか硬さは見られたが、先ずは及第点。
PIPの成り立ちちや目指すところなどを、漸く自分たちなりの言葉で語れるようになってきた。
番組終了直前に段取りが変わり、番組内では歌わない筈が急遽歌うことに。
喋るほうは危なっかしい濱野も歌になるとしっかりしたもので、歌が切っ掛けで伴奏が始まる難しい段取りながらそつなくこなしていた。
石川は頬のあたりがほっそりした印象、目を落とすと膝の辺りも引き締まっており本気で絞っているのが目に見える形で出ていた。
歌は守りつつ攻めるような、音程の取りにくい所は慎重に、取りやすいところは張る感じ。
空井はまた一と皮剥けていて、頑張り過ぎずに抜くべきところは抜き、抑えるべきところは抑える歌唱。
歌声に情緒が出てきた。
色々なものが飛び出していってしまったPIPではあるが、希望の種は残っていたし、芽吹きつつもある。
プロ野球負けられない宣言
PIPEACEで司会を務める石橋哲也と空井による前説代わりの野球談義。
リハーサルが長引いたため、メンバーを舞台に呼び込んで準備を整えてから駆け足で現状の順位とチーム状況についてひとしきり。
兎に角ホークスが強すぎるのであるが、それにしてもロッテも西武もパッとしないと言うか、不安材料が多く、オールスターでも良いところは出しつつピッチャーがメロメロで双方ぼやきに終始。
PIPEACE
前半はネット配信のバラエティを1時間。
小室がお休み、山下緑と森崎恵プロデュースの派生ユニットから ゆたんぽ% が参加。 (北川萌絵は「リバプールの風」とかそう言ったものになってしまったのだろうか)
お題は「夢のデートコース」
高校生以下のメンバーは具体性の無い甘酸っぱいことを書いてくるのだけれど、大人になるにつれ身も蓋もなくなってきて、梅雨が明けていきなり暑くなった所為か、家でカウチポテトを決め込むか外に出ても水族館と言う感じで聊か話を拡げにくい。
そこは上手く突っ込みどころを見つけて回していた。
森崎は企画意図すら超越した妄想の暴走。
森崎の振る舞いに関しては多少もてあましている風ではありつつも、石橋が上げたり下げたりすることで間が持つ。
途中からおずおずと小室が合流。 ナックルボールのように行き先が読めないところはあるが、話を振れば(振らなくても)兎に角なにかか起きる 機械仕掛けの神。
小室にしろ森崎にしろ、計算できる面子が居ると弄り難い連中にも話を振りやすくなる。
グループの中核を担ってきた連中がごっそり3人抜けることが分かっている状況下であったが、とりあへずはバラエティ番組として成立させていたのは褒めて良いと思う。
定期公演
後半はライブを90分。
今日で辞める三人が影アナ。 「盛り上がってますか?」
それは流石に無理であろう。
自らの未来を切り拓くために辞めると言うことは了解しつつも、それはそれとして「おいてけ堀」を食らっても居る訳で、賑やかでありつつしめやかな、芸人のお弔いのような雰囲気で開演。
序盤はオリジナル曲から。
櫛の歯が欠けて全員出ても舞台に収まる規模になっており、歌はともかく踊るほうはあやふやな山下と派生ユニットのメンバーであるゆたんぽ%以外全員で。
軽く自己紹介など挟みつつユニットコーナーへ。
森崎恵プロデュースの派生ユニット LasRabbi は「ハロー、ミスターチョコレート」。
ボーカロイド曲の所謂「踊ってみた」であり、どうなるかと思ったがきっちり見世物にはなっていた。
「アイドル」を観に来た客にどこまで訴求し得るかは正直なところ分からないが、森崎なりの目算はあるのだろう。
初期に3チームに分けて居た頃に演っていた「禁断のカルマ」「アーモンドクロワッサン計画」「Baby! Baby! Baby!」
一と癖ある面子の揃っていた「禁断のカルマ」も残っているのは4人、一人辞めて一人休業なりで恐らくは見納め。
さいごと言うこともってか、柚木はリミッターを切った凄味のある動き。 今日で遣り切ると言う強固な意志を感じる。
澤村と瑞野の「高嶺の林檎」も見納め。
初演から徐々に質を高めてきた演目の集大成。 瑞野が自分を出すことでバランスが整い、これまでで一番良かったように思う。
「てもでもの涙」
工藤がスタンドマイクを持って出てきてイントロが流れたと思ったら裏でドンガラガッシャン的な物音。 なにやらひっくり返したようだったが、柚木が反対側から出てきて歌い出しにはなんとか間に合わせていたが、このあたりも鬼気迫るものがあった。
「君のc/w」
澤村、小室、空井。 ほっと一と息。
「ウィンブルドンへ連れて行って」
福田、橋田、柚木。 可愛らしく演るべき曲ではそのように振舞う柚木。
のっけから目を潤ませ、声を震わせる福田。 柚木ですら瞬きが妙に増える中、つられて感情を乱さないのが橋田。
小室と空井が入って「スカート、ひらり」
全員出てきて上手下手で賑やかし乍ら濱野、柚木、空井で「初恋サイダー」。
なんでこんな陳腐な曲をと思ったものだが、濱野曰く「定番曲ですが、業界最高を目指します。」
こう言うよく分からない拘りがPIPをPIPたらしめて来たと思う。 良くも悪くも。
春先以来こうした「妙なこだわり」が薄らいでいるように思う。
曲が終わって「やり切れましたか?」と石川、「まだです」と柚木。
客に謎を掛けて置いて捌けて行く、この後演る曲は決まっているのだけれど、予定調和に堕さないこの仕込みは良かった。
アンコール明けは辞める三人が「ごめんずっと」(澤村)「頑張ってる途中」(柚木)「コネクト 」(橋田)
澤村の伸びのある高音、裏まで使える技倆に今更ながら驚く。 つくづく惜しい。
橋田は息が上がらなくなることも表情が死ぬこともなくなり、常に舞台の上の人としての自分を保てるようになってきたところなので、やはり惜しい。
歌い終えたところで「やり切れましたか?」と石川、「はい」と柚木。
花束贈呈などの後、今後の展開など告知。
CDのリリースに関してはワロップ放送局が立ち上げるレーベルから第一弾として・・・までは良かったが、同時リリースが桃井はるこというオマケが付いてきた。
友人と顔を見合わせて「また井上か・・・」と歎息。
頭がグラグラ、グラディウスであった。
これまでグループの中核を担ってきた柚木と橋田が辞めてしまった。 解り難く喩えると榎本喜八と落合博満が同時にいなくなってしまったロッテと言う感じ。
PIP:Platonics Idol Platformは飛車角落ちで夏を迎える。
小室 志織(PIP:Platonics Idol Platform)
ペンタックスK10D + ヘリオス44M-4 58mm/f2.0 ほぼ開放
iso=200 1/200s 1/3アンダー補正
湿っぽくなりがちな日は、小室の明るさに救われる。
「アイドル好きアイドル」『神セットリストを作ろう』
第5火曜まである月の、余一会のような企画。 「アイドル好きなアイドル」としてnotallから片瀬成美と佐藤遥、PIPから石川、工藤、濱野、森崎、柚木、ゆたんぽ%。 司会は石橋哲也(カオポイント)
1グループ1曲、1人につき1出番で前12曲のライブの構成を考えるというもの。
裏ルールとして「予算12億」一億円あれば大抵のグループは呼べるだろうということらしい。
実際何が見たいかと言うだけでなく、話をどう膨らませるか、司会者にどう拾ってもらうかまで考えられているかどうかに差が出ていた。
ボケにボケてボヤいて石橋の突っ込み待ちの森崎と、多段階のオチまで入れてくる佐藤遥が出色。 どっち付かずになると司会者も扱いに困る。
最後の最後で理由は分かるのだけれど、石橋哲也の司会ぶりにいつもの冴えは無く、ほどほどの盛り上がりで終了。
企画としては面白かったし、話を広げるためのルールも良く練られていたとは思う。
やるタイミングが悪すぎた。
「notall×PIP対決特番!~tokyo torico2の顔はどっちだ~」
7月から2年目に入るtokyo toricoの顔を決めると言う体での対決企画。
自慢対決
腕相撲対決
胸キュン対決
大喜利対決
パフォーマンス対決
司会の石橋が上手く上げたり下げたりして引き分けの決着、tokyo toricoの顔はと言うと「モコ族」と言うオチ。 全員でズッコケて番組としては大団円。
終演後にnotallの物販は別室で行うとの事でPIPの客だけが残り、そこで橋田と柚木が辞める件、永瀬が休業する件が発表。
そりゃどうやったって葬式ムードは表に出る訳で、notallの皆様(とお客さん)には全く以って申し訳ない仕儀になってしまった。
私は番組として楽しめず、物販に行って話す何も無い状態だったのでそのまま帰ろうとしたところで石橋に促された永瀬が休業を、橋田が辞める旨発表。 居た堪れなくなって出てしまったのだけれど、そこから更に柚木が辞める件と濱野智史からの説明があったらしい。
自分たちの客に自分たちの口から伝えたいという気持ちは分かるが、ネット配信とは言え「番組」である訳で、それを破壊するような形で利用するのは芸能を生業とする人間としては避けて然るべきであり、驕りと捉えられても仕方が無い。
共演者はやりにくく、司会も盛り上げ辛く、放送局側としては番組が盛り上がらない。
切羽詰った状態であったにしても、視野狭窄に陥って掛けてはならない相手に迷惑を蒙らせた事は事実であり、PIPのイベントやライブの中では最悪の後味であった。
さてはて、澤村に続いて橋田と柚木。 飛車角どころか玉まで無くなった将棋をこの先どう指すのか、投了まで見て行こうとは考えている。
どんな状況にあろうとも、一旦幕が上がったら終演までは舞台の上の人として振舞わなければならない。 notallは全員、PIPだと森崎はそれが出来ていた。
知っていて知らないふりをしなければならない石橋もやりにくくはあったと思うが、最後の最後まで客に気取られること無く進行していた。
ただ石橋が動かそうとしても何時にも増して反応が鈍いメンバーもおり、同情の余地はありつつも見ていて辛く居た堪れない気分で過ごす羽目になった。
私などは所詮客に過ぎず、表面に出てきていることから判断するしかないが、楽しい未来を仄めかすだけでいいから提示できるアイドルであって欲しい。
「はじめてのチーム8公演」と銘打たれている通り、チーム8公演未見の客を対象にしており、当選確率が高そうなので久しぶりに申し込んでみた。
キャンセル待ちの厳しい番号ながら辛うじて当選。 行ってみたら木更津でのイベントが重なって客が割れた事もあってか抽選枠内で買えた上に入場時の籤運も良く、割と早いうちに呼ばれて中へ。
(ちなみに劇場公演を見るのは2009年7月のチームB以来となる。)
次にいつ観られるか分からないので距離と視野率を天秤に掛けて距離を採ってみた。
舞台中央から半分は見えないが、近くないと見えない物もある。
影アナは鹿児島代表の下青木。 注意事項が原稿の大半を占めるだけに努めて標準語で読んでいるのが微笑ましい。
各都道府県から一人ずつと言うのも面白い。 トヨタがお旦と言うこともあってか、都市対抗をアイドルでやっているような印象。
Over ture から「PARTYが始まるよ」「Dear my teacher」「毒リンゴを食べさせて」
このあたりはチーム8のメンバーについて予習して行かなかったこともあり、歌い踊る目の前の連中より「ああ、ここは数少ない宇佐美のパート」「パーティー砲発射」「ここで成田に合わせて成田の客も前のめり」「『でっきなぁーい』で回る平嶋」など、死んだ子の歳を数えるように過去の幻影を見て涙に暮れる。
チームKでもチームBでもさんざっぱら観た筈なのに、思い出すのは何故かチームAですら無かった、篠田も居なかった頃の立ち上げメンバーの姿。
3曲終わって自己紹介と相成ったが、声はすれども姿は見えずで誰が誰やらのままユニットコーナーへ。
(「お色気担当」は不吉なので止めておくが吉)
ユニットの曲になって漸く人となりが見えてくる。
「スカート、ひらり」
低く地を這うような動きの二人が目に留まる。
帰りに壁掛け写真で横道侑里と谷口もかであった事を知る。 面白い。
チーム8は少なくとも初期の3チームとは違っていて、素人然とした「出来ない子」が居ない。
技倆には矢張り差があり、至らないメンバーはそれなりの役回りなのだけれど、出来ている連中は既に一定以上のレベルに達していて且つ擦れてはおらず、大人の思惑でこの先どうなるかは分からないが少なくとも現時点では純粋培養が吉と出ている。
「クラスメイト」
戸島のソロパートだけが戸島の声で脳内再生される。 戸島の声だけ撰って聴いていた事にほぼ十年越しで気付く。
「あなたとクリスマスイブ」
「演るんだ」と言う単純な驚き。 曲の半ばで立ち上がり、舞台の端まで歩いてくる演出が嬉しい。
死角の多いこの劇場では、人数の少ないユニット曲などでは一曲丸々見えないと言う事もままある。
「キスはだめよ」
プレートメイル衣装の円盤がひん曲がっていて経年劣化が激しい。 大事に使ってよくもたせているとは思う。
立ち上げメンバーも初期チームKの連中も梃子摺っていた曲だが、さらりと演ってのけていて驚く。
「星の温度」
横道侑里と谷口もかが再び登場。 横道は扇情的な動きをしつつも程が良いのでくどくならない。 盛り込み過ぎず、むしろ刈り込んだような印象。
「星の温度」のアウトロで暗転。 ケミカルライトならまだしも、スイッチの付いているペンライトを点けっ放しにする馬鹿が多いのに呆れる。
スクリーンに映像を投影する際には、場内警備スタッフが点けたままにしている客に声を掛けて消してもらっていた。
客席を照らす薄明かりがあって完全暗転にはならないにしても、何故そう言う演出になっているか分からない非常識。
着替え待ちの間繋ぎのお題トーク。 普段喋っている言葉を矯正する必要が無いので、様々な方言が飛び交う国語元年。
「桜の花びらたち」
この曲の衣装のスカートは柔らかな布地で左右に緩く翻して映えるように出来ており、ステップを激しく細かく踏むと裾が暴れてあのり美しくないのだけれど、往時の宇佐美のように16ビートを刻んでるのが居て懐かしさに笑う。
曲の後半で花びらマシーンが起動。 これが動いているのを見るのも何時以来だろう。
「青空のそばにいて」
マイクスタンドを片付けかたがた捌けて行ったメンバーが三々五々戻ってきて曲が始まり、終わりに差し掛かってセリが上がって行く。
私の葬式にはこの曲を掛けて欲しい。
曲が終わって捌けて暗転。 かつてはお座成りだったモップ掛けはやけに入念で二往復。
それを見届けてから散発的な拍手を起点に、醜悪なヘゲモニーの取り合いや、馴れ合いを経ずアンコール。
歌詞に出てくる店の大半が既に無い「AKB48」から「桜の花びらたち」で再び暗転。
通常の「PARTYが始まるよ」公演はここまでだが、チーム8はオマケ付き。
チーム8メドレーから「汚れている真実」「僕たちは戦わない」で終演。
メドレーからはゴリゴリしたダンスナンバーが続く。
これが踊れればパーティー公演の曲は軽くこなせると思うのだけれど、流して演る事も無く、盛り込みすぎて壊す事も無い。
この辺りの匙加減は裏方がコントロールしているのだと思う。
