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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


ペトリあんてな
二面楚歌 断章
二面楚歌 グラビアレビュー備忘録
寒空文庫(仮)
写真日記二面楚歌 隠居所
petri's fotolife
酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2017-05-25 縦横比から自由なトリミング [長年日記]

_ 週刊ヤングジャンプ 2017 26号

武田玲奈
表紙と巻頭7ページ16カット、撮影は阿部ちづる。
長崎ロケ。軍艦島、グラバー邸、ホテル室内の3部構成。
上りが良いと盛り込みたくなるのが編集者の性だが、細切れになり過ぎないように「選り抜き」の写真で構成。

見開きでベッドに横たわる写真を載せつつ、上下をトリミングして作った隙間に縦位置横位置で4齣貼り付ける割り付けが巧い。
ここでふと気付いてトリミングされたカットを較べてみると、実に厳しい構図で切っている。
上は窮屈にならないように少し空けて、下をぎりぎりで切る。

阿部ちづるが使えるカットを揃えたから出来た芸当だとは思うが、このグラビアの成功は担当編集の妹尾真理子に依るところ大。
ネガサイズの縦横比から自由なトリミングと割り付けのセンスに唸る。
解り難いが、実に良く出来ている。

伊東紗冶子
巻末4ページ11カット、撮影は桑島智輝。
仕草や表情に曲が無く、些か面白みに欠けるが、造形美と言う点に於いては評価されて然るべきであろう。

伸びやかではある肢体を曲げたり畳んだりして画面構成をした物撮り写真。
首から下で何とかするように考え抜かれたような4ページ。

重馬場に強い桑島智輝、今回も何とかしている。


2017-05-24 何か或るもの [長年日記]

_ 週刊ヤングジャンプ 2017 25号

馬場ふみか
表紙と巻頭8ページ14カット、見開き1か所。 撮影は細居幸次郎。
連載漫画との「コラボグラビア」と言うのは、短絡的な仮装の域を出ないものばかりで、見るべきものは無かったのだけれど、初めて面白いものに出くわした。

ボクシング漫画に因んだものなので、グローブを付けたりリングに立ったりしているのだけれど、寄せ過ぎていないのが良い。
表紙と1~2ページ目迄の導入部でノルマ?を済ませた後は、「汗を搔いたので温泉へ」。 ここからが本番。
屋外から始まって屋内へ。 湿り気のある、光の柔らかく廻る場面。 深度を浅くして撮る細居幸次郎は、やはり巧い。

身に着けたもの、纏ったものを見せる振る舞いも、自らそのものを見せる振る舞いも出来るし、何か与えられた役割を演じる事も出来る稀有な被写体。
肉感的な部分を切り取られがちな馬場ふみかの、演技者としての部分。
柔らかな表情や仕草、身に纏った空気や、醸し出す「何か或るもの」。
これらを上手く掬い取った8ページ。 眼福。

安藤咲桜
巻末6ページ17カット、クレジットが無いので撮影者は不明。
前号の予告ページでは細居幸次郎となっているが、巻末の目次では佐藤佑一となっている。
集英社サイトのグラビアアーカイブでは「(c)Yuichi Sato/SHUEISHA」と入っているので、佐藤佑一で間違いなさそうではある。

薄着の仕事に拒否反応を示していた次期もあった安藤咲桜(それは無理からぬことではある)であったが、肚を括ったのか生きた表情でカメラの前に立てている。

その辺り斟酌してか、水着映えする安藤咲桜に合わせた衣装の選択でありつつ、誇張するようなポーズは控えめにして、可愛らしく見せる方に振っているのは良い。


2017-05-21 門外不出の美少女四重奏団 [長年日記]

_ 週刊ヤングジャンプ 2017 22-23号

乃木坂46から選り抜きで4人。 「至高の美少女カルテット」て銘打って巻頭から巻末までぶち抜き25ページ。

西野七瀬
表紙と巻頭7ページ38カット(うち27カットは過去に撮影された分をコラージュ的に小さく)、撮影はTakeo Dec.
白ホリで白ワンピース、これまでに撮られた写真の夥しい数のプリントを床に散乱させた上に黄色のTシャツで座らせたり寝そべらせたりと2パターン。
これまでのグラビアを振り返りつつシンプルに。

西野七瀬の魅力は負圧を帯びたものだと私は考えるのだけれど、素でカメラと向き合うだけで表情に愁いを帯びるその特質をよく捉えており、笑顔と組み合わせることで「負圧の陥穽」に誘導される。

若月佑美
巻中4ページ7カット、撮影は桑島智輝。
画面内を様々な直線が走るのだけれど、水平垂直から自由でありつつ、見る側の平衡感覚に違和感を与えない。

これは被写体が屈んでいたり、首を傾げていたり、そもそも水平も垂直も無いと言う事でもあるのだけれど、被写体と撮影者の撮り撮られる呼吸が合っているため、其処に惹き込まれるのではないか。
そんなことを考えた。

与田祐希
巻末5ページ11カット、撮影は細居幸次郎。乃木坂も三期はまだスケジュールにゆとりがあるのか、山奥の木造校舎でのロケ。
五月の頭の発売とは言え、桜の花を花入れに活けたり手にしたりしている事から考えて、それなりに遠くまで行ったのだと思う。
乃木坂特有の閉塞感、何をどうすれば現状を変えられるのか分からない絶望のような物を未だ知らないが故の無邪気さがそこかしこに。

スーフィーの旋舞のようにワンピースの裾を翻すカット。
階段の下から見上げるように撮っているのだけれど、膝頭が覗くか覗かないかくらいの角度に止め、透けそうで透けないのも良い。
曇天の光を柔らかく廻すことで、晩春の山間部の空気の湿り気まで伝わる。

齋藤飛鳥
8ページ8カット、撮影は細居幸次郎。
袋綴じのオマケ写真集なのだけれど、横長に開く凝った造りに、写真集企画を他社に持って行かれた悔しさが滲むようにも感じられる。
見開きごとに衣装3パターン、暗めの屋内7カット、最後に屋外で1カット。
閉鎖空間での濃密な空気感のあとに晴天の屋外を持ってくる配置も良い。
屋内あっての屋外。

他社から出た写真集も良い出来だったとは思うが、齋藤飛鳥ならではの、肉感由来の物とは別趣の色香を引き出し得ているヤングジャンプの手による写真集も見てみたかった。


2017-05-20 詩的で且つ晦渋 [長年日記]

_ マキ/クレモン・パラディ2人展 『I am a tourist / Black Liquor, night color』

四谷四丁目のギャラリー・ニエプスで開催されているフランス人写真家による日本をテーマにした2人展。

入って左側の壁面ににクレモン・パラディ、右側の壁面にマキ。
それぞれの紹介文が、母語がフランス語であることもあってか、詩的で且つ晦渋。
ドアノーの写真に添えられたプレヴェールの文章に面食らったことを思い出す。

クレモン・パラディ(Clément Paradis) 長方形の部屋の左側の壁の長辺と短辺にモノクロームの巨大コラージュを貼り付け、その上にカラーやモノクロの小品を額装して展示。
色を抜いた粗目のモノクロームとこってり色を乗せたカラーの対比の妙。

マキ(MAKI) 粒感の強いモノクロームのプリントを額装したもの。
連れ合いの女性を撮ったと言うか写し込んだと言うか、そう言う作品が何点か有ったのだけれど、横断歩道を渡る二人の影を撮った作品が印象に残った。


どちらも切り取り方に土着の人間では気付きにくい視点があり、唸らされる。
モノクロームで切り取った街の風景への文字情報の入れ方。
ささくれのように目に引っ掛かる。
文章ではなく、文字そのものの意味が文章から離れて刺さる不思議な感じ。
そんなマキのポストカードを、一枚購って帰宅。