オケの音が途切れて止まり途切れたところから始まるトラブルがあったが、何事も無かったかのように曲に入り、厳しく仕込まれているであろう事が見て取れた。
歌より踊りに重きを置かれているのかオケの被せは強めで生歌感に乏しかったのは疵だが、思えばパーティー公演はそう言うものだった。
オマケがたっぷり付いて2時間近く。 資本主義の有難さ素晴らしさを改めて感じたチーム8公演であった。
“はじめての”と付いたせいもあったとはおもうが、今日のチーム8公演の客の大半が擦れっ枯らしではないライト層だった。 なんというか、ペンライト振っときゃ良いと思ってるような、騒がず手拍子すらしない静かな客。
「アイドルはペンライトを振って見るもの」と言う先入観に囚われている所為か、常に両手が塞がっているので音の出る拍手をしない。 そう言う客が増えてはじめて「売れた」と言うことなのだと思う。
AKB48劇場で公演を観ていて、客で不愉快な思いをしなかったのは初めてかもしれない。 それくらいおとなしかったが、盛り上がっていない訳ではなく、馴れ合いとか悪目立ちが殆ど無かったと言うこと。
ざっと見て何で採ったのか初見では判り難いの(大江・小林枠)がおらず、見た目も歌も踊りも水準以上。 このあたりのクォリティコントロールがトヨタらしくあり、ともすれば詰まらなさに繋がってしまうところを上手いこと見世物に纏め上げている。
「とても良かった」と友人に感想を伝えたところ「(運営側の評価基準で)上から7人出てなくてソレです」と告げられで唸る。
通常1チーム20人凸凹のところ倍以上居る訳で、層の厚さはあるにしても、良いチームとして出来上がっている。
既存のAKBとの接触を嫌う向きが多いのも頷ける純粋培養ならではの清新さ。
劇場公演は蔑ろにされ、接客営業系イベントが活動の中心になって久しい。 そしてそれは今後もそのままであると思うのだけれど、劇場公演はしっかり行われていた。
嘗てのように訳知りの擦れっ枯らしが屯する場ではなく、入れ替わり立ち代わり様々な客がやってくる。 初めて来る客の方が多いのかもしれない。
そうした客でも分かるように繰り返し説明をし、戸惑いを見せる者には声を掛け、世知辛い諸々で煩瑣を極める入場手続きも遅滞無く行えるシステムを組み上げられている。
「大声ダイヤモンド」の劇場盤握手会の時だったか、劇場スタッフの郡司氏が「悪いことをする人は沢山居るのだけれど、有名客じゃないから把握しきれない。」とボヤいていたのだけれど、そうした苦い経験をが生きてか、煩わしい手続きや規制が増えに増えても定刻通り開場開演出来ている。
AKB48は、まだ死んでいなかった。 少なくともAKB48劇場は正常に機能している。
お披露目から一年(その時の事は こちら に。)、紆余曲折ありつつも一年持った。
客層の固定化から来る厭な予兆が感じられるようになりつつある。
それは客が集まり始める時間がなし崩し的に早くなってきたり、歩道を塞いで屯したり、人込みを憚らず煙草を吹かしたり、スクーターで乗り付けて路上に放置したり、客としての横のつながりや纏まりが群集心理としての悪い面に働きつつあるように感じられた。
こうなる現場はアイドルに限らず民度が低めに安定して客層に拡がりが無くなって行く傾向にあり、客の自律性に依拠した濱野の遣り方が客の側に裏切られつつある。
この傾向が顕著に見られるということは、「そう言う客層」にしか届いていない訳であり、広く売れる為にはその外側に届ける工夫も必要だと思うのだけれど、今のところ出演するライブやイベントも旧来型のごった煮イベントに偏っていて、ブロック経済的枠組みの中での客の取り合いから先に進めていない。
プロ野球負けられない宣言
開演に先立ち、例によって空井と石橋(カオポイント)による野球談義。
例年は調子が上向く交流戦で躓いて低迷を続けるロッテには空井もボヤくほかなく、悪いなりに何とかなっている西武の相対的優位が変わらない石橋は上機嫌。
ロッテには勝って欲しいがボヤく空井も見たい。
PIPEACE
森崎恵プロデュースの派生ユニットから ゆたんぽ% が参加。 四月以来消息不明の北川萌絵は今回も告知なしで欠席。
これ迄のところ辞める連中はきっちり送り出して来た訳で、それすら出来ないと言う事はまぁ色々あるのだろう。
押上WALLOP放送局でのPIPの番組は6月一杯ですべて終了という突然の発表から「名場面集」と言う形での振り返り企画。
CMに入ると流石にどんよりするが、配信される時間は気丈に振舞っていた。
ガヤ入れ・オチ要員としての森崎が良い仕事。 上げたり下げたりする猛獣使いが居て光るタイプなので、身内だけで廻す時にはその役回りが出来るメンバーが必要になるが、今のところ石川だろうか。
最後の最後でVTRが流され、7月から新たに番組が始まると言う種明かしをされてメデタシメデタシ。
石橋哲也は仄めかしと巧妙な言い回しで言質を取られるような物言いを避けており、それが伏線となっていた。 一と月前からメンバーに終了の告知をしておいて、最後の数分間徹底して居直ることでそれ迄のお通夜モードの展開を笑いに転化。
悪くない後味で〆るところは流石。
PIPデビュー一周年記念公演
一周年と言う事で、全員初期の衣装である紺のポロシャツで登場し、お披露目で演った三曲を皮切りに新富町時代の演目で押す構成でみっちりと。
グループ総体としての力量が上がっている為、借り物の曲も自家薬籠中の物としつつあり、きっちり見世物にはなっていた。
のっけから最大戦速の柚木の横で、空井も永瀬も付いて行けてはいる。
暫く演らなかった(出来なかった)ユニット曲も、抜けたメンバーのパートを別のメンバーで埋めて久しぶりに。
橋田 唯
出ずっぱりでも乱れない。 肩で息することも無く、顔色も変わらず、表情にも出ない。 背負ったものを背負い切る矜持。
Mädchen から Weib になりかけている過渡期の可憐さ。
永瀬 綾香
知己と話をしていて出たのが「失敗しないことに重きを置いているのではないか」。 言われてみるとソツは無いが守りに入ってしまっているような気はする。
言われてみればそう思えなくも無いくらいの話で、質的には悪くない。
福田 蘭奈
普段はあまり感情の昂りを表に出さないのであるが、一周年と言うこともあってか髪に花冠を付けたり頬にスパンコールを貼ったり、珍しく晴れがましさを目に見える形で。
それを指摘されると照れるところまで含めての福田らしさ。
小室 志織
動きの切れはそのままに、止め撥ね払いに情緒が出てきた。 怪しかった音程も揺らぎやすかった感情も安定。
安心して観ていられる。
瑞野 由佳
一と皮剥けたと言うか弾けたと言うか、怪我で休演する前より遥かに良くなっていて驚く。
必要とされることは不足なく出来ていて、そこに一寸ずつ上乗せしてサーヴィス。
アキレス腱が断裂しかかったと言う怪我の程度からすると本復には到っていないのではないかと思われるが、それを感じさせない動き。
表情にも翳りを見せない。
小林の担っていた絶対的な安定感にプラスして客席を大掴みに捉えた目配り手配り。
工藤 千里
求道者的な重さが無くなり、楽しんで歌い踊れている。 蕾のままでも美しくはあったが、頑なな何かから解き放たれたことによる華やかさ。
澤村 まどか
可愛らしさに分かりやすさが付与されてきつつある。 次の動きに気をとられて素になる瞬間が無くなったので、魔法が解けなくなった。
柚木 萌花
振り付けに関しては相変わらず隙が無い。 完璧といっても良い出来ながら盛り込むより精度を上げるほうに神経が行っているので胸焼けするようなこってり感はなく、よくよく見ると凄みを感じるけれど全て事も無げに演っているように感じられる。
激しく動きながらだと揺らぐこともあるが、音程も安定してきたし声も出ている。
豊栄 真紀
終演後の記念撮影で舞台上に呼び込まれ、在京中であった事を知る。
紺の前ボタンのワンピースにライトグリーンのカーディガンを羽織り、光沢のある黒皮のストラップパンプス。 髪は少し伸びただろうか、アイドルとしての衣装ではなく大学生としての私服と言うこともあってか大人びて見える。
物販の出口のところで自主握手会を開催。 合理的なようなそうでもないような、計りかねる振る舞いが豊栄らしくあった。
空井 美友
音程を外さなくなって、緩急強弱も付けられるようになり、「歌」になってきた。
最初期は器械体操めいていた振り付けも演武を経て「振り付け」に。
濱野 舞衣香
緩めのポニーテールが愛らしい。
ユニットの相方が軒並み辞めてしまったのと持ち歌の難易度が高いのとで思いの外出番は少なかったが、全体曲で歌い上げる部分はこの人が歌うと矢張り締まる。 難しいとこを割り振られているが、とっ散らからなくなった。
石川 野乃花
石川も「斯くあるべし」から解き放たれつつあるように思う。
用意してきたそのままではなく、状況や感情に合わせて紡ぐ言葉は纏まらないこともあるが、それ故に心に響く。
山下 緑
一部の全体曲にしか出た事の無かった山下が、限られた曲数ではあったがこれまで出られなかった全体曲やユニット曲にも参加。
覚束なくはありつつも絶望的な表情は見せず、インチキ日舞の即興当て振りめいてはいたが石を投げたくなるような酷さは無く、出来ても出来なくても表情には出さずにモナリザの微笑を浮かべつつ何食わぬ顔で舞台に立てているのは良かった。
森崎 恵
序盤から感極まる森崎。 振り付けに篭もる情念も二割増し。
喜怒哀楽が激しく出るので表情は崩れがちだが、その突き抜けた可愛く無さ加減が微笑ましい。
安斉 由華(PIP-KYOTO)
合わせる時間もあまり無かったと見えて緊張した表情である時間が長いのだけれど、ふとした瞬間にそれが解れてフニャリとした笑顔になる。
LasRabbi(工藤、ゆたんぽ%、森崎)
オケの音が薄く、音程は掴めてもリズムが取り難い。 更にはリズム感の無い(あるいは乱したいだけの)客の破調のハンドクラップが邪魔をする。 それでもオケとのずれは最小限に止めており、三人で合わせる営為の積み重ねは感じられた。
不自然な間繋ぎが挟まり、何事かと思ったら森崎が選抜衣装で登場。 嬉しそうでありつつ恥ずかしそうでもあり、また申し訳無さそうでもある複雑怪奇な表情。
感極まりっぱなしだったのも頷ける。
選抜メンバーに帯同して出ずっぱりではありつつ、選抜にはなれない期間が長かったので感慨もひとしおであったのだと思う。感極まりっぱなしだったのも頷ける。
今後の告知の為に第一子が誕生したばかりの濱野智史が登場すると客席からは「おめでとう」の声。
メンバーから涎掛けのプレゼントなどありつつ、CD発売のお知らせなど。
毎月のようにメンバーが抜けたり音信が途切れたりする中でも纏まりは保ち、一周年に際して練り上げた公演を見られたので先ずは一と安心。
試練の季節を越え、笑顔で春から夏へ。
春山淡治而如笑 夏山蒼翠而如滴
代官山駅近くにあるシアターサイバードで開かれている写真展を見てきた。
開催最終日で日曜と言う事もあってか、無茶な混み様。
列の最後尾を探して建物の裏へ廻り並ぶこと三十分余、漸く入場。
入口で木戸銭を払う。 この土日に代々木で行われるコンサートの半券を提示すれば500円、一般入場は700円。 冷やかしで来られると収拾のつかなくなる規模なので、妥当な線の値付けだと思うし、払った代価以上の質の写真でもあった。
あまり広くは無い会場ながら展示には工夫が凝らされており、最低限の間隔は空けられているので写真を見る際には一枚に没入出来る。 照明が一寸煩いが、これはまぁ仕方がない。
リハーサル風景だったり、楽屋だったり、コンサート本番であったり、状況ごとカメラマンごとに小部屋に分けられており、特に順路が設けられていないので、行きつ戻りつ何度も見直す。
三十分程であろうか、人混みに気分が悪くなるまでじっくりと。
舞山秀一と松田忠雄とでは時間と空間を写真に封じ込めるやり方に違いがあり、光を切り取るような舞山に対して、闇もあわせて掬い取るような松田。
一瞬を捉える舞山と、その前後も含めてふわりと掴む松田の対比の妙。
コンサートそのものの写真も勿論良かったのだけれど、楽屋であったりリハーサルであったり、観客の視線を意識していない写真に唸らされた。
舞山の撮った、楽屋での衣装合わせなのか光の中に浮かび上がるような姿を捉えたもの。
松田の撮った、暗がりの中で舞い踊る様や、照明の落ちたステージで談笑する姿。
落ち着いてじっくり見たかったが、行った時間帯が悪かった。
後悔先に立たず。
「ぼちぼち書いて下さい」との伝書鳩が来たので、少しずつ書いてみようと思います。
筧美和子
8ページ13カット、撮影は阿部ちづる。
表紙が一番扇情的であると言う良くあるパターンだが、扇情的ではないカットの方が良く撮れている。
被写体の表情の諧調に乏しいのを切り取る角度を変えて何とかしようとしつつ、どうにもなっていないもどかしさ。
滝口ひかり
巻末グラビア5ページ14カット、撮影は古谷完。
被写体に罪は無いが衣装や道具立て以外工夫が見られず、表情が単調。 AF任せで撮っているのでピントの置き所を考えておらず、深度のバランスも悪い。
どうにもならない写真を数打ちで並べて成り立たせた5ページ。
本田翼
7ページ22カット、撮影は阿部ちづる。
時間はあまり掛けられないが予算はある感じのスタジオ撮影。 カメラと正対しない、視野の端にカメラを入れたようなカットが良い。
綺麗に見える角度が左右方向に広い顔立ちを生かしたやり方。
内田真礼
巻末グラビア8ページ9カット、撮影は中山雅文。
中山雅文にしては湿度低目の取り方、しっとりしているがじめじめはしていない。
2ページ目などは悪くない。
バイトAKB
6ページ33カット、一人当たり1/6ページで1カットずつ。撮影は桑島智輝と門嶋淳矢。 贅沢な流れ作業、どう分担したのかはよく判らない。
流れ作業で撮って箸にも棒にも掛からないカットが無いと言うのは褒めて良いと思う。
小瀬田麻由
巻中グラビア4ページ8カット、撮影はTakeo Dec.。
笑顔を作っておかないと間が持たせられない隔意を感じる。
写真そのものは可もなく不可もなく。
飯豊まりえ
巻末グラビア5ページ17カット、撮影は大江麻貴。
脚の長さをそれとなく且つ綺麗に見せる事にはとりあへず成功している。 これがなかなかに難しい。
モデルの意識が着ているものを見せる方に傾きがちなところを、寄ったり引いたりしてどうにかしようとしている。
篠田麻里子
表紙、巻頭、巻中、巻末のぶち抜きで篠田麻里子、撮影はTakeo Dec. オマケカレンダーまで付く大盤振る舞い。
屋内と屋外で撮り方を変えており、撮影手法のお手本としては面白いが、篠田は例によって商売用の自分しかカメラの前には出さないので、そう言った点での面白味は無い。
大島優子
7ページ14カット、撮影はTakeo Dec.。
瘧が落ちたと言うか、役者の貌をした大島。 役柄ではない自分でカメラの前に立ち、多少サービスはしつつ遣り過ぎず、素でカメラの前に立てている。
4~5ページ目が良い。
乃木坂46(西野・深川・若月・桜井)
巻末7ページ12カット、撮影はTakeo Dec.
集合で2ページ2カット、コラージュ的に1ページ、あとはそれぞれ1ページ1カット。
顔見世グラビアの定石。 良く出来ている。
私立恵比寿中学
8ページ15カット、撮影は桑島智輝。
ももいろクローバーにしてもこの私立恵比寿中学にしても、スターダスト所属のアイドルは事務所の縛りと言うか介入と言うか、そうしたものが色濃く感じられるグラビアが多く、凝った割に詰まらないものが多い。
写真の仕事では、新津保健秀のモデルを個人でしていた早見あかり以外「これ」と言う物が無い。
そんな中でも今回のグラビアは悪くない出来。 制約が多く自由度の低い仕事での桑島智輝の強さ。
4ページから7ページ迄の二人組にして撮った4カットには唸らされる。
高嶋菜七・櫻井紗季(TPD)
巻末5ページ10カット、撮影は関純一。
作り込んだ割にライティングが雑だったりしつつも、顔見世グラビアとしては及第点。
1ページ目は脚の長いのを見せようとしたのだと思うが、あおり過ぎていてあざとさが鼻に付く。
武田紗季・石田佳蓮・沢井里奈
撮影は桑島智輝。
短時間で何とかした感じの錬金術的8ページ。
馬場ふみか
巻末5ページ10カット、撮影は中山雅文。
バストアップとウエストアップ多めで、小さく使われているもの以外全身の入ったカットが無い。
粗があったとしても、何とかならなかったものか。
表情は概ね良い。
最上もが
7ページ25カット、見開き1か所。 撮影は桑島智輝。
カラーコンタクトで全編死んだ魚の目。
ブツ撮りとしては良い出来だが、それ以上でもそれ以下でもない。
モデルの頑なさが出てしまうと、カメラマンに出来る事は限られてしまう。
不幸な出会い。
藤澤季美歌
5ページ11カット、撮影は細居幸次郎。
日が傾いてから撮ったと思われる後半が良い。
屋外でもこうした光線状態なら上手い。
末広町のアーツ千代田 3331で開かれたガジェットのお祭りへ。
スタッフの数が潤沢で、それぞれスタッフとしての仕事を楽しんでいたのが印象に残った。 こうしたイベントだと客としての意識が抜けきらないでいる「スタッフ」に煩わされることがままあるのだけれど、要領の良し悪しはさておき、油を売っている人員が居なかったのには感心した。
PIP: Platonics Idol Platform ミニライブ
会場が元は学校と言う事もあり、ライブステージも教室サイズ。 そんなこともあってか、出演メンバーは7人(石川、小室、空井、濱野、森崎、柚木、福田(※途中から))
ミニライブと言っても尺は長めの45分。 オリジナルは5曲しかないので、あとは借り物と言う仕儀に相成る訳だが、演り慣れたAKB48系の曲が中心。
PIP目当てで来る客中心の公演ならまだ良いが、何時もの客以外の人の目に触れる機会に組むセットリストとしては適当でないように感じた。
柚木萌花(PIP: Platonics Idol Platform)
非メジャーのアイドルは同じ鍋の中の客を取り合うような状況にあり、なかなか客層を広げる事が出来ないし、出られるイベントも定例のごった煮ライブばかり。
そんな中慶應の三田会であったり、麻布学園の文化祭であったり、濱野智史プロデュースであるからこそ捻じ込める毛色の違うイベントに出られるのがPIPの強みであると思うのだけれど、そこで偽物感が出てしまう曲を演るのは如何なものか。
人数が変動してもうろ覚えであたふたするようなところは無く、とりあへずは形にしてくる対応力は良い。
福田は途中からの合流だったが、すっと溶け込んでいた。
福田蘭奈(PIP: Platonics Idol Platform)
終盤はオリジナル曲で畳み掛け、「桜のまた咲く日まで」でしっとりと〆。
小室志織(PIP: Platonics Idol Platform)
例大祭『写真部:グラビア対談』
いしたにまさきと松嶋初音がグラビアについて対談する企画。
撮影会部分のモデルとしてPIP: Platonics Idol Platformから福田と濱野。
グラビアと言う物の認識と嗜好が両氏と私とで異なるので、話の内容は頷けたり頷けなかったり頷けけなかったりしたのだけれど、怒りがこみ上げるような話は無かった。
撮影タイムとしてカメラ持参の客に1分間与えられ、その間モデルの二人(福田と濱野)を自由に撮れるのだけれど、撮影者として透明でありたいので、差し向かいで撮れると言うのも有難迷惑。 差し向かいであれこれ指示して撮るってのは、どうにも性に合わないのでここはアリバイ的にカメラを廻し、私がカメラを持っていることに慣れてもらっておいて別の時間に横合いから撮影。
ウェアラブル運動会
歩数や消費カロリーが計測できるムーヴバンド、360°撮影できるデジタルカメラTHETA、バブルサッカーのバルーンなど、ウェアラブルデバイスを使った運動会。
既に夏の陽気だが風があるのが救いで、皆さん汗だくになりつつ楽しげに競技に参加していた。
ムーヴバンドやTHETAはどうにかなっても、バブルサッカーのバルーンにはこんな事でもなければ触れない。 バルーンを装着した楽しさに、大人げないはしゃぎっぷりの人も居たが、これはまぁどうにもしょうがない。
当初予定より参加者が多かったようで急きょチームを増やしたり、臨機応変に対応できているし、目的意識のあるスタッフが潤沢にいるので長丁場の運動会でもダレない。
主催者と思しきスタッフは熱いが冷静と言う稀有な人物で、こまめに参加者を廻って感想を訊いていた。
次回開催は反響次第なので未定との事だったが、是非続けて欲しい。
柄にもなくお天道様の下で汗だくになる一日だったが、快い疲れの中で帰途につくことが出来た。
森崎恵(PIP: Platonics Idol Platform)
アキレス腱の怪我が癒えない瑞野と消息不明の北川が休み。 今月は濱野智史も忙しいと見えて告知が遅れたり抜けたりすることが多かったが、ついに休演するメンバーの発表は無かった。
北川の消息不明な件についてもまるで説明は無いのだけれど、ALLOVERでの生存は確認出来ているので色々あるのだと思う。 ALLOVERに関しては掘り下げると碌な事が無い。
今のところPIPのメンバーではないが森崎恵プロデュースの派生ユニット LasRabbiのメンバーである ゆたんぽ%(※森崎の妹) が参加。
前説代わりに空井美友と石橋哲也(カオポイント)で「プロ野球負けられない宣言」と題して野球駄話。
順位としては石橋の贔屓の西武の方がまだ上にいるが、中継ぎが打たれて負ける厭なパターンに嵌って順位を下げており、出て来るのもボヤキばかり。
空井の応援する千葉ロッテはデスパイネとクルーズが大当たりなのに加えて、昨シーズンは二軍でお茶を挽く事の多かった清田が狂い咲きでチームも上り調子とあって終始笑顔。
私はイ・デウンのなんだか良く判らないけれど打たせない謎のピッチングが他チームを狂わせているのではないかと考えている。
そう言えばイ・デウン、石橋哲也になんとなく似ている。
バラエティー部分は
・一周年記念リーク合戦
・検索クイーン
の二本立て。
一年経っても歌って踊る部分が壊滅的なのをメンバーに詰められて居直った山下緑に激怒する福田蘭奈など生々しいのもありつつ、洒落になるリークで済んでいた。
検索クイーンは自分を象徴するであろう単語を三つ挙げて大手検索エンジンでの的中率を競う物。
客の作ったweb事典的なものに助けられたメンバーも多かったが、森崎姉妹は一般記事でほぼ的中。 ネット廃人としての格の違いを見せつけていた。
この辺り日頃からエゴサーチをしているか否かの差が出たように思う。
「如何に見つけて貰うか」がこの道で食って行く上での鍵になる訳で、動画投稿をしている割に見つけて貰う営為に無頓着な高城には危うさを感じた。
森崎が終始エッジの利いた拾いやすいガヤを入れており、良い仕事。
ちょっとした間繋ぎや、微妙になった場の空気を入れ替えるのに貢献。
ボヤく空井、黒い石川、シモに走る柚木。 無理にキャラクターを作るのではなく、受け入れて求められる自分になることで石橋が発言を拾いやすくなり、話の拡がりにくい・引き出しにくいメンバーも生かせるようになって来た。
上手く番組が回っている。
石橋哲也の面白いのは政治と宗教の根多はサラリかわして流すところ。 賢明だと思う。
後半ライブは暗転したのちにBGMが流され、場の空気を換えてから開演。
ライブ序盤はオリジナル曲で畳み掛ける構成。 人数が減ったことが幸いして選抜もアンダーもへったくれも無くなりつつあり、森崎はほぼ出ずっぱりだし永瀬も出たり入ったり忙しい。(山下だけ、蚊帳の外。)
流れも良く、安心して見ていられる。
柚木は例によってとんでもない芸当を涼しい顔で織り込んで来たりするのだけれど、そんな「本気の柚木」が顔を出しても全体のバランスは崩れない。 これも全体的な底上げがなされているからだと思う。
森崎にしても空井にしても、或る程度出来てはいたが演るだけで精一杯だった連中が周囲を見渡せるゆとりを持てるようになり、それが「釣った魚に餌をやる」ような形で矮小化せず、客席を大掴みで見る方向に働いている。
ここのところ色々有り過ぎたが、グループとしてのPIPのパフォーマンスレベルは上がっている。
森崎恵プロデュースの派生ユニット LasRabbi 、メンバーは工藤千里、ゆたんぽ%(※森崎の妹)、森崎恵。
工藤の表情が良い。 滲み出てくるような柔らかい笑顔。
ゆたんぽ%はスカートを操るのが上手い。 慣性を使って揺らしたり翻したり。
5月生誕コーナー前半、永瀬が「ロミオとシンデレラ」小室が「あの空に向かって」、二人で「狼とプライド」。
永瀬の「ボカロ曲」と言う選択が"らしい"。 勢いだけでは歌いこなせない「あの空に向かって」を選んだ小室の直面する課題に対する覚悟も良かった。
「狼とプライド」は、オリジナルを見ている友人も褒めていた。
プレゼント贈呈などの儀式を挟んで、山下緑のソロは「荒城の月」。
選曲そのものは悪くないが、歌詞を碌すっぽ憶えていないと言うのはいただけない。
うろ憶えの一番の歌詞とハミングだけで間をもたせるのは大したタマだと思うが、歌って踊る部分をあまりにも蔑にし過ぎているように思う。
終盤は新富町時代によく演っていたAKB48楽曲をズラリ。
勢い余って客席に靴を飛ばす高城。 ぎこちなくはあったが、そのまま一曲踊り切ったのは良かった。
最後の曲の前に告知など。 一周年記念公演や出演イベントなどのお知らせの後、濱野智史より運営業務からの部分的撤退と言うか、メンバーやサポートスタッフへの業務移管の発表。
勤務先の組織変更で多忙を極めているのが主因である由。
ブログや写真投稿サイトへの投稿の確認と承認、各種イベントへの出欠確認、交通費の清算などプロデュース業務以外のもろもろからメンバーへ移管したいとのこと。
tokyo arts galleryにて、建設現場で働く職人のポートレート展。
入って正面奥に等身大くらいの大きいのが二枚、左右の壁面に合わせて十数枚。 貼り切れなかった作品まで含めてコラージュにした大きいのを右手奥の壁に。
詰め込みすぎず、高さも程よく、ライティングも考えられている。
いつもは白壁なのだけれど、今回はアクション・ペインティング的にペンキで汚しを入れてあって、これも面白い。
ペンキの染みついた塗装工のズボンからヒントを得たとのこと。
「ポロックみたいでしょう?」と笑っていた。
写真はすべて黒バックで、足場板の上に立たせた縦位置で撮ったカラー。
現場で撮る訳にも行かないので、近くのコインパーキングや空き地に仮設の写場を設えての撮影。
それぞれの職種を象徴する道具を持たせたりしつつ、ほぼ同じ構図。
土間工はゴム長、鳶は地下足袋。 塗装工がサンダル履きだったのは意外だった。
こう言う写真を見た記憶が確かに有り、帰宅して本棚を眺めていて思い出した。
ウジェーヌ・アジェの巴里。
唐棧のような縞のニッカボッカなど、おやっと思うと寅壱。
作業着の着こなし一つでも個性が出ていて、糊を効かせてパリッと着るものもあれば、擦り切れて穴が開いたのを着ているものもあり、それぞれに味がある。
十代から六十代まで年齢も職種も様々だが、それぞれに逞しい面魂。
それに惹かれてか、いつもよりふらりと入ってくる女性のお客さんが多かったらしい。
小体だが明るく見やすく、何より入りやすい「場の力」も働いていたのだと思う。