2017-05-15 物欲 [長年日記]

_ 写真家クロストーク 中藤毅彦xコムロミホ「OLYMPUS PEN-Fで作品創り~モノクロ表現とカラー表現」

オリンパスのショールームとギャラリーが神田から新宿へ移って二周年と言う事で開催されているイベントの一つ。
PEN-F(※現行の)のカメラ側の設定で、どれだけ撮りたいイメージに近い写真が撮れるかと言う機能解説と、写真そのものについての話が半々。
中藤はモノクロ、コムロはカラーを担当。 今年の一月に見た中藤の写真展『Sous le ciel de Paris』が、やはりオリンパスのマイクロフォーサーズ機で撮られたもので、これが「デジタルでのモノクロ表現も此処まで来たか」と感嘆させられる作品群であったのだけれど、スペインや東京で撮ったものも含め、撮影時の話や、使ったレンズ・機能について。

コムロミホはキューバやパリで撮った写真を中心に、光の状況や出したい色に合わせせてのカメラの機能の使い方について。
特定の色をカメラ側の操作で抜いたり盛ったりできるので、キューバの車の原色の鮮やかさを増したり、水銀灯の緑かぶりを消したり、朝のもやもやした光を引き締めたり。 色の出し方や差し引きの匙加減の上手さには唸らされた。

共通しているのは「RAW現像をしない」と言う事。
中藤がカメラの設定を予め済ませておくことにより、RAW現像をせずとも意図した色合いに近づけられることに美点を感じているのと対照的に、コムロはフォトショップでの作業と同質の事を、より簡便にカメラ側で行えることに美点を感じており、その違いが興味深かった。
これはカラーとモノクロとで求める物が違う事と、ウェットダークルームでの作業経験の有無に起因するものだと思われる。

モノクロームで撮る場合、カメラ側での条件設定は「フィルムや印画紙の種類」「現像液の種類と処理温度や時間」にあたるので、ここを決めておけば上りは或る程度コントロール出来るのだけれど、オリンパスPEN-Fはかなり細かいところまで弄れるようで、コントラスト調整用のフィルター機能やNDフィルターの機能まであるとのこと。
パソコンで写真と睨めっこをして調整すると、一枚々々はそれなりに仕上がっても、組み写真にした時に色味が揃わないことがままある。 それが防げるだけでも作品を仕上げる効率は上がる。
思わぬところで物欲を刺激されて嫌な汗をかいた。

腐食が進んで銀の被膜がはがれかかった鏡に映したポートレートについての裏話のなかで、「 LOVE ON THE LEFT BANK(セーヌ左岸の恋)」にあった同種の写真を意識して撮った事が語られたのだけれど、傷ついた心の暗喩のようなエルスケンのそれに対して、モデルの女性が来ていたヨレヨレのTシャツを隠すためにそう撮った中藤の悪戯心が面白かった。
また、夜のパリを撮るに際しては嘘か本当か「良い写真が撮れますように」とブラッサイの「夜のパリ」に手を合わせて祈ったとか。

一寸残念だったのは、転がると面白いこの二つの話題が転がらなかったこと。

知っているから、見たことが有るから良い写真が撮れるとは限らないが、どちらも人生を豊かにしてくれる写真集だと私は思う。
見たことが無かった、知らなかった人は、一度手に取って眺めてみて欲しい。

中藤の話の進め方で感心したのは、相手が知らないかもしれないことを考慮して「エルスケンって知ってますか?」「ブラッサイって知ってますか?」と確かめていたこと。
知っていれば知っていたなりに話を進められるし、知らなければ説明から始める。

最後は駆け足になってしまったが、見応え聴き応えのあるクロストークだった。
出口でオリンパスの方から冊子とカタログをいただく。 オリンパスPEN-F、実に悩ましいカメラであった。



「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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