初日に観に行った所為か矢張り混んでいて、喧騒の中で落ち着いて見られなかったこともあり、最終日の早い時間に再訪。
階ごとに壁の色や照明が異なり、それに合わせて展示される作品の傾向も異なる。
雄弁な写真と解釈を見る者に委ねる写真とがあり、後者がまとまっていた四階がもっとも居心地が良かった。
比較的小さな作品が多かったのも、私には好ましかった。
展示空間が狭い事もあって、大きなプリントは圧迫感が出てしまう。
Megumi Michelle Kawaguchi の作品は深い額の中に在り、ファインダーを通して見たような「覗き窓の世界」。
大きく伸ばして映える写真もあれば、小さいからこその良さを持つ写真もある。
被写体との距離の取り方であったり、人物と背景の配置の仕方であったり、私の好みに近く、且つ私が撮るときにはそうしないであろうやり方も、また面白かった。
六本木ミッドタウン近くの雑居ビルの三階にあるフリースペースにて、カメラマン4人のグループ展。
小池伸一郎
都内の高速道路の分岐点で引いたり寄ったりして撮ったモノクロ作品4点。
広角で撮ったものはレンズの効果と道路のカーブで歪曲した線と、放射状に伸びる直線を組み合わせてある。
黒と灰色の間、白と灰色の間のトーンがしっかり出ており、じっくり楽しめる。
視点が中央に収斂して行く中央下の写真が良かった。
丁度ほかに客がいない時間帯だったので、部屋の端まで引いたり近くまで寄ったりして見たが、画面に吸い込まれていくような不思議な感じがした。
門嶋淳矢
蛙や錦鯉などの生き物を彩度を上げたクローズアップ。
思い切って寄っていたり、アウトフォーカス気味にしたり、箍と言うか羽目と言うかそのあたりを外し気味に撮っていつつ、質感を見せたいところにはピントが合っていたり篤実なところが出てしまっていて、そのあたりも面白い。
岡本尚也
鏡を挟んで撮ったような、ロールシャッハテストのような画。
ポートレートと言うかパーツのブツ撮りと言うか、水が介在するので見ていてなんとなく息が詰まるような圧迫感。
寺坂Johney!
等身大に近い大きさの場末ストリップ的ヌード2点。
美と醜のはざま(しかし美寄り)のモデルの生々しさ。
私の嗜好としては小池伸一郎のもの。
広い部屋に飾って寄ったり引いたりしたい。
渋谷と恵比寿の間、都営バス渋谷車庫にほど近い明治通り沿いにある写真専門のギャラリーにて、19人のカメラマンの作品を集めた写真展。
展示スペースが限られているので、一人あたりの出品数は少ないが、その代わりそれぞれの写真集も展示販売している。
写真そのものを買うとなるとそれなりにハードルが高いが、写真集なら気軽に手を出せる価格。 好きな写真を手元に置くと暮らしが華やぐので、まずは写真集から試してみて欲しい。
ネイチャーから現代アート的なものまで、作風に合わせてプリントサイズも展示方法も様々。
松田忠雄の職人写真(これは別項にて)以外で目に付いたものが幾つかあった。
名古根美津子の頭だけのポートレートと三浦咲恵の台形のアクリル板に貼ったプリント、そして幸本紗奈の小品。
幸本紗奈の小品「しるしの話」は同名の写真集からの一枚。
どこにもピントが合っていないようでいて、見ているとどこかに合っているような気がしてくる。
作者曰く「見る人にピントを合わせて欲しい」。
ざっくりと大掴みに切り取り方故に、見る側に様々な解釈が成り立つ。
こちら でいろいろ見られる。
写真集は小ぶりなものであったが、紙質もプリントも良く割付けも丁寧。
昔は女子っぽい女子の写真は嫌い(女子っぽい写真部員は大抵めんどくさいから)だったのだけれど、そういうしがらみを離れて漸く写真そのものを見られらるようになったのかもしれない。
PIPメンバーがこれ迄客前で歌ったことのない曲を披露し、ソロパフォーマーとしてのパフォーマンスを競う企画。
舞台に立つ人としての自覚が醸成されつつあり、金の取れる芸になってきたからこそ出来る企画。 良いタイミングだと思う。
1500円とは言え木戸銭が発生する所為か、定期公演と比べると客の入りは薄めだが、それなりに入ってはいた。
客入れで「パワー上昇」が掛かり続けており、少々苛々してきた頃合いで開演。
司会は石橋哲也(カオポイント)。 スコットランド人の正装みたいな恰好で登場。
審査員としてTOKYO IDOL NET代表のアライトシロウと、元avex SKE48担当の江川慎也。 この二人の持ち点が30点ずつ、石橋の持ち分と言う体で全員に40点が加算され、100点満点での採点。
石川野乃花「無人駅」(岩佐美咲)
朱の着物に白い帯。 コーディネートとしては悪くないが惜しむらくは着付けに難。
裾が一寸高くて、足首まで見えてしまっていたのだけれど、後ろから見て足袋が見えるか見えないかくらいにした方が美しい。
帯が蝶結びのような一文字結びのような感じで、端の始末が悪くて解けかかっていた。
髪を編み込んで纏めて落ち着いた感じにするのであれば、お太鼓の方が良かったように思う。
色々書いたが、自分でしたプライベートの着付けとしては及第点。 客前に立つとなると話は別、と言う事。
歌い終えたところで客が花束を渡していたが、どうせ仕込むなら日本銀行券の首飾りの方が生々しさが出たのではないかと思う。
歌は破綻なく纏まっていた。 勝負に出るときの石川は、兎に角大しくじりをせず、高いレベルで堅実に纏めて来る。
空井美友「雨のピアニスト」(SKE48)
黒のドレスで花の髪飾り。 そこはかとなく革新系婦人代議士感。
緊張の所為か、いつもより激しい 1/fゆらぎ歌唱。
歌い進めるうちに揺らぎが収まって行くのも微笑ましい。 やり始めたことを照れも衒いも言い訳もなく、最後まで遣り切るのは良い。
森崎恵「パワー上昇」(ぱわーすぽっと)
二た悶着くらいあった曰く因縁のある曲を敢えて持って来る森崎。
テンパリ大会で頭に血が上りすぎて煽りを間違えたりもしていたが、テンション芸で乗り切っていた。
アイドルに耽溺して人生を踏み外したような業の深さは伝わったと思う。
小室志織「必殺テレポート」(AKB48)
音程が乱高下するのはご愛嬌。
大人数グループの全体曲を一人で演ると間をもたせ難いのであるが、空元気でも一生懸命やっている健気さでなんとかしていた。
濱野舞衣香「BLUE Velvet」(工藤静香)
風邪が治らず、前日まで殆ど声が出ていなかったのでどうなるかと思ったが、とりあへず歌にはなっていたので執念に驚いた。 そうでなければ務まらない稼業だとは思うが、芯が強い。
そんなこともあってか、震えているのが分かるくらいの緊張。 ところがこれが歌声には乗らない。 そんなところにも唸らされた。
万全な体調での歌声を聴きたい。
ゆたんぽ「千本桜」
森崎恵の妹。 森崎プロデュースの派生ユニットからの刺客と言う位置付け。
ボーカロイド曲と踊ってみた系の振付け。
こちらも緊張からか凶相になっていたが、挙動不審振りが姉そっくり。
ここまでがAブロック。 籤運による偶然だが、小室以外年長はメンバーで固まっている。
福田蘭奈「彼女になれますか」(AKB48)
何をやらせてもサラリとこなす福田らしさは出ていた。
サラリと出来過ぎて大変な事が大変そうに見えないところで損をしているようにも思うが、高いレベルで安定。
永瀬綾香「僕らのユリイカ」(NMB48)
そつは無いのだけれど守備的というか、小さく纏まりすぎている観はある。
ひと仕事終えて客として楽しむ森崎。
工藤千里「ラララのピピピ」(道重さゆみ)
道重さゆみに耽溺する工藤による情念たっぷりのカバー。
PIPの客でハロプロ方面からと言うのは少ない所為か反応は渋めだったが、工藤の客が少数精鋭で頑張っていた。
柚木萌花「ごめんねSUMMER」 (SKE48)
PVをイメージしたとかで、出だしから作り込んでおり、歌も振付も腐すところが無い。
予選で見た中では出色。 出色と言うより一人勝ち、モノが違う。
橋田唯「大声ダイアモンド」(AKB48)
森崎に振り入れをお願いしたとかで、きっちり歌って踊れていた。
「華」と言う点に於いては柚木と双璧であり、更には「時分の花」と言う物も働いて場を支配。
山下緑「やっぱ好きやねん」(やしきたかじん)
何と言うか、猿島郡のパート事務員の休日のような出で立ち。
「アラビアの怪人」的な怪しい動きで歌い上げるが、音程も怪しい。
それでも間が持ってしまうのが凄い。
予選Aブロックからは石川(90点)と空井(83点)が、Bブロックからは柚木(91点)と橋田(90点)がそれぞれ勝ち上がって決勝。
空井美友「君しか」(ノースリーブス)
シャンパンゴールドのドレスに着替えて登場。
自棄糞感は薄れ、振付けに情緒が出て来ている。
石川野乃花「夜風のしわざ」(柏木由紀)
白いドレスに着替えて登場。 歩いたり腰掛けたり、原曲の演出を踏襲。
最後の最後で歌詞が飛んだようだが、上手く誤魔化していたので言われなければ分からない。
舞台度胸は素晴らしい。
橋田唯「ふわふわタイム」(桜高軽音部)
予選と同じ衣装なのを司会の石橋に突っ込まれ、答えて曰く「お金が掛けられないので」。
ジョージ・ワシントン級の正直さ。
振付もなく、東海林太郎の如く直立不動で淡々と歌っているだけなのに全部持って行ってしまう強さ。
巧くは無いのだけれど歌声に説得力がある。
柚木萌花 「 don't cry anymore 」(miwa)
アイドルらしい振付けは封じて歌のみで勝負。
PIPに於いて歌う部分を担っていたメンバーの相次ぐ離脱を踏まえての決意表明ともとれる挑戦的な選曲。
正直申し上げてここまで歌えるとは思っていなかった。
不明を恥じつつ息を呑む数分間。
選考時間に2曲。
ロンドンブーツの工藤と自棄糞に高いピンヒールの濱野が危なげなく歌って踊れていて驚く。
激しい動きにイヤリングを落とす森崎。
拾う隙が無いと見るや、他の連中が怪我をしないよう袖に蹴り飛ばす好判断。
なんだかんだでグループとしての底上げはされていた。
決勝の審査結果は、85点の同率3位が空井と橋田。
86点で柚木が2位。
88点で石川が優勝。
私の見解とは異なるが、殆ど予備知識なく見に来て、目の前で起こったことだけで判断した結果として考えると大きく外してはいないと思う。
石川は勝ちに行ったら勝ってしまった横綱相撲。
柚木は予選で別次元のものを見せて、決勝はその先へ行ってしまい、圧倒的ではあったが判定基準からは離れたところに着地してしまった。
橋田は原石としての大きさと可能性を見せ、空井は今出来る最大限を見せた。
実際にレースをものにしたのはマクラーレンのアラン・プロストであったが、競技委員長のジャッキ・イクスがレースを短縮しなければ勝っていたであろうと言われたのはアイルトン・セナであり、しかしながらその日一番早かったのはティレルのステファン・ベロフであった1984年雨のモナコグランプリを思い出した。
(空井は奮闘に奮闘を重ねて入賞したケケ・ロズベルグ)
審査結果は審査結果として、少なくとも決勝はそれぞれがそれぞれにやるべき事を試み、やり切っていた。
柚木のやろうとしたことはグループとしてのPIPに於ける立ち位置についての決意表明であり、審査員はそれについてどうこう言う立場ではなく、それについて評価していなくても仕方がないと言えば仕方がない。
然しながら起こした波紋の大きさは優勝したことを俄かには受け入れられずに戸惑っていた石川の振る舞いからも察せられるし、結果として2位には甘んじたけれど意味のある2位だったと思う。
私個人の評価としては先ず柚木、次いで橋田、石川、空井の順。
例によって定時で逃げ出して荻窪へ。
休業中の豊栄真紀(PIP: Platonics Idol Platform)がゲストと言う事で足を運んでみた。
東欧圏を中心にどうかしているカメラを主に扱っていたプリズムがあった頃は誇張ではなく週の半分は来ていた(残りの半分は中野)荻窪だが、閉店以来とんとご無沙汰。
会場となるベルベットサンは、線路沿いの道を東へ向かい、青梅街道と合流したあたりにある。
西郊ロッヂングの近くと書くと、分かる人には分かるかもしれない。
田中秀臣の客とPIPの客で7:3くらい。イベントの性格と豊栄の客筋からか「ピンチケ感溢れるピンチケ」は皆無。
先ずパワーポイントを使いつつ、田中秀臣が「21世紀の資本」の概要をさらりと。
時折ゲストに話は振るが、基本的に田中のひとり語り。
学問的なことを捻らずに語る部分は面白いのだけれけど、脱線して始まる自分語りは些か冗長。 まぁ、主催イベントなので仕方がない。
田中秀臣は呼び屋としては有能だけれど、些か子供じみたところはあり、自分と関係ないところで話が膨らみ始めると水を差し、想定外の質問をされると態度に出る。
後半は配られたレジュメ(※こちら参照のこと)に基づき、稲葉振一郎によるより詳細な解説。
私は経済学を敬しして遠ざけると言うか、忌避して生きてきたので、稲葉の解説がすべて理解できたかと言うと、そうでもないのだけれど、興味を惹く文言が鏤められていたので、飽きずに最後まで聞くことが出来た。
ピケティが提示したものは事実を踏まえたごくざっくりした現状分析であり、「ではどうするか」についての具体的な言及は無いのだけれど、「所得と資産の両面で格差は増大し続ける」と言う仮説は概ね合っているように私には思われる。
厳密に突き詰めようとすると、真実と言うものはスルリと逃げてしまうので、囲い込んだくらいで丁度良い。
この「所得と資産両面での格差の解消」は、豊栄の所属するPIPでも課題となっている部分でもある。
成島柳北先生言うところの「貌と芸」。 両方に秀でたもの、次いで貌の整ったものの順で需要が発生し、場数を踏めば磨かれて行く。 それにつれ売れる売れないの格差は大きくなる。
人気があって機会がより多く与えられると、更に客が付く。
機会が少ないと客が付かない。
機会も結果も不平等なのだけれど、その現実は現実として受け入れた上でどうするか考えなければならない。
仕方の無い事ではありつつ、当事者としては感情面で収まらない部分も出るだろうし、雇主(厳密には違うが)の濱野に対する不満が溜まっている事が相次いで離脱者が出ている原因のひとつではないかと思われる。
勿論濱野が何もしていないとは思わないが、現代思想系の人の悪癖で学者方言みたいなのを当たり前のように織り混ぜて語るし、如何せん話が難しすぎる。
それをメンバーにも分かる言葉に置き換えて説明し直せるのが豊栄だと思うのだけれど、暫くは不在が続く。
豊栄は、たまに話を振られて二た言三言返すくらいで、ほぼお飾り程度の扱い。
「21世紀の資本」についての説明だけで時間切れと言う感じではあったのだけれど、物腰は柔らかい乍ら口を開くと舌鋒鋭く田中もピケティも袈裟懸け。 ばっさり斬っても呼吸するように伝わりにくい嫌味を言う小林秀雄的な悪意は無い。
冷酷と怜利は似て異なるのだけれど、理性的な物言いを心掛けた結果、意図しない形で冷たさを感じさせてしまう。 それを自覚しているからこそ、特に求められない限りは柔らかい物言いを心掛けているように感じられた。
もう少し対論に時間を割ける題材の時に呼んでいただければ、豊栄の「にっこり笑って人を斬る」部分が生きると思う。
終演後に会場でチェキ会。
ご母堂の前で行われると言うおそろしい特典会。
選抜衣装は澤村のところに行ったのだと思われ、PIPポロシャツを着用。
休業するとそれまで放っていた光が消えてしまう人もいるが、豊栄はその限りではなく、PIPの豊栄としてそこに座ってた。
静かに復帰を待ちたい。
_ 「だいっきらい」展(浅草橋Photons Art Gallery)
浅草橋駅西口を出てすぐの路地にある雑居ビルが一棟丸ごとギャラリーになっており、そこを借り切っての開催。
参考:「だいっきらい」展
普通のプリントからコラージュから立体作品まで種々雑多。 縛りとしては「『だいっきらい』とくちにだすまでのイロイロもやもやウラハラな感情」だけであり、出展者それぞれの解釈に於いての「だいっきらい」なので心底厭そうなものからまんざらでもなさそうなものまで様々。
私の趣味嗜好とは異なるものは多かったのだけれど、刺激には満ちており、興味深く拝見。
シンクに打ち捨てられた玉葱の皮を撮った小品、厚手のアクリル板に3層プリントして両面から見えるが裏と表で見え方が異なるものなどが印象に残った。
こうした企画展の場合、出展者が馴染みの客や友人との懇親会を始めてしまう事がままあり、実際そうなりかけている出展者も散見されたのだけれど、主催者が目配り手配りをして不特定多数の客が見に来る場として機能させていたのには感心した。
来てくれた人、見てくれた人と話したい、感想を聞きたいと言うのは自然な感情なのだけれど、感情が高まりすぎて出展者が視野狭窄に陥ることも多いし、主催者が開催したことに満足してしまう事もままある。
祝祭空間であることに水は差さず、写真を見る(見せる)場として機能させるのも楽ではないのだけれど、楽しみながらそれが出来ているのも良かった。
初日とあって出展者も観覧者も多かったので、日を改めて波が引いた頃合いにのんびり見てみようと思う。
立川流の真打トライアルと被っていたのでしばらくご無沙汰だったが、あっちも漸くカタがついたので久しぶりに押上へ。
出演日が第2週目の火曜に移動。 allover兼任組も出られるよう調整したとのこと。
【1組目:19:00】ANNA☆S
【2組目:19:30】clip clip
【3組目:20:00】カタモミ女子
【4組目:20:30】PIP
と言うタイムテーブル。
司会のカオポイント石橋哲也の前説から出演者全員で顔見世。
あとは一と組30分ずつ。
時間の使い方はそれぞれのグループに委ねられており、カタモミ女子とPIPの枠で石橋が司会。
ANNA☆Sとclip clip はメンバーのみで廻す構成。
ANNA☆S
今日もプロデューサーの西田一生氏が帯同。 「みなさんどうぞ前の方で見てあげてください」と後ろの方に座る客に一と声。 懇願でも命令でもなく、情のある柔らかい口調。 客席全体がじわじわと前へ。
番組開始時とCM明けは歌で始まる構成になっており、計4曲。 間にフリートークやコントなど。
全体がしっかり練られており、緩いようでいて要所は〆ている。 コントの出来も良かったし、何よりやり切る姿勢が素晴らしい。
収録用のスタジオなので音はあまり良くないのだけれど、生声でしっかり歌えているので気にならない。
振付けもこれ見よがしなところはなく、それでいて難易度は高そうなことを当たり前のようにこなしている。
客の振る舞いも収録に花を添えつつ邪魔はしない慎ましさがある。
ANNA☆Sの現場は客に起因する不愉快事が殆ど起きない。 送り手と受け手の信頼関係が醸成する現場の空気が心地良い。
clip clip
メンバーの体調不良が重なり、2人欠席で奏さやかのみの出演。 流石に一人では間が持たないので助っ人で平松ゆい。
平松ゆいが話を引き出して膨らませ、なんとか間を持たせていた。
新曲のレコーディングが終わったとの事で、会場に足を運んでくれたファンの方へのプレゼントとして一と足先にと曲を掛けている最中、次の枠目当ての客が仲間内の馬鹿話を始めてしまう。
出入り自由なのだから喋りたきゃ表に出りゃ良いものを、わざわざ収録中、それも耳を欹てて聴いている最中に声高に馬鹿話が出来る神経が解らないのだけれど、そういう客筋のグループなのであろう。
横にいた客が見かねて窘めていたが、後味は悪い。
カタモミ女子
大量卒業と新人加入でガラリ入れ替わりとの事であった。
特異な個性で引き出しは多そうだが手荒には扱いづらそうなメンバーを、ギリギリの線で上げたり下げたりする石橋哲也の司会振りを堪能。
PIP
前列に空井、福田、濱野、石川、小室。 後列に永瀬、工藤、橋田、柚木。
暫く見ないうちに工藤が垢抜けていて驚く。
石橋哲也の司会で「バラエティーラッキークイーン決定戦」
バラエティ的な「引きの良さ」を競う企画。
芥子シュークリーム、センブリ茶、ビリビリボールペン、風船ロシアンルーレットなどで一番不幸を引き当てたメンバーがバラエティ的には良いと言う事で、悲惨になりすぎない程度の小さな不幸がメンバーを襲う。 「小さな不幸」の匙加減が頃合い。
びっくりした時の反応の面白さは小室が頭抜けており、次いで空井。
福田は何が起きても動じないのだけれど、動じなさ過ぎて目を惹く。
ガヤ担当の(担当と言う訳ではないが)の森崎や北川の不在で一寸おとなし目の反応だったが、石川と空井の前のめりの姿勢は良かった。
終盤の鬼脚で伸びた永瀬が逆転でバラエティーラッキークイーン、二着に空井。 空井は常に掲示板には載る印象。
週末からイベント続きとあって、少々疲れ気味のように見えるメンバーも散見されたが、そんなこともあってか歌無しで終演。
P対談
その日出演したアイドルのプロデューサーと司会の石橋が対談するコーナー。 初回のゲストはPIPの濱野智史。
腹の探り合いをする必要もなく、さくさくと進行。 互いの印象やお披露目からそろそろ一年になるPIPの現状をどう見るかなどの突っ込んだ話。
「負けてもいいからどんどん出て行くべき」と話す石橋に対し、「それはそうだけど、出来れば勝ちたい」と濱野。似たようなところもありつつ、末節に差異がある。 その差異の部分を訊き出し摺り合せて行くには時間が短すぎた。
これだけでイベントの一本も成立する訳で、落ち着いて聞ける環境で長めのをお願いしたい。
「PIPは最近、外のライブが良い」と石橋。 「やっとユニフォームを着てバッターボックスに立てるようになって来た」とは言い得て妙。
早めに着きすぎたが時間を潰せるような所は無い。
外をうろついてみるも余りに寒く、入り口に戻ると整理券の配布が始まっていた。
受け取って整列、しばらく待って開場。 番号順に入場し、近すぎず遠すぎず、全体を俯瞰できる位置に着席。
開演前の前説で携帯・スマホの電源は完全に切るようにお願いがあったが、まぁ聞いちゃいない。 良い年をした大人がそれを聞き流して弄っている。
案の定着信音がなる場面も。
例によって土橋亭の冗長な挨拶で始まる。
出演順はこれから籤引きで決めるとのことで、番号札の入った封筒を選ばせて中を改める。
錦魚、談奈、らく里で中入り。 ヒザでらく朝、トリは志ららの順。
サラ口は軽い噺を、中トリは中トリ、トリはトリらしいネタを遣るだろう的な事を土橋亭はパァパァ喋っていたが、手前ぇの人生が掛かったところでそんなことになる筈も無く、五人が五人大ネタを掛けていた。
このあたりからも企画としての雑さ加減が垣間見える。
一人目は義理でも二人目は良いと思った演者にとのお願いもあったが、二人目は義理のある演者に有利になるように入れるのが人間の
エゴと言うものであり、そうしたものと向き合った落語家の後継者が吐く科白でもなかろう。
「寝床」 錦魚
「井戸の茶碗」 談奈
「谷風情相撲」 らく里
<中入り>
「佃煮屋」 らく朝
「包丁」 志らら
「寝床」
義太夫に因んだマクラを振り始めたところでそれと察した客がざわつき、大根多が並ぶ会になることを覚悟する。
さら口で大根多と言うこともあってか始めは硬さもあったように感じられたが、尻上がりに調子を上げてサゲまで大過無く。
「井戸の茶碗」
細川の家来の筈が加藤清正の家来と言ってしまったり、細かいウッカリや仕込み違いなどはありつつ、そのあたりをうまく丸めて一席遣りおおせるところがこの人らしくあった。
ところどころで妙に現代に繋げるクスグリを入れたのは余計だったように感じたが、ベタな方が受ける真打ちトライアルの客筋からするとこれで良かったのかも知れない。
「谷風情相撲」
「佐野山」で演られる事が多いが、講釈由来の噺と断っていたので「谷風情相撲」としておいた。 相撲噺を十八番にしている文字助師もこれでやっていたと記憶している。
相撲の小咄のマクラで都々逸の後半が出て来ないハプニングもありつつ、そこは端折って先に進み、全体としては上々の出来。
中入りで
「あそこはどれくらい減点すれば良いんですかねぇ?」
「致命的ですよね。」
などとしたり顔で喋っている客が居た。 こうした本質の見えないバカでも審査員気取りでおやかってしまう。 客に評価を委ねると言うことは、こんな悲喜劇も生む。
噺が本筋に入って盛り上がるとマクラの些末な瑕疵はどうでもよくなる。 まぁ、それと分からぬようにウヤムヤにするのもうでなのであるが。
「佃煮屋」
心筋梗塞をテーマにした自作の健康落語。 「細かいことを気にしすぎずおおらかに暮らすのが予防になる」と言う教訓を織り込んである。
商社の食品部門の部長が心筋梗塞の発作で仮死状態からの臨死体験を経て江戸時代の佃煮屋の番頭に転生。
そこでおおらかに暮らすヒントを得る筋書き。主人公以外の役柄が希薄だったり、筋が刈り込み不足のところもまだあるが、これまで聞いた健康落語の中では出来の良い部類。
細かいところを気にしすぎる例として血液型の小噺。 マクラとは言え医者が疑似科学ってのはいただけない。
「包丁」
真打ちトライアルにあたって師匠から出された課題を真に受けすぎて萎縮していた感はあったが、前回今回と「らしさ」の片鱗くらいは垣間見られた。
小唄はまぁナニがアレだが、スラップスティックコメディとしてはそれなりの出来で、 酔った振りをして口説きに掛かって肘鉄を喰らう下りの馬鹿馬鹿しいやり取りに「らしさ」の片鱗は見られた。
このあたりを膨らませつつ他を端折るくらいに思い切ってしまっても良かったのではないか。
開票までの間繋ぎに理事3人(里う馬、談四楼、志らく)で講評めいたもの。 途中で演者5人を呼び込む。
当初「一位は無条件で真打、あとは状況によって」的な話であったが、5人全員十月一日を以て真打と言う事で決定したと発表。
満場の・・・かどうかは判らないが、大きな拍手が起きていた。
私も落としどころとしては良いと思う。 終演後に話した知己も概ね同意見であった。
「この日の一位は志らら、全6回の総合得点では らく朝一位」とのみ発表。 この日の2位や全得票全順位などは発表されず、 土橋亭がダラダラ喋って居るうちに時間切れと言う感じ。
最悪の結果は避けられたが、様々な禍根も残した訳で後味としては悪いトライアルであった。
山下、工藤が休み。
色々あった工藤も、なんとか高校を卒業できたようだ。 山下が何故休みなのかは、例によってよく判らない。
前半はネット配信するバラエティー番組の体。 「携帯早打ち」と告知してスマートフォンを持ってこさせておいて、身内即レス王選手権。
家族に感謝の言葉をメールなりラインなりで送りつけて、反応の早さと面白さを競う企画。 ドッキリでもこう言うものなら心が痛まない。
電話に出たメンバーの家族は昼間からきこしめしていたり、要領を得ない受け答えだったり、石橋哲也の乱暴ヨイショがそれなりに上手いこともあって面白く見ることは出来た。
ただ家族相手で間合いが測りにくかったのか、いつもと較べると石橋の踏み込みは浅く、生ならではと言えばそうなのだけれど電話待ちの時間が冗長。
後半はライブ。
選抜組とALLOVER組、アンダーで入ることの多い森崎あたりは動ける身体になってきており、アンダー出演の少ない連中との差が開きつつある。
高城はその容姿に磨きが掛かってきつつあるし、瑞野も聡明さが状況判断に生きているのだけれど、より場数を踏めている連中と較べると伸びが鈍く、客前に出る場数の差が舞台の上で振る舞う上での体力的精神的な余白の少なさに繋がってしまっている。
選抜組は靴までが衣装なのだけれど、そうでない連中は思い思いの靴。
だいたい黒のローファーなのだけれど、栗城は動きやすさと足首の保護を考えた白い靴。
ローファーでも黒ではなく茶色のものを選ぶ高城のセンス。
永瀬は踵厚めのスニーカー的なもので上背補正、牛島あたりと丁度釣り合う。
場数を踏めている連中は、試行錯誤をする習慣が身に付いており、(そうならないような準備はした上で)失敗を恐れず舞台に立てている。
ハウリングの兆候を感じると微妙にマイクを逃がす柚木。
北川や永瀬と較べるとALLOVERに入った事による上積みが見えにくい空井も、動ける身体にはなっている。 選抜になって自分のパートが明確になり、且つ休んだメンバーの穴埋めまで経験したことにより、ためらいのない歌いかたを会得。
元々気働きは良いので、それを生かせる精神的・体力的ゆとりが出来たのは、本人だけでなくグループにとっても良い影響。
空井は初芝清のように、衒いがないのが何より良い。
自己紹介は変則的に三列で。 一列目が濱野、橋田、柚木の三人で Triumviratus への以降なのかと訝しく思ったがさに非ず、生誕月のソロで演る曲の着替えが後に控えている為にこうなったようだ。
柚木はメロン記念日のThis is 運命、業の深さを感じる選曲。 客の多くよりも筋金入り。
濱野は中島美嘉のDear。
高音を無理に張らずに裏声で逃げるのも上手くなった。 頑張り過ぎないので聞いていて肩が凝らない。
栗城と森崎が組みで歌うと、ここ数ヵ月での「舞台勘」の差が現れていた。
栗城は学生時代のスポーツ経験とPIP以前の活動時に培った土台を生かしてはいるがそれ以降の上積みが少なく、森崎はチアリーディングの経験を最近のアンダー出演やメンバーユニットのプロデュースで応用出来るようになって本気で演る栗城と並んでも遜色無く歌い踊れている。
牛島のユニット曲でも出番のある森崎はそのまま数曲。
曲調もバラバラなのを見せ方を変えつつ、上手くこなしていた。
涙腺が途中で決壊してしまったのは御愛嬌だったが、北川は歌にも振り付けにも情緒が出てきており、良い育ちかたをしている。
泣いても身体は動いている。
栗城と牛島の最期屁のような曲、出来は悪くないが余計な煽りが興醒め。
誘惑のハートビートは、メロディーラインからの大幅な変更。
作曲者からのより歌いこなせるようにとの提案とのこと。
まだあやふやなところもあり、音源化までに安定させて欲しい。
これまでに無かった不快な点としては、メンバーが喋っている最中にもウィットの欠片もないガヤを入れ続ける無粋なのが居たのと、椅子の上を歩いて前に押し寄せる馬鹿がいたのと、盛り上がり同調圧力のようなものが働いていたこと。
感極まるほどの盛り上がりでもないのに特定の楽曲が始まると自動的に盛り上がり同調圧力が働いて無闇に肩を組んだりタオルを振り回したり左右に歩き回ったりラインダンスをしたりするような野暮は蒙真平御免りたい。
送り手の側は創意工夫をしているのに、客の側は創造力に欠ける他所の現場の手法の劣化コピー。
急激な客民度の低下は頭の痛いところではあるが、突発的なものである可能性もあり。且つ差し引きではまだプラスなのが救いと言えば救いではある。
散発的にメンバーが辞めていく最中と言うこともあってか、微妙に重苦しい空気もありつつ、顔を上げて前は向いていた。
駿河台下の交差点から程近く、再開発街区の手前にある小さなギャラリーでの写真展。
モノクロームのヌードなのだけれど、ざらついた粒感の強いプリント。
被写体もぶれたりボケたりしているので顔かたちなどは判然とせず、美しいが淫靡ではない。
そして銀の絵の具で何やらフランス語の箴言めいたものが書きつけてある。
「ブレ」「ボケ」「ざらつき」
いつか来た道ではありつつ、今これをやる事に意味を見出したのであろう。
被写体以外は漆黒の中に在り、銀塩の頃はこの黒が出せなくて苦労したのであるが、反面プリンタ出力のベッタリとして階調のない黒からは「黒と灰色の間の黒」や「黒より黒い黒」を目指して現像液の中で印画紙を撫で回しながら仕上げた呪術的なプリントから漂う妖気のようなものは感じられず、かつては出来なかった事が出来るようになり出来ていたことが出来なくなる。
その中で抜け落ちてしまったものを補完しようとする意図で書き連ねられた文字列なのかもしれない。
私の好きな写真とは対局にあるプリントでありつつ、嫌な感じはしないし見応えもある、そしてとても疲れる写真展であった。
銀塩からデジタルに移行してどう写真と向き合って行くのか、それを突き付けられたような気がした。
コラム的な何か
「野に放たれた戸島花の首に鈴を付けた日本棋院に感謝するの記」
「立川らく朝「錦鯉」考」
を更新。
マラソン渋滞に嵌り、一席目の途中で入場。
「道具屋」談奈
「歌うスタンダップコミック」寒空はだか
(略)
「明烏」錦魚
仕込み忘れたり言い間違えたところは流してしまっても良いのだけれど、仕込み直したり自虐的に敢えて触れたりする談奈さんらしい寝技たっぷりの一席。 出来としては良くないのだと思うが、悪いなりになんとかする時の妙味。
はだかさんはハズレが無い。 確実に客を楽しませて降りる。
錦魚さんの「明烏」は間が良かった。 客をグイと引き付ける。
不愉快な事の方が多い真打トライアルではあるが、やらざるを得ない状況を作る事で出来た伸び代を感じた。
青山の、平日はカフェになっているスペースを借り切ってのイベント。 閉館したベルコモンズが廃墟化しつつあるが、街の雰囲気も多少変わったような気はするが、並びの立ち食い蕎麦屋は健在だった。
雑居ビルの7階にあるカフェは如何にも青山のカフェと言った感じのしつらえで、下町の人間には些か居心地が悪いが、営業日では無かったのが救い。
白井と高橋が病欠、姫川は受験期間中と言う事で金沢と四宮のみの出席。
公開英単テストやアイドル時事ネタ討論会などの合間に歌が挟まる格好。 風邪が本復していない四宮は咳込みがちだったが、ふわふわした口調でのんびりと平和に喋るのが面白い。
撮っても良いとのことで、四宮中心に。
身に纏った空気がアイドル。
姫川が途中から参加。
受験の結果待ちでニート状態に在ると言う姫川だったが、やはり場数が違って飛び入りで踊っても動きの質が違う。
歌はほぽ゛金沢が支える形。
試行錯誤が上手く行っていない部分はあるけれど、面白さ楽しさとは対極にある「受験」を有意義なものにしようとする企画意図は買える。
今後も足を運びたい。 次回は3/21(土・祝)とのこと。
栗城、瑞野、山下が休演。 PIP京都から安斉が来演。
イレギュラーな公演と言う事もあり、送り手側がリハーサルで手一杯らしく、客が自主的に整列したりさせたり。 統制されないが故の横紙破りをするような手合いは今のところ居ないので平和裏に入場。
舞台中央に何やら棺状のものが置かれており、ヴァンパイヤだと言い張る羽月の門出に因んだ演出がなされることが分かる。
何やらおどろおどろしい曲で開演。 やろうやろうと言いつつ出来なかったハロウィンにからめた演出で幕開け。
血みどろのネグリジェに球体関節ストッキング、背中には天使の羽を背負い切腹した塩冶判官みたような青褪めメイクで口の周りを血糊で汚した羽月が棺桶から出てきて歌い出し、曲の途中からは最初期のチーム分けで出来た所謂「Babyチーム」の連中も仮装で加わる。
この辺りも含め、羽月の最後っ屁と言うか、好きなことを好きなだけやらせた、纏まりは無く冗長だがのんびり楽しめる新富町時代のような公演となった。
前半は羽月の持ち歌をユニットも含めて持ってけドロボー式に蔵浚え。 小林希望と「てもでもの涙」、濱野舞衣香と久しぶりに「ライオン」など。
中盤は選抜組によるオリジナル曲多め。 予約受付が深夜にずれ込んだことによる偶発的事故により前の方で見られたので何時もとは視界が異なり、細部に目が行く。
選抜の衣装はそれぞれの管理に委ねられているらしく保管状態にも個性が出ていたが、アイロンの設定温度が高すぎるのか、テカりが出てしまっていたのが気になった。 既製品ならタグに素材と選択の仕方やアイロンの推奨温度が記載されるが、誂えだとそうも行かないし、素材も組み合わせて作られているので扱いも難しいのであろう。
これに限らずなのであるが、石川野乃花の自負心の強さ。 「ちゃんと(しゃんと)しよう」とする意識の強さが空回りしている。 状況や立場からしてそうせざるを得ないのも解からないではないが、ちょっと肩肘を張りすぎているように思える。
これは石川の置かれた立場上必然的に起こり得る事態であり、補佐職の働きでのみ緩和できるのだけれど、これもまた難しい。 忍従の時なのかもしれない。
「僕を信じて」で小室の靴が脱げるハプニング。
何食わぬ顔で一曲務めおおせたのは良かったが、舞台上に靴が在り続けたので気を揉んだ。
出来れば本人若しくは気づいた人間が端に寄せるべきなのであるが、そこまでのゆとりはまだ無いようだ。(この手の事はAKB48の小林香菜が目ざとく、処理も上手い)
入れ替わり立ち代わり目の前にメンバーがやって来るのだけれど、同じ振付けでも柚木だけ桁違いに情報量が多い。
誘蛾灯の様に目が引き寄せられ、植芝盛平翁の空気投げの如く「柚木が見た客」ではなく「柚木を見た客」が投げ飛ばされて行く。
以下、散文的に雑感など。
泣かないと決めたら意地でも泣かない橋田。
身体的辛さや感情の乱れを意志の力で抑え込んで平静を装い切る。 Triumph des Willens.
その中で見せる「揺らぎ」に惹きつけられる。
「誘惑のハートビート」の濱野舞衣香ソロパートは大分聴けるものになって来た。
これが歌いこなせれば表現の幅はかなり拡がる。
ALLOVER兼任組に目を見張る進歩。 特に北川が良い。
これ迄意識してやっていた事が無意識下で出来るようになり、その分視野が広がっている。
側頭部で二つ縛りにした柚木。 後頭部の髪の分け目がジグザグになっており、石川の手によるものと思われるが芸が細かい。
こうしたヘアアレンジのセンスには毎度唸らされる。
羽月あずさがなぜ辞めるのかについては最後まで具体的な説明が無かったが、濱野舞衣香が読んだ送辞的な手紙の中で昨年の晩秋には決めていたようなくだりがあり、辞めることを決めた時期だけは分かった。
辞めるに至った経緯について触れられず、もやもやしたまま卒業の美名の下に送り出して感動してしまうところに私は違和感を抱くが、もっともらしい嘘を語らせないところも濱野智史の流儀なのかもしれない。
石川の表情が公演を通して硬く、羽月の件以外にも何かありそうだとは思っていたが、最後の最後で牛島千尋から3月末で辞める旨発表。
濱野智史のツイートで撮影可であることを知ったのが17時過ぎ。
そこから自宅に蜻蛉返りして押っ取り刀で押上へ。
着いたころには佐藤遥生誕祭も終盤。
PIP と notall で20分ずつのライブ。 まずはPIP: Platonics Idol Platformから。
羽月と濱野がお休み、アンダーで森崎が入る布陣。
初めは固まった笑顔だった森崎の表情も次第に和らぐ。 曲に合わせて表情に変化と諧調を付けられるようになると、選抜メンバーとの差も埋まって行くと思う。
やるべき事をやった上で周囲に目をやるゆとりが持てている福田。 高いレベルで安定。
濱野が休みで難しいソロパートのお鉢が回ってきた空井。 予想以上に歌いこなせていた。
20分の持ち時間を借り物の歌は一曲だけで乗り切れるようになり、なんとか他所へ出しても恰好が付くようになって来ている。
ライブハウスでの出番毎の客の譲り合いの延長線上での振る舞いなのかもしれないが、PIPのライブが終わったところで席を立つ手合いが多かったのには驚き呆れた。
こう言う場合は主催者を立てて最後まで見て行くのが礼儀と言う物であろう。
後半は notall 。
一曲目が「学園天国」でどうなるかと思ったが、あとはオリジナルで押す構成。
撮りやすくて絵にもなる。 思わぬ拾い物。
定時で逃げ出しても着くのは七時前。 一人目の途中からこそこそと入場。
「片棒」志らら
「蚤のかっぽれ」らく里
「妾馬」錦魚
<中入り>
「鮫講釈」談奈
「錦鯉」らく朝
「片棒」
前述の通り途中から。
お囃子や手古舞のあたり、端折らずにやった上で混ぜっ返したりしていたが、些か中途半端。
もっとぶっ壊してしまってよいと思うのだけれど、真打ちトライアルとなるとやりにくいのか、お題を課した師匠の意図を汲みあぐねているのか。 前回より肩の力は抜けており、楽しんで見られた。
「蚤のかっぽれ」
ネタ下ろしからなんだかんだで三度目だが、これまでで一番の出来。
コンサートホールで返りが良いからか、唄も伸び伸び。 かっぽれの所作も付け焼刃ではないので実に良い形。
蚤の子供と杯の遣り取りをするのが馬鹿馬鹿しくも面白い。
マクラの危険球気味のクスグリが野暮な客に蹴られた感じもしたが、そこはセコな客だったと言うことで。 出来としては非常に良かった。
「妾馬」
二月になってしまったが、おめでたい話。
軽くて、様子が良くて、明るく楽しい。
あやふやな部分などもありつつ、上手く丸め込んで演っていた。 良いものを見た。
客席の沸き方は今日一番。
「鮫講釈」
中入りを挟んで空気が変わったところで、マクラを振らずに噺へ。
この噺のどのあたりでどうウケるかでその日の客のスノッブ度が測れるのだけれど、今日はお寒い感じ。 修羅場読みも立て板に水と言う感じではないが、淡々と。
あぷなっかしいようでいて、なんとかなってしまうのが「らしく」あった。 客がずるずると巻き込まれて行く。
一席終えて「縁かいな」。 踊りも綱渡り。
扇子の先が小刻みに震える様に真打トライアルというものの重圧を見る。
「錦鯉」
糖尿病をテーマにした自作。「抜け雀」「宗珉の滝」「景清」あたりからの掴み込みで筋を作り、粗食をして身体を動かせば糖尿は改善すると言う教えを織り込んである。
脈絡なく登場人物が出入りし、複数の話からの掴み込みによる矛盾もあって全般的に冗長。
糖尿の進行による手の痺れを治すために日参した川崎の宿の外れの観音様が実は子宝観音だったと言うのが落ちに繋がるのだけれど、子宝を授かるためなら妊婦は通わないし、安産祈願なら授からない悩みの人は通わない。 そのあたりがどっちつかずで描けていないし、観音様を「神様」と表現するのもおかしい。
兎に角、話が練れていないし刈り込んでもいない、言葉も撰べない。 実に長い弁当幕。
そうなると俯く客が増える。 頭の上をやり過ごす「寝床」のような状態。 鼾すら聞こえた。
回収して開票・集計する間、志らく師が出てきて講評・・・のようなもの。
途中で集計終了の太鼓がドドンと鳴り、結果発表。
一位 らく朝、二位 錦魚。
落語立川流は今日死んだ。
客が殺した。
ミサワホームの主催する建築関連のシンポジウムにゲストとして濱野智史、PIP: Platonics Idol Platformも出演と言う事で新宿へ。
参加申し込みから当落の発表まで間があったので家を買いそうもない私のようなルンプロは足切りされたのかと思ったら、当選のメールが来ていた。
企画の詳細はこちら
全体の流れを記録したブログ → 「アイドルと建築」シンポジウムに参加!(空き家の活用で社会的課題を解決するブログ 1/31更新分)
建築家二人のプレゼンを受け、濱野が「プラットフォーム」「アーキテクチュア」と言った共通項からテーマに沿うような話に持って行く流れ。
場に札が揃ったところでPIP: Platonics Idol Platformによるライブ。 腹の探り合いめいた緊張が一気に和み、元々アイドルが嫌いでは無いと言うか、建築家二人も嵌った経験があったり現在進行形で嵌ったりしている事もあり、具体例が示されたことで話が一気に膨らみ転がって行く。
アイドルと言う存在は、人生の一定期間限定でそうした状態に在る謂わば仮設建築のようなものであり、「アイドルと建築」から私が想像したのはアルベルト・シュペーアが「廃墟価値の理論」として主張した
「千年後にギリシャやローマのような美しい廃墟となるよう建築するべき」
であったり、立原道造が「方法論」に於いて記した
「すべての建築は結果において廃墟となる。ゆえに建築は廃墟になることまで想定して構築されなければならない」
であったり、二次利用出来ない記念碑的公園的なものだったのだけれど、坂東幸輔が示した空き家再生による地域活性化とそれを踏まえた濱野のアイドルのセカンドキャリアについての展望はアイドル時代に培ったものを違った形で生かす具体的な手段まで考えており、内定を蹴ってアイドルとしての人生を選択した空井美友の就職活動経験談も含めて、従来型のキャリアパスが崩壊した社会で生きていく道を示すものとなっていたように思う。
「空き家・空き店舗を利用したアイドルによる地域おこし、アイドルを育む街づくり」のようなものは酒田のSHIPを嚆矢としてさまざまな場所で生まれてきたが、現在に至るまで大成功とまで言えるようなものは出ていない。 RYUTistなども好事家層の評価は高いものの、一般的な認知はまだまだ。
坂東幸輔が徳島で行っている空き家再生による地域おこしが過疎を食い止めるのではなく、軟着陸させる方向に持って行くものである事、地域に根差した活動で一定の評価を受けているアイドルは地元にも客を呼べている事などから考えると、目標設定次第でやりようはあるのではないか。
当初カバーも取り混ぜて7曲と告知されていた PIP: Platonics Idol Platform のライブは音響トラブルもあってオリジナルの4曲に変更。
音響トラブルへの対処などで濱野が飛び回っている間、柚木や石川が繋いでいた。 やはり只の鼠ではない。
マイクが2本しかなかったり、オケの音が聞き取りにくかったり、セットリストがいきなり変更になっても対処できるあたりに進歩が見て取れる。
石川野乃花(PIP: Platonics Idol Platform)
この他の写真はこのあたりに。
カメラはいつものK10D、iso=400で開放。MC JUPITER-9 85mm/f2にて撮影。
85mmの距離感がどうも合わずに放置気味だったのだけれど、デジカメに移行してから1.5倍になって感覚が変わり、久しぶりに引っ張り出してみたら意外に撮りやすく、色のりも好み。
ライブをプリセットとか手動絞りのMFレンズで撮るからそうなるのだけれど、背後の光源に惑わされてAEが機能しないとシャッタースピードもマニュアルにしてしまい、デジカメなのにフルマニュアルで撮る羽目になる。
碌でもないカメラをとっかえひっかえ使って勘露出で撮ってきた経験が意外なところで生きている。
例によって金曜夜十時に予約スタート。 疲れて寝てしまって気が付いたら朝、慌てて予約を入れたが71番。 予約枠は埋まってしまっての立ち見も覚悟していたが、思ったより伸びていない。
入場待機列が作られる頃合いに足を運んでみたが、思っていたより更に少なく、するすると入場。
椅子席後方は埋まらないまま開演。
前半はバラエティー番組としてネット配信を一時間。 司会はカオポイントの石橋哲也。
ちょっと早めにメンバーを呼び込んで前説など。
山下緑がインフルエンザで、濱野舞衣香がよんどころない家庭の事情でお休み。
バラエティ部分は新春かくし芸大会のボツ根多供養で瑞野の書初め(山下が指定した謎の文言を書いたもの)の披露などのあと、実在のテレビ番組のそれに似せたアンケートをメンバーに書かせ、それを元にメンバーの人となりを暴いていくようなドッキリ企画。
人間性クイズ的なものでありつつ、為にする不幸めいたところは無く、へらへら笑って楽しめた。
最後に一曲演ったのだけれど、豊栄のところに澤村。
これまでアンダーで入った際には紺のポロシャツ着用だったのだけれど、選抜衣装で出てきたので軽く驚くもこの時点で説明はなく、次点繰り上がり当選で選抜昇格なのだろうなぁ、となんとなく納得。
柚木や小室、小林など、それぞれの髪の長さ・髪形に合わせて編み込み。 これは良かった。
スタイリング剤で固めると艶が無くなるので、踊って邪魔になる場合はこんな感じで纏める工夫をした方が見栄えが良い。
柚木は元の髪質も良いのだと思うが、綺麗な黒髪を保っている。
ライブ前半はオリジナル曲で畳み掛ける構成。 豊栄パートには前述の通り澤村が入り、急きょ休みになった濱野の穴は永瀬・森崎・瑞野あたりが順繰りに。
瑞野は止め撥ね払いが美しく、振りの独自解釈控えめ。 常に身体の正面で打球を処理するような堅実さで、アンダーとしては良い仕事。
4曲目のオリジナルである「誘惑のハートビート」は、曲としては好みなのだけれど、まだ一寸バタバタしている。 練れて来つつはあるので、外で勝負する際にはキラーチューンになり得るのではないかと思う。
選抜の筈の羽月はこの曲では出番なし。 「体調不良が長引いたので振り入れが間に合っていないのだろう」と、この時点では軽く考えていた。
ユニットコーナーは「スカート、ひらり」(福田、空井、柚木、橋田、小室)から。
小室はスカートの翻し方が控えめで、初期チームAの趣。
前田パートの橋田は、少なくとも2005年当時の初期型前田敦子よりは出来ており、三段論法的に考えるとキリストも超えていた。
空井は歌も振付も初期型小林香菜に近く、見ていて和む。
やる気に満ち溢れた柚木、「華のあるコマタニ」。
「キラキラ冬のシャイニーG」(工藤)、ハロプロ流れの客は殆ど居ないと見えて、ここでぐっと冷え込む。
曲の選び方としては悪くないと思うし、神聖不可侵扱いだったハロプロ楽曲を自分なりに歌いこなそうとする気概は買える。
森崎の選曲と振り入れ(おそらく、と言うかそうとしか考えられない)で「GO!!MY WISH!!」(永瀬、牛島、森崎、北川)。
この辺りの渋好みの曲を持ってくる森崎の該博な知識はこの先も生かして欲しい。
「愛のために。」(栗城)。 間奏でチア風のダンスを入れるなど、自分の色を出す工夫はしている。
濱野智史と澤村が出てきて、選抜衣装の件について遅ればせながら説明してから「やさしくするよりキスをして」
澤村の任には合っていた。 しかしキングレコードの「○○風楽曲」はどうしてこうニセモノ感が強いのか・・・
瑞野が出てきて引き続き「高嶺の林檎」(澤村、瑞野)。 澤村の振りにオカズが増えているのが瑞野との対比で分かる。
「てもでもの涙」(小林、羽月)、濱野が休みで小林なのかちょっとちぐはぐな感じ。 噛み合わない。
1月の生誕コーナーはリーダーの石川。 色々と踏ん張りどころではあり、祝祭感はありつつも年頭にあたっての決意表明の趣。 私は東京の周縁部で生まれ育った根無し草であり、最早人生に目標も目的もないので石川や工藤のように目的を持って上京してきた人たちの心持は判らないのだけれど、そうした人々の滾らせる情念を暑苦しく感じつつも忌避まではしなくなったのは我ながら良く判らない。
「たんぽぽの決心」でライブ本編は終了。
メンバーが捌けても、客席は静まり返ったまま。 encore を促す拍手が小さく始まると、撥ねっ帰りか泡喰って「アンコール行くぞ」と間抜け声。 ヘゲモニーの取り合い、腹の探り合いの醜さ。
アンコールなんざ「もっと見たい」と思った客が手を叩くなりなんなり意思表示をして勝手に始めれば良いものであり、特定の客が胴間声出さないと始まらないような野暮な習慣は犬にでも食わせた方が良い。 実に下らない。
アンコール一曲目は、まさかの「スカート、ひらり」(福田、空井、柚木、橋田、小室)。 石川の着替えの時間を取ったのだとは思うが、2015年に「スカひら二回廻し」を見るとは。 長生きすると、偶には面白い事もある。
2005年から2006年にかけての時期にAKB48劇場に出入りしていた知己と終演後に話したのだけれど、概ね肯定的評価。 「誰が成田枠なのか」と言う話にもなったか、そこはまぁ掘り下げないことで意見が一致。
閑話休題、アンコール。 二曲目の「選ばれたから」で小室が泣き出してしまい、羽月も声を詰まらせてすべてを察する。
「坑道のカナリア」である小室は、感情の揺らぎがそのまま出る。 泣き顔はくしゃくしゃで美しくはないのだけれど、その泣きっぷりの良さで赦せてしまう。 可愛くないが故に可愛い。
羽月からは二月十一日の次回公演を以て辞める旨発表。 理由については語られなかったが、辞めざるを得ない事情がありそうなことは伝わった。
「僕を信じて」で終演。
ジュネス☆プリンセスの枠はお休みで、特番扱いで「アイドルが語るアイドル」なる企画から。
notall から2人、loop から2人、PIPから石川、工藤、小室、濱野、森崎、柚木。
司会はデコ隠しが自然になったカオポイント石橋哲也、アシスタントに北川萌絵(PIP)。
「俺の嫁 Best 3」「2015年 大注目アイドル」などのお題に対してスケッチブックに書いた(描いた)答えを石橋が拾って行く趣向。
石橋からツッコミが入っても、指原莉乃を「さしはら」と呼び続ける北川。 その気持ちはわからないでもない。
トピックとしては「Nゼロにも行く小室」「Jewel Kiss について熱く語る柚木」「熱く語りすぎてもはやなんだかわからない森崎」「バックヤードでカレーを食べている田中れいなに出くわして号泣する工藤」など、アイドルである以前に客としてめんどくさい話に引き笑い。
CM中も仕事に徹する事の多い石橋も、珍しく笑顔を見せるなと、思いのほか盛り上がった30分。
森崎は引き出しが多く、大抵のアイドルの話題には噛んで行けるものの、語彙が少ないので話が単調になりがちなのは惜しかった。
アシスタントとしてはあまり役に立てていなかった北川ではあったが、「弁慶仁王立ち」の体でツッコミ待ちの森崎をバッサリ斬り捨てていたのは良かった。 次に繋がるぶった斬り方であった。
PIPの枠は「かくし芸大会」。 年末に募って名乗り出たメンバーが準備してきたものを順に披露。
出演はしているものの「かくし芸大会」には出ないメンバーも当然居り、そこは石橋が適宜引っ張り出して見せ場は作っていた。 このあたりが、上手い。
空井の「五十音何でもロッテあるあるで返す」が良く出来ていた。 パ・リーグを或る程度知っていればロッテファンではなくても分かる程度に抑えつつ、空井なりの観点から短く纏めており、慶應三田会のイベントで脊山麻理子からダメ出しを喰らった冗長で月並みな部分を修正。
森崎と柚木は「ヲタ芸」(と巷間で呼ばれているもの)。 曲のイントロが流れるやサイリウムを折り、歌い叫び踊る。
膝にサイリウムを叩き付けて折り、髪を振り乱して踊るさまはさながら連獅子。 柚木の迸る狂喜に驚き呆れ笑った。
濱野舞衣香は「五十音何でも『さいたま郷土かるた』で返す」。 仕込んだのか偶然なのか、秩父に絡んだものばかりが出てきてしまい、それを澄ました顔で朗詠するさまには妙な可笑しみがあった。
柚木を誘ったもののフラれた北川は、無謀にも本職の石橋と漫才。
漫協の(と言うか大学のと言うか)先輩の根多フォーマットで組まれた台本で、ボケる北川に適宜そして容赦なくツッコむ石橋。 既に練り上げられているフォーマットがあり、プロが合わせてくれていると言うのを割り引いても、北川の視点と切り口はなかなか面白かった。
オリシナリティはありつつ芸としての練りこみは無かった高城・澤村の漫才、練り上げられてはいるがコピーの域に留まる橋田と永瀬のコント(らしきもの)との対比。
途中入場でアイドル諜報機関LEVEL7の半ばから。 星野瑞映のいるchoice?を久しぶりに見た。
PIPは風邪っぴきが多く、何人か休演。 小室の前髪が額にペタリと張り付いてカールしており、漫画トリオ時代の横山ノックに酷似。 パンパカ感。
今回はPIPに因んだ題での大喜利企画。 「わかんなーい」「できなーい」的なダレはなく、考え・喰らい付いていくのは良いし、考えたことをやり切る姿勢も良い。
フリップに書く為のマジックの蓋が固く「あけれなーい」と羽月。 こともなげに開ける牛島。
小林は細かくお洒落で、わかりにくくチョーカー着用。 山の手より西東京寄りの洒落乙感。
最後に一曲「僕を信じて」。
中学生は出られない時間(出演時間はぎりぎりだが、そのあとの物販がネック)なので、センターの橋田ポジションに福田。 出来としては良くなかったが、やり切っていたのは矢張り良い。 PIPに於いて濱野智史が徹底させている仕事に対する規範意識は、この先どんな仕事に就いても生きて来ると思う。
歌い終えて唇を噛み、表情が翳る福田。 それを引き摺らないのも美点だと思う。
休演・代演で心太式に選抜曲に出る牛島。 物に動じないようでいて、しくじると顔に出るのが面白い。
仕事帰りに受験生アイドル「スタディスターズプロジェクト」のクリスマスイベントへ。 スタディスターズプロジェクトについては、、こちら参照のこと。
内容は
・金澤希美の誕生日祝い
・各メンバーの学習記録tweetに関する検証
・各メンバーの学力、アイドル力分析。期末テストの結果。
11/10~12/21まで、メンバーのツイートは勉強に関することのみに決められており、そのルールに基づいてどんなツイートをどれくらいしたかを検証。
親に携帯を取り上げられてツイートそのものが出来なかったり、私的なことをツイートしたりした件について追及する主催のコムラ氏。 それにメンバーが反論したり、言い訳にならない言い訳をしたり、逆ねじを食らわせたり。 新卒の担任が女学生に翻弄されるさまを見るのは、親戚の授業参観に行ったようで微笑ましく。
2時間のイベントではあったが、メンバーは口々に「短かった気がする」
そこでハタと思い当たるコムラ氏。 普段の自習イベントは朝から夕方までの半日工程なので、2時間と言えば普通のアイドルの現場なら長丁場なのだけれど、相対的に短く感じてしまうと言う事らしい。
イベントはライブを交えつつ、受験生アイドルらしく志望校や将来の夢についての話など。
高校三年の頃には夢らしい夢も持たなくなってしまっていた自らを省みてどんよりしつつ、具体性があったりなかったりする夢らしい夢の話を聞く。
リーダーの工藤だった杉崎が辞めてしまったので、白井がリーダー四宮が副リーダーに就任。 引っ張るより支えられるリーダーとのこと。
ライブでやる曲は主催者の趣味で二期 Tomato n'Pine なので、客は完全に鑑賞モード。 静かに聞いて歌い終えたら拍手する発表会形式。
客はおとなしい受験生と大人なので、実に牧歌的。 絵に描いたような平和。
割と居心地の良い現場でも、一度や二度は不快な瞬間は訪れるものなのだけれど、スタディスターズプロジェクトには例外的にそれが無い。
湧き立つような興奮を伴う楽しさではなく、穏やかで心地よい空間と時間。 精神の半身浴。
インフルエンザなどで小室、羽月、高城、栗城が休演。 PIP京都から3人来演。 そして珍しく山下。
体調不良休演率の高さには、濱野も苦慮しているようだ。 無理をさせるのではなく、風邪予防について考える濱野。
前半はバラエティー番組としてネット配信を一時間。 司会はカオポイントの石橋哲也。
「紅白対抗胸キュン合戦」と題して、客から投稿された告白シュチュエーションをチーム対抗で。
メンバーの人となりを踏まえた投稿は総じて質が高く。 メンバーのやり切る姿勢も相まって楽しめた。
後半は辞める御坂に絡めた客の持ち込み企画。 これが酷かった。
持ち込み企画でも公私の別は付けるべきであり、板に上がったら「仕事」をしなければならないのだけれど、それが出来ていない。 石橋や濱野の司会者としての振る舞いを見ていれば当然分かる筈の基本的なモラルが欠如しており、メンバーを苗字ではなくニックネームで呼んだり、無駄に早口であったり、正面が切れなかったり、時間配分を考えられなかったり。
まだ青い 素人浄瑠璃 玄人がって 赤い顔して 黄な声を出す
蜀山人が五色で詠んだ狂歌があるが、まさにそれ。 玄人気取りで素人以下だからタチが悪い。
出来なければやるべきではないし、やるのであれば出来なければならない。 少なくとも出来るように努力はすべき。 それが欠片も見られない業界人ごっこみたいなのは真平御免蒙る。
グッダグダになりかけつつ、要所要所でカオポイント石橋が助け舟をだして何とか纏めてから後半のライブパートへ。
羽月と小室の休演で空いた選抜の穴には澤村と永瀬と御坂。
華はないがそつなくさまざまなパートをこなす永瀬、兎に角試合を壊さない。 アイドル界の中井康之。
工藤と柚木が並ぶと、その振付の解釈と咀嚼の違いが際立って面白い。 主張する工藤と解釈させる柚木。
配信専門とはいえ放送局なので、ライブの音響に関しては畑違いで拙く、曲出しのタイミングが悪かったりマイク音量のバランスが悪かったり。 ワイヤレスマイクの電池が切れているというのはそもそも論外なのであるがそれはさておき、ハウリングが激しく、兆しの音がしても反応できずに収束が遅れるのはいただけない。 いっそ濱野がやるべき。
歌って踊るさなかに、時折沈思内省する豊栄。 魔法が解けて(解いてしまって)可愛くない顔になってしまうところが愛らしい。
振り付けに情緒が出てきた北川。 それは良いのだけれど、客席を大掴みで見られなくなってしまっていて、自分の客だけに濃厚なサービス。 これはよろしくない。
12月の生誕コーナーは人数が多いので4人で2曲。 クリスマスっぽい赤と白の衣装。
空井のおどろおどろしい歌唱と暗黒舞踏風味のダンスが楽しい。 飛び跳ねると丸見えになるズロースがエモーショナル。
新曲の「誘惑のハートビート」は年寄歓喜の4つ打ちハウス。 隣で見ていた友人曰く「BPM:125、ようやくクラブで掛けられる曲が来た。」 音源化が待たれる。
「捌けるのは上手からって言ったよねぇ。 ・・・まぁ良いんだけど。」と濱野。
濱野が「・・・まぁ良いんだけど。」で〆た際の前置き部分はたいてい「・・・まぁ良いんだけど。」と言いつつ「まぁ良くない」ことなので、メンバーも客も注意されたい。
「在宅は死ね」の件でもそうだが、濱野の言動の厄介なのは言葉通りの意味ではないところであり、それが脊髄反射馬鹿にも扇情的なもの言いを嫌う理知的な向きにも伝わりづらい原因になっている。
PIP京都の三人。 手元のメモには「古代ケルト」「マリファナ感の無い益戸育江」「黒姫山」「妙に艶っぽい人」「小金治」などの文字列。
本日をもって御坂が辞め、豊栄が暫し休演。 いろいろありつつPIPの2014年が終わった。
先日11/30より、押上WALLOP放送局を舞台に新たな月1定期公演を始動したPIP。
定期公演ではWALLOP放送局でのバラエティ番組「PIPEACE」の公開収録を兼ねていますが、今回12/14(日)は、約90分のPIP単独ライブのみのイベントを開催いたします。(ライブイベント後、3Fスタジオにて物販交流会も行います。2ショットチェキ会・サイン付き)
「入場無料(ドリンク代なし)」となりますので、ぜひお気軽にPIPライブまで足をお運びください!